オンエア

瀕死の父を甦らせた奇跡

イギリス・ノーサンプトンシャー。
ルーシーは、父・エドワード、母・シャーロットと共に、この街で暮らしていた。 そんな彼女は、幼い頃から両親の愛情を一身に受けて育った。
ルーシーの幼い頃の夢は、女の子のママになること。 そして、その子に『アメリア』という名前をつけると決めていた。
「アメリアちゃんは、み〜んなをハッピーにするんだよ!」

成長した彼女は、結婚式で花嫁のヘアセットをする、ブライダルヘアスタイリストの職に就くことに。
そして、長年付き合った恋人と婚約し、待望の男の子も誕生。 これには両親も大喜び! 頻繁にルーシーの家を訪れては、すすんで孫の面倒を見るほどの溺愛っぷりであった。

こうして、幸せな生活を送っていたルーシーであったが…それは、今から4年前のことだった。
エドワードが体調を崩してしまった。 エドワードは、吐き気や腹痛、下痢といった症状に襲われていた。

そのため、病院で診察してもらうことに。 胃腸炎と診断されたのだが、その後、回復の兆しどころか、日に日に悪化していき、ついには入院することに。
各種検査を受けたのだが…病名はおろか、原因もわからないと医師に告げられたのだ。 それは、どんな治療をすれば良いのか分からないということであった。

すると…エドワードは退院を希望した。 医師に止められたのだが、2週間後に行われるルーシーの結婚式に出席するため、強引に退院した。
結婚式の会場はルーシーが希望していたギリシャであった。 そして今から3年前の5月、予定通り式は行われた。 エドワードも病をおして参加。 エドワードは食事を摂ることもままならず、70キロあった体重はみるみる減少し、40キロ代になっていた。

さらに、その3ヵ月後…ますます体調が悪化していった彼は、再び入院することに。 その際も、医師たちによる原因究明が続けられた。 だが…どんなに検査をしても、病名を突き止めることができず…病魔はエドワードの体をむしばみ続け、重要な臓器が次々と機能不全を起こすまでに。

その結果、体重はさらに減少し、最終的には37キロに。 すると…医師から家族に向け、ある言葉が告げられる。
医師「DNRをお勧めします。」
それは、重篤な状態となった時、蘇生処置は行わないという提案であった。

それでも…ルーシーら家族は、エドワードの前では笑顔でいる、そう決めていた。 しかし、ルーシーたちからは、エドワードはどこか生きることを諦めてしまったかのように見えた。

そんな ある日のこと…ルーシーはエドワードにあるものを差し出した。 小さな紙袋に入っていたのは、胎児のエコー写真。 そう、ルーシーのお腹に新しい命のが宿ったのだ! 性別は女の子、名前は…アメリア!
ルーシー「父はとても感動していました。私が夢に描いていた女の子の赤ちゃんが現実になったことが、嬉しかったのだと思います。」

この4日後、孫娘に会うという目標が出来たエドワードは、病気の真相究明、治療法を求めて、より専門的な検査が行える病院への転院を決意。 そこで様々な検査を行った結果、ついに病名が判明。
それは…セリアック病
セリアック病とは、十二指腸や小腸内で、本来 体に害の無い小麦などに含まれるタンパク質のグルテンに、体を異物から守るはずの免疫が誤って反応。
その結果、栄養素を吸収できなくなってしまう病気である。 エドワードは、その中でもより重症とされる『難治性』と診断された。

病名が分かった事で、ようやく治療が開始される事となった。 消化器系の臓器治療のため、ステロイドと自己免疫抑制剤を投薬してもらい、24時間 常に静脈から栄養を摂取する。
だが、治療が遅れたため、臓器はすでに機能不全を起こしていた。 いつこの世を去ってもおかしくはない…その状況に変わりはなかった。

ルーシーら家族は不安を募らせていた。 だが…エドワードだけは違った。 「今の筋力じゃ…アメリアを抱く事が出来ない」と懸命にリハビリにも取り組んだ。
37キロまで落ち込み、最初は、立ち上がることすらままならなかったが、ゆっくり歩く事ができるように。 その後も、歩行器を使い、さらに長く歩けるように訓練を開始。 辛い治療に耐えながら、筋力を戻すリハビリを続けた。

そんなある日、ルーシーら家族は、医師から血液検査の結果を聞くことに。 なんと、エドワードは短期間で医師も驚くほど回復していたのだ!
ルーシー「あの衰弱状態から、短期間でここまで回復したことは奇跡としか言いようがない、同じ人とは思えないと多くの医師が驚いていました」

医師も驚愕するほどの回復力を見せたエドワードは、驚異のスピードで退院した。 今から2年前の1月、ルーシーさん待望の長女、アメリアちゃんの出産予定日に。 エドワードさんは、居ても立ってもいられず、病院でその瞬間を待っていた。 そして…ついに、対面を果たしたのだ。
エドワード「アメリアの存在は私に力を与えてくれました。初めて小さな命をこの胸に抱いた時は、夢が叶ったことが信じられなくて、言葉では表しきれない気持ちでした。本当に素晴らしかったです」

そして現在、エドワードさんは、通院は続けているものの、病気以前の元気な姿に戻ることができた。 そして、ルーシーさんら、大切な家族に囲まれ、幸せな生活を送っている。
幼い頃、ルーシーさんが夢見ていた、アメリアという名の娘。 その夢が現実となった時、『孫娘に会いたい』という想いを父に芽生えさせ、奇跡の復活へと導いたのであった。

ルーシー「父にとってアメリアの存在は、本当に大きな支えだったと思います。誰かのために頑張る、病気を治して大切な人に会うという目標が、原動力になっていたと思います」
エドワード「私は『人生の第二のチャンス』を与えられたと思っています。アメリアが私の人生に大きな足跡を残してくれたように、私も彼女の人生に足跡を残すことができるよう、いつでもどこでも、彼女に寄り添える存在でありたいと思っています」

アメリアちゃんが誕生して、今年で2年。 今回、エドワードさんに当時の話を伺ったのだが…エドワードさんが愛してやまない孫娘、アメリアちゃんの姿も! エドワードさんは今現在も、健康に暮らしており、アメリアちゃんと楽しい日々を送っているという。
さらに昨年12月には、家族みんなで、スペイン・カナリア諸島に旅行へ。 また一つ、家族との思い出ができ、幸せな時間を過ごしたという。
エドワード「私を応援してくれた多くの人々のおかげで、元気を取り戻すことができました。愛というものは、本当に力強いものです。自分を愛してくれている人を信じることが、大きな助けになりました。」
そして彼は、これからも家族との時間を大切に過ごしていきたいと願っている。