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異常気象の新常識SP 〜猛暑編〜

ナゾの火傷の原因は!

アメリカ・アリゾナ州に住むイザベルさん。
昨年7月、庭の手入れを始めた。 およそ30分後…意識を失い、倒れているところを孫に発見され、その後、病院に搬送された。

彼女はなぜか、手脚に大火傷を負っていたのだ。 その原因は…猛暑
今年、ヨーロッパを記録的な熱波が襲い、スペインでは気温46度を観測。 死者まで出る事態になっているが、イザベルさんが住むアリゾナ州でも昨年、猛暑が続いていたのだ。 州都フェニックスでは、一年を通して、気温43度を超える日が70日もあり、アメリカ国立気象局によると観測史上、最も暑い夏だったという。

そんな炎天下、庭で作業をしていたイザベルさんは、誤って転倒。 高齢で足腰が弱くなっていたこともあり、自力で立ち上がる事ができず、助けを呼んだものの、家の中にいた孫にその声は届かなかった。 脱水症状により、そのまま意識を失ってしまう。

この時、彼女が倒れたのは、石の上。 そして、石に触れていた腕と脚に火傷を負ってしまったのだ。
気温が高くなると、太陽によって熱せられた地面も高温になる。 アリゾナ州のような暑い場所では、80度近くまで上がることもあるというのだ。 実際、近年アリゾナ州では、イザベルさんと同様の事例が多発している。

日本でも今年、連日猛暑が続いているが、今の日本の夏では当たり前となった、気温34度の日に行われたある調査によると、駐車場や道路、子供たちが遊ぶ公園で60度以上の高温になる場所が! 遊具によっては、70度近い温度が計測されたのだ。 こうした場所で、実際に火傷を負ってしまったという事例がいくつも報告されている。

今、地球は異常事態を迎えている。
今年5月、スイスでは氷河の崩落が発生。 谷間の集落には、大量の氷と土砂が流れ込み、敷地のおよそ90%が埋め尽くされるという事態に陥った。 専門家は、人間活動による地球温暖化がこの背景にある可能性を指摘している。
また、今年日本では、大規模な山火事が多発。 今後も気温が上昇すれば、地表面の乾燥具合がより強まるため、大規模な山火事が発生するリスクが高くなるかもしれないという。 さらに、温暖化が進んでいくと、空気中の水分が増えることで、豪雨や雷の発生頻度も増加。 想定外の事態が起きることもあるのだ。

暑さが原因で起こる衝撃の瞬間!

今から2年前の7月に中国で、突然、コンクリートの道路が破裂。 実はこれも猛暑が原因であった。
この日、この地域の気温はおよそ40度。 暑さにより、コンクリートが膨張しようとしたものの、変形に耐えられるだけのゆとりがなかったため、破裂したという。
ちなみに、日本のコンクリート舗装の道路は、目地と呼ばれる隙間を作るなど、熱に対しての対策がとられているため、このような現象が起こるリスクは低いという。

日本の夏にご注意! 暑さで起きる衝撃の瞬間

しかし、アスファルトの道路では、こんな危険が! 今から4年前、池袋の商店街で撮影された写真を見てみると…トラックが地面に沈んでいるではないか!
その原因は、道路の陥没
赤信号でトラックが停車していると、突然地面が陥没し、前輪が穴にハマってしまったのだという。 品川区、千代田区、府中市など、近年 都市部を中心に道路の陥没事故が増加しているのだ。

一般的に道路の陥没は、地中に埋められた下水道管などが劣化して穴が開き、そこに周囲の土砂が流れ込み、地中に空洞が出来ることで起きるという。
今年1月の埼玉県・八潮市で起きた陥没事故もこれが原因だと考えられている。

中でも、道路の陥没が多く発生するのは…夏場。 その理由は『猛暑』なのだ。
日本の多くの道路で使われているアスファルトは、高温になると柔らかくなる性質がある。 そのため、アスファルトの道路の下に空洞ができてしまった場合、猛暑によって道路が熱せられると、少しの負荷で陥没が起きてしまうというのだ。
専門家によると、今後も猛暑が続いていけば、陥没事故の発生件数は増えていく可能性があるという。

自動車・バイクが炎上! リチウムイオン電池の脅威

中国の大学で、停車していたバスが突然発火!
火は見る見るうちに燃え広がり…結果、計4台のバスが全焼したのだ。 駆けつけた消防隊により火は消し止められ、幸い 怪我人はいなかった。

今回、出火元となったバスは、電気自動車。 そして、このバスをはじめ、多くの電気自動車のバッテリーに使われているのが…リチウムイオン電池である。
実はこの電池、高温に曝されると、内部で異常な化学反応が起き、発火する危険性があるというのだ。
映像が撮影された日、この地域の気温は40度近くまで上がっていた。 現地の消防は、バッテリーの不具合が火災の主な原因であるが、『暑さ』もその要因の一つと発表。
また、専門家によれば、仮にバッテリーの不具合がなかったとしても、猛暑によって想定以上の高温になれば、このような火災は起こり得るという。

日本製のバッテリーは、しっかりとした安全設計が施されているため、このような事態が起きる可能性は低いというが…今月8日、神奈川県寒川町の郵便局で、充電中の電動バイクを含む、計28台の配達車両が燃える火事があり、その要因はリチウムイオン電池の可能性があると言われている。

さらに、昨年5月、長野県で車両火災が起きた。
火災の原因は『暑さ』と言われているが、この日の気温は30度程度。 また、この車両は電気自動車ではなく、自動車の部品から火が出たわけでもない。
出火元と考えられているもの、それは…スマートフォンなどを充電するためのモバイルバッテリー。 実は、ここにもリチウムイオン電池が使われているのだ。 一般的にモバイルバッテリーは、45度以下の場所での使用・保管が適切とされている。

こちらは、気温35度の炎天下でエンジンを停止した車の内部において、温度がどのように変化するか実験した映像である。 計測開始時、車内温度はおよそ25度。 ダッシュボードの温度はおよそ38度であったが…わずか5分で車内温度は、およそ10度、ダッシュボードの温度は、およそ15度も上昇。 さらに、1時間ほどで車内温度は、およそ50度、ダッシュボードの温度は、なんと70度を超えるまでに上昇したのだ!

実際に車内のダッシュボードにモバイルバッテリーを放置してみると…形が変形。 そして、およそ3時間後、火を吹きだした!
ちなみに、リチウムイオン電池は、スマートフォンやノートパソコン、ワイヤレスイヤホン、携帯用扇風機など、身の回りの多くのものに使用されているため、これらも高温下に放置しないように注意が必要だ。