オンエア

実録!あの大ヒットドラマの基になった地面師事件!

地面師と呼ばれる詐欺師たちの暗躍ぶりを描いた配信ドラマがここ最近話題を呼んでいる。 実は、このドラマは日本有数のハウスメーカーが地面師たちに約55億円もの大金を騙し取られた、実際の事件から着想を得たもの。 元は新庄耕(しんじょう こう)氏の「地面師たち」という小説を原作として映像化したものなのだが、そもそもその小説が参考にしたものの一つが、ノンフィクション作家、森功氏が調べて書いた書籍なのだ。
闇の犯罪集団「地面師」とは、辞書にはこう記されている。 他人の所有地を自分の物のように偽って、第三者に売り渡す詐欺師。 今回われわれは、事件の詳細を綿密な取材のもとに書かれた書籍、そして事件後、被害にあったハウスメーカーがまとめた調査報告書、外部弁護士らによってまとめられた検証報告書をもとに番組を制作。 あのドラマを見ていない人はもちろん、見た人にとっても衝撃的な内容の連続! 闇の集団・地面師による詐欺、その全貌に迫る。

今から7年前、ある不動産会社と大手ハウスメーカーとの間で、大口の土地の売買交渉が進められていた。 取引の総額は、なんと70億円!
駅近の一等地を巡り進められたこの交渉…実は、地面師による綿密に練られた詐欺だった。

この地面師たちを束ねるリーダーの名は内田マイク。 純粋な日本人だが、素性を隠すために、地面師になってからわざわざ改名し、外国人のような名前を付けたという。
そもそも地面師とは、地主など他人になりすまし、自らが所有していない土地を第三者に売り渡す詐欺師たちのこと。

ノンフィクション作家、森功氏はこう話してくれた。
(内田は)不動産業界の中では、顔はともかく名前は知られている。大物地面師として。仮に大物地面師が取引現場に出てくると、バレる可能性があるので、黒幕として控えている。」
交渉現場に姿を現さない黒幕…ゆえに先ほどの交渉の現場にも、内田の姿はない。 また森さんによれば、地面師の首謀者は、たとえ自分の仲間であっても最終段階まで、計画のすべての詳細を明かすことはないのだという。
では地面師たちの巧妙な詐欺のテクニック! その全てをご覧いただこう!?

始まりは、さきほどの取引の1年前に遡る。 東京、山手線の五反田駅から徒歩3分ほどの600坪の土地に、内田マイクが目をつけたことから始まった。
そこに建っていたのは廃業した旅館、超優良物件だ。 かなり以前から、多くの不動産業者が購入したいと女将に接触していたが、彼女は首を決して縦に振らず、この1年前に旅館を廃業。 しかしその後も旅館に住み続けていた。

そこで内田は…旅館の隣の駐車場に着目した。 実は女将は、旅館と駐車場を含め、600坪もの土地を所有していた。 内田はその駐車場の空きがあるかを確認、契約を交わした。 なぜ、狙った土地にある駐車場を契約したのか…その目的は…契約を交わせば、なりすます人物本人の外見や生年月日、電話番号などの他、同居人がいるのか否かといった個人情報を入手できるから。 この時、得た情報で、女将が一人暮らしであることがわかった。 そしてその後、彼女が体調を崩し、別の区の病院に入院したという噂を聞きつけるや、計画を一気に推し進めることにしたのだ。

その計画とは、入院中の女将の代わりに別の人物、すなわち「ニセ女将」を用意して、旅館の土地を勝手に売り払うというもの。
この計画に必要不可欠な人物が…「手配師」。 女将になりすますような犯罪も厭わない、訳ありの人物を探し出す、その道のプロ。

そして地面師のターゲットとなったのは日本有数のハウスメーカー。 なぜ、狙われることになったのか?
実は…地面師グループはそのメーカーの担当者とパイプがある、不動産業者を見つけたのだ。 程なく地面師グループは…ニセ女将、そして、彼女の財務係を名乗る男を、この不動産業者に引き合わせた。

