オンエア
続いてのミステリーは、岩!ということで、謎を解き明かすのは今回も!
「三度の飯より花崗岩 関西学院大学 下岡和也です」
過去2回番組で奇岩のミステリーを解明した若き岩石のエキスパート!
今回、ミステリアスな岩を求め、まず我々が降り立ったのは、アメリカ西部サウスダコタ州!
そう、アメリカを代表する4人の大統領の顔が彫刻されたマウントラシュモアが有名な地。
しかも、岩石の種類は…
下岡「全体的に花崗岩なんですけど、彫刻をしようと思うと硬い岩石なんですけど、岩石自体が硬いのでかなり綺麗に残りますよね」
実際、硬い岩を掘る作業は困難を極めたという。
約400人の作業員が、じつに14年間もかけて彫刻を施しアメリカの発展を称えた。
先生とやってきたのはニューメキシコ州・アルバカーキ。
ここは、今から77年前、空飛ぶ円盤が墜落し、米軍が回収したと発表、全米を騒然とさせた「ロズウェル事件」で有名となったエリアだ。
町にはエイリアンをモチーフにしたオブジェも。
そう、エイリアン所縁の地域なのだ!
そして街から約250キロ離れた場所にまるで映画スターウォーズの舞台のような光景が広がっているという!
現場近くまでは車で行ったものの、最後は道路すら整備されておらず、携帯の電波も届かない。 日中の最高気温は37度! しかも、乾燥地帯ゆえ木陰もなければ建物もない、猛暑の中、道なき道を約4km歩かなくてはならないのだ。 熱さを凌ぐため朝9時に歩き始め、1時間。 まるでSF映画のセットの様な不思議な岩が林立している。
その形から「キノコ岩」と呼ばれている特徴的な形のものまである。
下岡「支えている指が数本しかない支えている様に見えるけど、片方全く仕事をしていない。何でこれで倒れないの?」
しかし、訪れる者を最も驚かせる岩はこれらではないという。
さらに奥に進むと…ターゲット・ロックオン!
これまで見てきた奇岩とは全く違う。
自然の力が偶然作り上げたとはとても思えない。
まるでアート作品のような造形物。
芸術的な空洞や、繊細な網目構造はどうやって出来たのか?
一見して、地球とは思えない景色の中にあることとその形から、この岩はエイリアンの玉座と呼ばれている。
流石の先生もその成り立ちの説明に困惑!
実は、これらの奇怪な岩石群、ごく一部の観光客には知られているが、これまで本格的な調査が行われたことは無かったのだという。
しかし、先生は岩石研究の若きエキスパート!逆に燃えてきた!さっそく岩を調査。
エイリアンの『玉座』『キノコ岩』ともに、砂が固まって出来た堆積岩の一種、砂岩という岩であることが分かった。
そして、よく見ると、傘の部分だけは赤茶けた色になっている。
さらに調査を進める先生だったが…この岩には大きな亀裂が入っており、いつ壊れてもおかしくないという。
そこで周囲に落ちている傘の部分のカケラらしきものも調査。
果たして、赤茶けた部分は何なのか?
そして…「謎は全て砕け散りましたよ」
果たしてこのミステリーの真相は?
下岡先生によれば、この辺一帯は太古の昔、海に近いところで、砂や泥が堆積して出来た岩が地殻の変動によって隆起、地上に現れたのだ。 その証拠に現在も、地層をしっかりとみることのできる岩の固まりも存在している。 そこから、長い年月の間、風雨にさらされた結果、周囲が削られ残ったのがこれらの岩。 そしてほとんどの岩にはある特徴が…一番上に一枚岩の硬い岩石が乗っかっている様になっていること。
下岡「おそらく上の一枚岩と同じもので落ちているものを調べました。かなり赤ちゃけて変色していました。あと擦ったら鉄臭かったんで」
その結果、赤ちゃけた部分は鉄が混じったものだと判断。
先生によると元々、岩石の中に鉄を含む鉱物があった。
これが、雨などと反応し鉄の成分が水に溶け、酸素と結合、錆びた状態となる。
下岡「これがかなり優れもので、砂粒と砂粒の間をボンドみたいに止めてくれる。そのため結構固くなっているんですね」
1番上の一枚岩が硬いと何が起こるというのだろうか?
