オンエア
今から9年前の8月、アメリカ ルイジアナ州を記録的な豪雨が襲い、町は大規模な洪水に見舞われた。
救助隊のボートに同行したテレビ局のカメラが前方に浮いている車をとらえた。
近づいて見ると…中に人が乗っている!
水圧で車のドアは開かず、電動の窓ガラスも電気がショートし脱出 出来ない。
その間にも、車はどんどんと水に飲まれていく。
実は、救助にあたっているこの男性、水難救助は初めて!
一刻の猶予もない状況。
手探りで、あらゆることを試していく。
そして、彼のこの頑張りが状況を一変させる。
救出成功!
しかし…なんと車内にまだ飼い犬がいるというのだ。
自ら犬を助けようとする女性。
すると男性は水に潜り、犬も無事救出!
救助を完遂したのだ!
実は、この青年、船舶免許が取れたのは、偶然にもこの洪水の前日なのだという。
翌日洪水となったため被災者の救出に当たっていたのだが、もし免許を取る決断が1日でも遅ければ、今回の大逆転劇は起こらなかった。
今から32年前の4月、フランス人機械技師のエミルは、車でモロッコを旅行していた。
だが、サスペンションアームと呼ばれる車輪を支える部分が完全に折れてしまったため、車が動かなくなってしまったのだ。
修理に使う工具は積んではいたものの、こればかりは 交換するか溶接する機材がなければ、修理することができなかった。
さらに、この場所はもっとも近い村まで、歩いて3日はかかる、サハラ砂漠のちかくの岩石砂漠だった。
もちろん、水源は近くにない。
車には約10日分の水と食料があったとはいえ、徒歩3日分の量を持ち運ぶことは困難。
携帯電話は所持しておらず、助けを呼ぶことはできない。
砂漠の真ん中で、車が故障!
この絶体絶命の窮地を脱するため、彼が下した決断とは!?
エミルは、走行不能の車のボンネットを開き、エンジンルームを確認すると…彼が始めたのは、車の分解!
一体何をするつもりなのか?
実は彼はこれまで、何台もの車を自分で修理したことがあった。
そこでその経験を活かし、エンジンや他のパーツを使い、3日間でまったく別のものを製作、それを使って助けを求めようと考えたのだ。
だが、作業を始めてすぐ、自分の予想の甘さに気づかされた。
車の修理は得意でも、全く新しいものをつくるとなると、まるで勝手が違ったのだ。
さらにエンジン回りの部品は100キロを超えるものも。
それをたった一人で動かさなければならなかった。
積み込んでいた約10日分の食料と水も、日に日に減っていく。
そして…12日目。
食料は尽き、手元に残ったのは、わずか500ミリリットルの水だけとなった。
だが、この時、ついに彼が挑んでいたあるものが完成したのだ。
彼が車を分解して作り上げたもの、それは…オートバイ。
壊れた車のパーツを使い、なんと1台のオートバイを完成させてしまったのだ!
車のフレームから車輪を取り外し、改めて前後に装着。 そして後輪の上にギアボックスとエンジンを載せ、後ろの車輪に直接動力を伝える後輪駆動にした。 ハンドルはジャッキと牽引用に用意していた鉄の棒で作成。 それだけではない、帰り道を走るときに違反とならないよう、ナンパープレートも正規の位置に張り付けた。 そう、彼は完全オリジナルのオフロードバイクをつくり上げたのである。 時速は20キロ程度しか出なかったが、危険な砂漠からの脱出には十分。 走り始めて3時間後、モロッコ軍に遭遇し、無事、保護された。 彼は創意工夫によって、自らの命を守り抜いたのである。
このバイクは、左右非対称なため、完成させるのに時間がかかってしまったという。
車体の前後は鉄ノコで切り落とした。
エンジンのスタートボタンは他のスイッチで代用。
シートはバンパーの端を切断して制作。
クッションにはエンジンの防音材を使用している。
現在、このバイクは博物館に展示され、手元にはないというが…当時43歳だったエミルさんは75歳になった今も新しい車を一から制作するなどしながら元気に暮らしているという。
危機的状況から奇跡の大逆転で生還したエミルさん、その秘訣を聞いてみると…
「何ごとも諦めないことが大切なのかなと思います。追い詰められた時、本気で生きようとすると、道が開ける。私はそう信じています」
今から11年前、カリフォルニア州の民家で火災が発生。
猛烈に燃えさかる中、住人が一人 逃げ遅れていた。
この家に住むロバータさんが外に避難している間に火の手は拡大。
肺の疾患で酸素吸入機をつけいる父親が一人では逃げ出せない状態のまま、取り残されているというのだ。
消防隊もまだ到着していない。
ロバータさんは必死に助けを求めたが、あまりに危険な状況のため、見守る人々も中に入ることができずにいた。
さらに! 轟音と共に爆発的な炎が発生! 周囲は一斉に避難。
誰もが諦めかけたその時、なんと中から人を担いで出てきた人物が!
救出されたのは…家に取り残されていた父・ロバートさんだった!
助けたこの男性はいったいどこから現れたのか?
実は…誰もが中に入ることを躊躇している時…いた!彼だ!
取り残されている人がいると知ると、臆することなく、敷地の中へ入って行った。
爆発の直後、動けずにいたロバートさんを担いで救助したのだ。
無事救出に安堵する人々。
だが、一息ついて見回すと、救助してくれた男性の姿はどこにもない。
この救出劇がニュースでも報道されると、ロバートさんを助け出した野球帽の男性は『ミステリアス・ヒーロー』と称され話題に!
そして報道のおかげで後日、身元が判明した。
ヒーローの名前はトムさん。
偶然車で現場を通りかかったところ、叫び声が聞こえたので、救助に向かったのだという。
絶体絶命の場面に突如現れ、風のように去っていく、その精神もまさにヒーローな男が起こした大逆転劇だった。