さらに不動産業者に対し、偽造したニセ女将の印鑑証明書やパスポートを見せることで、本物の女将だと信じ込ませると…その後3人は、一緒に公証役場を訪れた。 公証役場とは公証人と呼ばれる法律に詳しい専門家が、遺言書や契約書などといった書類の作成に立ち会い、より信頼性の高い公正証書を作成するところである。
ここで地面師グループは、巧妙に偽造したニセ女将の印鑑証明書やパスポートを提出、公証人により女将本人であることを確認してもらい、さらに女将と不動産会社との間で交わした土地の売買契約書、すなわち公正証書を作成していた。

事件の取材を行った森さんによれば、この不動産業者は後にこう語ったという。
(不動産業者は)ダマされたんだと言っている。自分は本物の地主だというふうに説明されたから、そうなんだと思って、なりすましだったが気づかなかった」
事実、不動産業者はその後、不起訴になっているという。

そして今から7年前、この不動産業者が大手ハウスメーカーに務める鈴木(仮名)にコンタクトを試みた。
不動産業者が、手付金2000万円を支払い、売買契約を結んだという。 そして、鈴木に取引を持ちかけたのだ。

鈴木はすぐに上司に相談。
前向きに検討すべきだと話したが、不動産業者が支払った手付金が少なすぎるのが不安だという。
手付金は売主の側が、その倍の額を買主に払うことで契約を解除することができる。 また反対に買主の側は手付金を放棄することで解除できる。
そのため、他にもっと高く買ってくれる相手が現れた時、女将が契約を売買契約を解除するかもしれないのだ。

後日、具体的な契約条件の打ち合わせが行われた。
財務係を名乗ったこの男、地面師グループの中で交渉役を担う、小山操。 少し前に地面師グループに加わり、内田の指示のもと、ハウスメーカーと直接のやり取りを担当することになったのだ。
小山は、女将は引っ越し先として新たにマンション購入を考えており、早急に3億円を調達したいと考えていると伝えた。 さらに…他にも土地の購入希望者が殺到しており、女将は早く契約をしてくれる会社と取引をすることを考えていると言った。

翌日、鈴木は、迅速な対応が必要だと上司たちを説得。
早急に売買契約の締結を目指す方針が決まり、契約を確実にするために、売主と不動産会社に大幅に上乗せした手付金を支払うことで話がまとまった。

契約条件の最終確認を行うため、女将とハウスメーカーが初めて顔を合わせる日がやってきた。
彼女が手配師が用意したニセ女将を演じる女性。 お金が必要な訳ありの主婦で、元保険外交員として働いていた。
森さん「大切なのは、なりすまし役は地面師の中でも地面師経験がない。面が割れていたら一発でアウトなので、素人をオーディションとかスカウトして、なりすまし役に仕立てるというパターンでないと詐欺事件としては成立しない」
とはいえ元はごく普通に働く主婦。 そんな素人が大金のかかった交渉の場で、本当に別人になりすますことなど可能なのか?

ハウスメーカー側にとってもが土地の所有者と対面するのは、この日が初めて。 メーカー側は、土地取引を行うにあたり、このときすでに社長の決済も取り付けていた。 そして、売主から契約解除されるのを防ぐべく、大幅に増額した手付金額を提示した。

この日の打ち合わせ後、女将が持つ土地を不動産業者が60億で購入。 それをハウスメーカー側に70億で売却するということが決まった。 10億円分が不動産業者の儲けとなる。
そしてパスポートや印鑑証明書、土地の権利証などといった必要書類をハウスメーカー側の司法書士がチェック。

この後、最大の難所が訪れる。 それは…司法書士による本人確認
だが、もちろんそのための手は打っていた! 女将になりすますために、素人の女性を内田らが徹底的に訓練していたのだ。
本人確認の際に使う偽造パスポートは顔写真が成りすまし役のもの。 これも地面師グループの一員が作成しているという。

森さん「地面師は詐欺という演劇を演じなきゃいけない。少なくとも10人くらいは必要になってくる。偽造パスポートを作る「道具屋」と言われている訳ありの印刷会社を知っている詐欺師がいたり、法律事務に詳しい弁護士か、弁護士会から除名になった人だとかね」
地面師グループはこの他にも、なりすまし役に演技指導をする教育係や、振込口座を用意する銀行屋など役割が細かく決められているのだという。