下岡「雨降ったときに傘を差すと思うんですけど(一枚岩が)傘の役割をして雨を凌いでくれた。なので下の弱い地層の部分はドンドン削られているんだけど、傘があるから削れ残って柱のような形になる」
下岡「これまで説明した大自然の作用だけは、エイリアンの玉座に虫食い上に穴が空いているのか説明できません」
そこにはエイリアンの玉座の一枚岩、まるで自転車のサドルのようにえぐれたような形が関係しているのだという。
下岡「雨の日にさしている傘の大きさや形が変われば、濡れ方が変わるのと一緒ですね」
下岡先生の見立てでは雨が降った際、下の柔らかい地層がサドルの形に添って削られていき、穴が空いた様になったのではないかという。
そして柱部分に網目がある理由としては…
下岡「弱い部分、硬い部分、弱い部分、硬い部分という感じで、どんどん積み重なっている。硬い部分は削れ残って、モコっとしているし弱い部分は削れてきゅっとした状態になっています」
下岡先生の見立てでは一番上の傘の部分の重さは、およそ500㎏!
スタッフ「結構網目でボロボロになっているのに500㎏。支えられてるんですね」
下岡「そうですね。これが自然の力ですね。太い柱で支えているんでしょうね」
悪魔の塔という名を持つ岩は一体どんなものなのだろうか?
やってきたのはワイオミング州の平原地帯。
この岩には、こんな伝説が残されている。
遙か昔、7人の姉妹が家に帰る途中大草原で迷ってしまった。
すると運悪く、腹を空かせた巨大で凶暴なクマに追いかけられることになってしまう。
姉妹は必死に逃げるも、巨大グマが襲い掛かる!
そんな絶体絶命の状況の中、彼女たちは神に助けを求め必死に祈った!
すると、突然足元から岩が隆起!みるみるうちに巨大なタワーとなり、彼女たちを持ち上げたのだ。
巨大グマは少女達を捕まえようと、何度も岩のタワーを登ろうとしたが、やがて諦め帰っていったのだという。
ガイド「タワーの側面には、熊が引っ掻いた爪痕がくっきりと。今もなお、深く残っているんです」
そんな伝説からアメリカ先住民族はその岩を「ベアーズタワー」クマの塔と呼んでいた。
ところがその後、やってきたアメリカ軍人が聞き間違え「デビルズタワー」悪魔の塔と呼ばれるようになったのだ。
実はこの岩地質学者である下岡先生自身も非常に思い入れが強い様で…
下岡「地質学の現象として世界で1・2を争うくらい有名な所なので、本当にそれが見たくて…地質学を始めた頃から気になっていた所です」
そんな興奮状態の先生と共に、岩の全貌が見える現地ガイドおすすめの場所へと向かった!
そして…ターゲット・ロックオン!
大草原の1カ所から突如隆起したかのように突き出た巨大な岩。
高さは264m。
頂上部分は東西に61m、南北に122m!
そして、伝説に登場した巨大クマのひっかき傷のようなタテ縞が側面すべてにクッキリ。
ここで大きな疑問が浮かび上がる。
広大な草原になぜ巨大な岩がひとつだけ出現したのか?
そして、引っ掻き傷のような、側面のタテ縞は何なのか?
その謎を探るべく岩が無数に転がるデビルズタワーの麓に移動した。
ここで下岡先生、何かに気付いた。
下岡「わかるかな?指さしている先、スゴい六角形」
そう、タテ縞の断面、実は六角形なのだ。
さらに、デビルズタワーから落ちたと考えられる麓の岩の断面も六角形。
そう、この六角形の断面こそが、デビルズタワーの謎を解き明かす重要な鍵なのだ!
果たしてこのとんでもない岩のミステリーの真相は!?
