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目覚めたら15年後にいた女性

今から11年前、アメリカ・オクラホマ州タルサ。 ジェフとその妻・アンジェラは、この街に暮らしていた。
アンジェラは元々、ジョンという男性と結婚していた。 その後、長男と長女をもうけ、幸せに暮らしていたのだが…1998年、ジョンが病気でこの世を去ってしまう。

その2年後、シングルファザーとして二人の子供を育てるジェフと出会い、2001年に結婚。
ジェフ「私とアンジェラは教会で出会いました。一目惚れでした。互いの事を想い合える、そんな夫婦だったと思います」
それから12年、アンジェラの連れ子の長女だけ家に残り、他の子供達は自立。 何一つ不自由のない、幸せな生活を送っていた。

だが…アンジェラは帰宅を急ぐあまり、交通事故に遭ってしまう。 一命は取り留めたものの、頭蓋骨を骨折。 さらに体の一部に障害が残り、視力や聴力を部分的に失った。
それだけではない、アンジェラは記憶を失っていた。 しかも…全てではなく、直近15年間の記憶だけを。 果たして一家の運命は?

2013年に事故に遭ったアンジェラ。 しかし記憶は1998年までしかない。 つまり2人の我が子も…覚えているのは、15年前の姿のみ。 さらに、彼女の中ではまだ前の夫のジョンと暮らしており…死後、再婚したジェフは見ず知らずの存在だった。

まずジェフは、1998年までの記憶しかないアンジェラに15年の間に起こった出来事をありのまま伝えた。 だが、アンジェラにとっては、いきなり15年後にタイムスリップしたようなもの。 覚えていない現実を突きつけられる度に、パニックに陥った。

そして、事故から1年後。
記憶は、依然として戻らなかったが、退院し、自宅での生活を始めることとなった。 アンジェラは、事故の後遺症により、今まで出来ていた事も出来なくなっていた。

その後もアンジェラは現実を…そしてジェフの事を受け入れられず、心を閉ざしたままであった。 そこでジェフは、リビングの目立つところに、家族との思い出の写真を飾った。 さらに、2人の結婚式の映像も見せることに…少しでも記憶が戻る事を信じて。
しかし、その想いが届くことはなかった。

ジェフは、記憶を無理やり蘇らせようとする事をやめた。 その代わり、一緒にパズルをしたり、休みの日には、散歩やショッピング、食事に出かけたりとごく普通の生活を送った。 もちろん、診察に行く時は必ず付き添い、家事やアンジェラの世話も全てジェフが行った。
事故から5年が経った頃には…アンジェラは、素直にジェフを頼るようになり、笑顔も見せるようになった。

そして、今から6年前の2018年6月。 ジェフとアンジェラは、ある事を行った。
それは…2度目の結婚式

ジェフ「彼女が1度目の結婚式を覚えていない事は分かっていました。一緒に暮らし始めた頃の記憶はない。だったら、もう一度結婚式を挙げて、残りの人生、ずっと思い出してもらえるようにしたかったんです。」
アンジェラ「一緒に過ごしていく中で、ジェフを愛しているんだと心から感じました。」
スタッフ「では、もう一度、恋に落ちたという事ですね?」
アンジェラ「はい。」

式には、2人の子供たちやアンジェラの治療に尽力してくれた病院関係者などを招待。 皆が二人を祝福した。 2人は互いに誓いの言葉を交わし…2度目の指輪交換を行った。
そして式の最後、ジェフからこんな言葉が…
「私たちにとって大切な、この式に参加してくださった事を感謝します。」
「私の仕事は君の記憶になる事だ。これからもたくさん忘れたくないことが起こると思う。本当にありがとう。ここまで長い道のりだったね。これからも長い道のりが待っている。一緒に歩いて行こう。」

アンジェラさんの記憶は現在も戻ってはいない。 さらに、身体には事故の後遺症が今も残っている。 それでも、ジェフはずっと彼女を支え続けている。
ジェフ「怪我が全てを変えました。私たちは、もう昔の私たちではない。事故によって、今ある私たちになれました。私も妻も、この出来事を通して成長出来たのです。」