本人確認でボロが出ないよう、身元確認の担当者に成りきって質問、成りすまし役を鍛えていく。 とはいえ、練習通り、100%完璧にこなせるかはわからない。
ニセ女将はその後も質問に澱みなく答え、本人確認は無事終わるかに思われた。 それは個人情報を把握するための書類「確認記録表」に、書き込んでいた時のこと…住所を間違えて書いてしまった。 すると小山が「女将、ここ達筆すぎて読めません。22-25のところですよ」と言って、ニセ女将に正しく書き直させた

そして4日後、手付金を売主と不動産会社に小切手で支払うのとともに、売買契約書を締結するために再び関係者が集まった。 権利証自体に大して意味はないが、相手を信頼させるために「道具屋」と呼ばれる地面師グループの一員が敢えて古ぼけた加工を施し作ったものだった。
こうして売買契約が成立。 70億円のうち12億円が地面師グループにそして2億円が不動産業者に渡った。 残りの56億円については、3ヶ月後に49億円が支払われ、建物が解体されたのち、残りの7億円が支払われることとなっていた。

売買契約が締結されたことにより、所有権移転の仮登記の手続きがとられた。 これにより総額約70億の土地取引は大きく前進した、と思われたのだが…鈴木らにとって想像だにしていない出来事が!
発端は大手ハウスメーカー宛に届いた一通の手紙。 差出人は五十嵐民子、旅館の場所が住所となっていた。 その手紙には驚きの内容が記されていた!
「私は売買契約を締結していない。本件不動産の仮登記に用いられた印鑑は実印ではなく、偽造されたものである。よって、売買契約は無効である」と。
さらに五十嵐は面会謝絶で長期間入院中であり、売買契約に立ち会うことなどできる状態にないと記されていた。

さらにその後も…自身の持つ印鑑登録証のカード番号を記載した上で「真の所有者から買い受けない限り、所有権を取得することはできない」との内容証明郵便が立て続けに計4通も届けられた。
予期せぬ事態に、社内で緊急に対応が協議された。 しかし、手紙に記されていたのは差出人の名前と住所だけ。 女将が入院しているという病院名も書かれておらず、内容の真偽を確認しようにも、その術がなかった。 脳裏に過ったのは、他社が契約を破棄させるために出した、怪文書の可能性だった。

ハウスメーカーは、売主様の本人確認をもう一度行い、今度は手紙は「自分が出したものではないという」確約書をもらうことにした。 また、売主の知人に会いに行き、写真などで独自に本人確認を行ってはどうかという意見もでたものの、女将の機嫌を損ねることを恐れて、その案は却下された。
「確約書をもらうという行為」は言ってみれば、詐欺をしている人に「詐欺をしていますか?」と聞いているようなもの、ほとんど意味がない。

一方で本人確認については、それをしていることが知人経由で売主の耳に入る危険もあった。
結果的に詐欺を疑わず、こうした対応をしたことついて、事件後、外部弁護士らによってまとめられた検証報告書にはこう記されている。
『ハウスメーカーは長い歴史の中で、詐欺被害にあったことはなく、また、詐欺に巻き込まれそうになったということもないという。これは、有象無象が出入りし、生き馬の目を抜く不動産業界において、幸運だったということではあるが、それが故に内部統制システムが犯罪者に対する防御という観点で甘くなっていたとも考えられる』と。

手紙の事は、地面師たちにとっても予想外の出来事だった。 ハウスメーカー側がもう一度、女将に会いたいと言ってきたが、成りすまし役を何度も会わせるわけには行かない。 詐欺が発覚するリスクが増えるからだ。 地面師達は、適当な言い訳を言って、面会を拒否した。
そこで、ハウスメーカー側は、女将立ち合いの元の物件の内覧を申し込んだ。 たとえ物件を取り壊す場合であっても、建物によって解体費用が異なるため現地調査は欠かせない。 その時に女将に鍵を持ってきてもらえば、住人の可能性は高くなり、さらに中を案内してもらうことで、本人である確証を得られるのではとハウスメーカーは考えたのだ。

高額な取引のため、ハウスメーカー側もこのまま取引を進めることはできない。 それに実際、怪文書も送られてきている、このまま引き下がるわけにはいかなかった。 鈴木は必死に食い下がった。 すると…交渉役の小山は内覧を承諾した。

旅館の近所に住む人は、女将が入院していることを知っている可能性が高い。 内覧時に万が一、ニセ女将をみかけられでもしたら怪しまれる。 さらに、ニセ女将が旅館の中を案内し、部屋の中のことを何も知らないなどということになったら、詐欺がバレる可能性もあった。 果たして地面師たちはこの窮地をどう切り抜けるのか?