下岡「デビルズタワー自体がマグマが地下で冷えて固まった事で出来た火山岩という種類の岩石です」
マグマが冷えて固まっていくときに寒くなって冷えていくとドンドン小さくなる。色んな所で小さくなり始めるので、溶岩の体積が縮むため、隙間が出来て、割れ目となる。
その割れ目は、どの方向にも安定した形として六角形になりやすい。
デビルズタワーも六角形の柱が集まっていることがわかる。
下岡「割れ目のことを節理といって。柱みたいに見えるので「柱状節理」と言います。それが、ざっと熊が引っ掻いたように見えている」
ではなぜ、広大な大草原の中にデビルズタワーのような巨大な岩が、ピンポイントで出現したのか?
恐竜が生息していた2億年以上前、ここは海に面した場所だった。
そこに、風や水によって運ばれた砂や泥が積もり、堆積岩が広大に広がった。
その後、1億5千万年以上の時が流れ…
下岡「デビルズタワーを構成するマグマがその堆積岩の中にズバっと入ってきた。マグマが貫入したって言うんですけど」
その後、冷えて固まり、大きな岩となった。
周りの堆積岩の層よりも固かったため、周囲が風雨で削られても、風化しづらく、草原の中に巨大な岩だけが残ったのだ。
実は、この周囲には同じような成り立ちの岩がいくつかあるのだが、他のものは風化が激しく1つの巨大な岩だけがあるように見えていたのだ。
さらに、こうした「柱状節理」が生み出す芸術的絶景はデビルズスワーだけではない。
イギリスの世界遺産・ジャイアンツ・コーズウエイ。
「巨人の石道」と名付けられたこの場所は、柱状節理でできた石畳の上を歩くことができる。
さらに日本にも! こちらは宮崎県にある「高千穂峡」。
阿蘇山の噴火で流れてきた火砕流が冷え固まり、川に削られ、見事なV字渓谷が誕生。
「柱状節理」を川下りしながら満喫できる。
さらに兵庫県の「玄武洞」。
160万年前の火山噴火によって出来たこちらの特徴は、縦と横、2種類の「柱状節理」を同時に鑑賞できること。
美しく壮大な模様が多くの人を魅了している。
世界中で見ることができる柱状節理だが、中でもデビルズタワーが魅力的なのは…その世界最大級の大きさ。
圧巻のスケールで見る人を驚かせている。
下岡「いやもう写真とかでは伝わらない。スケールの大きさですよね、大好き」
アメリカ・アリゾナ州の北部に広がる砂漠地帯。
見る者を虜にする、お宝が、そこかしこに転がっているという。
地元の方に聞いてみると…
「あれを家に持ち帰ってしまった人は、石が持つ呪いまで持って帰ってしまって、とんでもない不幸な目に遭うんだ。あのお宝は呪われているに違いないよ」
そんな悪い噂を知りながら、それでも出来心から持ち帰ってしまう人は後を絶たず、不幸になった人々からの謝罪の手紙と、その「お宝」の返送が後を絶たないという。
そんな禁断のお宝とは一体どんなものなのか?
それがあるという国立公園を歩いていると…ターゲット・ロックオン!
一見、ただの石に見えるが…よく見ると何やら輝いている!
キラキラしているだけでなく、ガチガチに硬い!
果たしてそれは?このミステリーの真相は!?
下岡「珪化木という木の化石なんです」
実は、この国立公園には、この様な木の化石がたくさん転がっている。
通常、木は時間が経てば腐敗していって腐るのだが、倒れた木が河口に運ばれ、そこへ流れてきた砂や泥に完全に覆われると、酸素と触れることがなくなり、腐らくなるのだという。
そうした木に長い年月をかけ、土の中の様々な成分が入り込み、石化していくのだ。
中でもケイ素という物質が入り、水晶やオパールなどの鉱物ができたものは、この様に輝くのだという。 木が化石になるまでには長い年月がかかると言われていて、この地のものは約2億年前の木が化石になっているという。 呪いについては、長い時間をかけで出来た貴重なもののため、乱獲されないようにと噂が流されたのではないかという説もあるそうだ。