内覧日、当日。 女将の代理だという弁護士がやって来た。 女将は体調を崩してしまい、急遽、鍵を預かって来たというのだ。 こうして本人不在のまま、旅館の内覧が行われることになった。

実は地面師グループは、今回の土地取引の契約を結ぶに際し、ニセ女将を使い本物の弁護士に書類の作成などを依頼していた。 そして内覧の前に、弁護士に女将の体調が悪いと説明、鍵を渡していたのだという。 この弁護士はのちに、詐欺の片棒を担がされていることに気づいていなかったと証言している。 ちなみに鍵は、地面師たちによって事前にすり替えられていた。

本人が不在のため、部屋の中のことを知らなくても全く問題ない。 当時の様子について、のちに報告書にはこう記されている。
『内覧は約1時間にわたるもので、建物内を隈なく見て回った。』
『建物内覧自体は問題なく終わった。』

内覧という最大の窮地をくぐり抜けた地面師グループ。 旅館周辺でなければ、住人に目撃される心配もなく、詐欺発覚のリスクも限りなく低い。
地面師たちは約束通り、後日、ニセ女将をもう一度メーカー側に引き合わせた。 そして、メーカー側は内容証明の郵便を出していないことを確約する書類にサインを求めた。

内容証明の郵便を出していないことを確約する書類を書いている時だった。 交渉役の小山は、事態を沈静化するには、所有権の移転を早めた方がいいなどと言葉巧みに言うことによって、結果…当初、7月31日と予定されていた決済日を約2ヶ月繰り上げた6月1日にすることに成功! そう、彼らは内覧という最大の逆境を脱しただけでなく、決済の前倒しという、大きな収穫を得たのだ。

だが、内田はまだ安心できないと思っていた。 内田は、自分たちが犯した大きなミスを忘れてはいなかった。
しかも、まだ決済は終わっていない。 彼らはいまだ、残りの56億円を手にしてはいないのだ。

地面師たちがかつて犯したというミス…それは大手ハウスメーカーと接触する少し前、別の不動産会社を相手に同様に旅館の土地を使って詐欺を仕掛けようとしていた時のこと。
計画は上手く行きそうだったのだが…たまたまニセ女将が1人になり、不動産業者の営業マンとエレベーターが同じになった時の…
不動産「私の田舎の茨城なんですけどね。桜のすごく綺麗な場所があるんですよ」
ニセ女将「私の田舎にもね、桜の綺麗なところがあるのよ。私も帰って桜が見たいわ」という、何気ない会話だった。
その時、不動産業者は「五十嵐民子さんは五反田の旅館育ちで、他に故郷はないはず、どういうことだ」と不審に思った。 このひと言で不動産会社は成りすましに気づき、仮契約寸前で思いとどまったという。

ではなぜ地面師たちがなりすましを行っているという、情報がハウスメーカーに伝わらなかったのか?
森さんによれば、桜の一件で詐欺がバレてから、地面師グループがハウスメーカーに取引を持ちかけるまでそれほど間が空いていなかったのだという。 そのため、ハウスメーカーは知らなかったのだ。

決済日前日、支払いを2カ月前倒すという契約書を結ぶべく関係者が集まった。 それは本人確認書類を書いている時のことだった。 自身の干支を選ぶ欄で、間違ったところをチェックしてしまったのだ。 この時、小山は干支の漢字なんてわからない人はたくさんといると、誤魔化した。

そして、ブラックライトでパスポートのすかしをチェックすることに。 ブラックライトとは、紫外線を放出するライトのこと。 紫外線に反応する蛍光物質を浮かび上がらせることができる。
実はパスポートにブラックライトを当てると…偽造防止のために、紫外線に反応するインクで印刷された、本人の顔写真が浮かび上がるようになっている。
パスポートのチェックを通過し、書類の確認が終了した。 翌日、49億円が小切手で支払われ、そのうち約44億5000万が地面師グループに渡った。

だが、法務局に土地の登記申請が却下されたのだ!
ハウスメーカーはこの時、初めて自分たちが地面師たちに騙されていたことに気づいた!

では一体ナゼ、詐欺は発覚したのか?
手付金を支払ったあと、ハウスメーカーの司法書士が法務局に、ニセ女将からハウスメーカーへと、土地の所有権を移転する仮登記の申請を行い受理された。 しかしその後、法務局になりすましによる不正登記を防止する届出が出されたのだ。 差出人は、本物の女将の親族。 女将は旅館の土地を実母から相続していたのだが、彼女には、母親が違う弟が二人いた。 二人の弟は、女将が亡くなると旅館の相続権を得る。 この弟たちが、旅館の土地に関して不審な動きな動きに気づき、法務局に届出を出したのだ。 そこで法務局が改めて調べたところ、なりすましが発覚したのだ!

ちなみに女将の名での手紙を書いたのも、この兄弟であることがのちの裁判で認定された。 森さんによれば…二人はすでに法務局に働きかけていたので、いずれ、正式になりすましが発覚すると思い、ハウスメーカーに対しては土地の所有者である女将の名前で忠告するだけに留めたのではないかという。

この事件を振り返り、森さんはこう語る。
「詐欺師は人の欲望に漬け込んでやってくる」
もちろん、土地の売買は人と人との信頼関係で成り立っている。 相手を信じることは重要ではあるが、ただ盲目的に信じてしまうと、相手に漬け込まれる可能性があることを知っておくべきだという。

大企業を騙した地面師達はその後どうなったのか? 事件が発覚した翌年10月、成りすましを行った女性と手配師が逮捕された。
この二人の逮捕直前、自らに捜査の網が迫っていることに気付いたのか、羽田空港からマニラに逃亡した人物がいた。 地面師グループ内の交渉役、小山である。 彼は事件前からリトアニア人と結婚していたため、カミンスカス操(みさお)と名乗っていた。 しかし逃亡生活も長くは続かず、出国してから2ヶ月後、マニラで逮捕された。
ちなみに森さんによれば、小山は自分は土地の売買を行なっていただけで、詐欺やなりすましの計画などについては、知らなかったと語っていたという。

そして事件の首謀者、内田マイク。 内田はハウスメーカーの一件よりも前、別の地面師詐欺に関与したとして逮捕されていたのだが、その保釈中に今回の事件を計画、実行に移していた。
しかし、ニセ女将や手配師など関係者が続々と捕まった結果、首謀者である内田の存在が浮かび上がり、逮捕された。

今回の事件で逮捕された地面師グループのメンバーは、少なくとも17人にのぼる。 詐欺罪などの罪に問われ、逮捕された17人のうち10人に有罪判決が言い渡された。 ニセ女将と手配師が懲役4年、逃亡した小山・懲役11年、リーダーの内田が懲役12年。

建物を取り壊した後、支払われる予定だった。 約7億円を除き、ハウスメーカーは約63億円分の小切手を渡していた。 しかし、逆にニセ女将が住むためのマンションの売買契約を約7億5000万円で結んでいたため、最終的な被害額は約55億5000万円になったという。 そのうち、不動産会社の取り分を除く、約49億円が地面師グループに渡ったとされるが、その多くは闇に消えたという。
その後、ハウスメーカーは、有罪判決を受けた10人に対し、損害賠償を求め民事訴訟を起こした。 そして、そのうち5人に計約10億円の支払いを命じる判決が下された。

最後に、長年「地面師」を取材してきたノンフィクション作家の森さんによれば、地面師事件にはある特徴があるのだという。
「地面師事件として、要は10人逮捕しても、5人とか3人しか有罪に問えない。その他はみんな野放しになってしまう。または仮に有罪に問えたとしてもさほどの罪には課せられない。それは法律の問題があったり、捜査そのものが難しい。結局、取り逃した人は野放しになって、新たな詐欺を起こすこともあるし、社会に舞い戻ってきてまた同じ犯罪を繰り返すというパターンが繰り返されるというのが現実ですね」