7月7日 オンエア
短冊に込めた願い 夫婦の絆が生んだ「七夕の軌跡」
 
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沖縄に住む安次富夫妻、年の差15というふたりだが…明るいやよいさんと寡黙ながら優しい郁哉さんの夫婦関係は円満、おしどり夫婦とみられていた。
しかし、今から5年前のある日…
「君と一緒に歩きたくない」
優しいはずの夫から飛び出た衝撃的な一言。 だが、その言葉が 夫婦に「七夕の奇跡」をもたらすことになる!

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2人の出会いは、今から23年ほど前、やよいさんは30歳で一念発起し、地元沖縄の看護学校へ通っていた。 そこで保健学の授業を教えていたのが郁哉さんだった。 やよいさんは看護師の資格を得たのち、保健師になることを目指していたが、保健師の採用は年齢制限があることが多かったため。 生活の安定を考え諦めるべきだと、みなに反対された。 しかし、郁哉さんだけは反対しなかった。 年の差15歳、しかも郁哉さんはバツイチ、最初は恋愛感情などなかった。

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その後、郁哉さんは福岡の大学で教鞭を取るようになってからも、忙しい中、電話で疑問点に答えてくれるなどしてくれた。 保健師になれるよう懸命にサポートしてくれる郁哉さんに、やよいさんは惹かれていった。 そんな郁哉さんのサポートもあり、やよいさんは晴れて保健師の試験に合格。 その頃には交際が始まっていた。

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そして…今から20年前の今日、やよいさんが34歳の七夕の日に二人は入籍した。
苦労しながら育ててくれた母にとって、唯一の娘。 もちろん、花嫁姿を見せてあげたい思いはあったが…郁哉さんはバツイチでもあり、やよいさんは世間体を気にした恥ずかしさや仕事の忙しさから、式を行う気にはなれなかった。 さらに、体型へのコンプレックスもあったため、花嫁姿での写真の撮影すら断っていた。

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その後、郁哉さんは沖縄の大学に移り、教授に就任。 やよいさんも一緒に沖縄に戻り、保健師として忙しく働く日々。 あっという間に結婚してから15年がたち、やよいさんにはある悩みが…昔から体型にはあまり自信がなかったやよいさんだが、49歳になり、さらにふくよかになりだしたことを気にしていた。

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そして、昔から文句も言わず優しくしてくれる郁也さんに彼女はどうしても聞いてみたいことがあった。
「ぽっちゃりなこと本当はどう思ってるのかな?」
そんなモヤモヤを解消するべく、体型のことをどう思っているか聞いてみると…「やせないと、君と一緒に歩きたくない」という言葉が返ってきた。 普段は不満ひとつ言わない優しい夫、だからこそ、その言葉が胸に刺さった。

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一念発起したやよいさんは、ダイエットを開始。
結婚してからの15年間、たびたびダイエットに挑戦していたものの、ことごとく失敗。 だがこの時は挫けそうになるたび、夫の言葉を思い出し踏ん張った。
そして、わずか2ヶ月で8キロのダイエットに成功したのだ。

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ダイエットに成功した年の七夕。 二人は15回目の結婚記念日のお祝いに食事を摂ろうとホテルを訪れていた。
その時、ホテルが七夕に企画したイベントを行なっていた。 番号が振られた応募用紙に連絡先を短冊に叶えたい夢をそれぞれ書いて応募。 ホテル側が選考し、夢を叶えたり賞品を送ったりするというものだった。

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二人も短冊を書いてみることにした。 夫婦とはいえ恥ずかしいので、お互いに何を書いたかわからないように離れて願い事を書き…それぞれ別々に吊るした。
この後、思いも寄らない七夕の奇跡が起こるとも知らずに。

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その3週間後…ホテルからやよいさんの夢が選ばれたと電話で連絡があった。
やよいさんが書いた夢、それは…『結婚式を挙げていないから、記念写真を撮りたい』というもの。 夫からの一言で痩せたこともあって、今こそ花嫁姿をという思いが膨らみ、書いた願い事だった。

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しかし、写真自体は短冊に書かなくても撮ろうと思えば撮れるもの。 なぜ、そんな願いを書いた自分の短冊が選ばれたのか?
実は、ホテルは先入観を持たないよう願い事だけで選考を行なっていたのだが…二つの願いが最終候補に残っていた。 そこで、応募用紙の番号と照らし合わせて、連絡をとりその思いを聞いた上で決めることに。

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すると、あることが分かった。 なんと、もう一つの候補は郁哉さんが書いたものだったのだ!
郁也さんが短冊に書いた願い事は…
『結婚記念写真を未だにとっていないので、妻のために是非夢を叶えてください 再婚夫』
離れて書いていたにも関わらず、二人は揃って同じ願いを短冊にしるしていたのだ。

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しかしなぜ郁也さんはこの願いを書いたのだろうか? 実は、郁也さんは結婚後も幾度となく記念写真の撮影を提案していた。 だがその提案を拒まれるたび、彼女がバツイチの自分に気を遣っているのではないかと思い、15年間ずっと心がかりだったという。
さらに、実はこの頃、やよいさんの母・初枝さんが認知症を患い介護施設に入所。 日に日に物事を思い出せなくなってきていた。 そこで義母にも花嫁姿を見せてあげたいと思った。

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しかし、やよいさん本人にはすでに何度も断られているため、その願いを短冊に託した。 つまり、彼の夢はホテルに何かをしてもらいたいというものではなく、彼女にその気になってもらいたいというものだったのだ。 寡黙な郁哉さんが書いた短冊の短い文に15年分の、やよいさんへの思いが詰まっていた。
高齢のお母さんへの想いもあって強い口調になってしまった、ダイエットのきっかけとなったあの言葉。 だが、もしあの言葉がなければ、やよいさんの必死のダイエットは行われず、その後、短冊に願いを書くこともなかった。 そう思うと、あの言葉こそが、今回の奇跡を産んだとも言える。

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そして、やよいさんから事情を聞く中で、2人がお互いの願いを知らずに短冊を書いていたことを知ったホテル側はさらに感動、結婚式を挙げることを提案した。 二人が互いを思い合う姿に心打たれたホテルが、費用の一切を負担し、結婚式を挙げることを提案してくれたのだ!
この結婚式に集まったのは夫婦の親族約40人。 その中には、85歳になるやよいさんの母・初枝さんの姿もあった。
15年越しに挙げた結婚式。 それは、やよいさんと郁哉さんの夫婦の絆が生み出した、まさに七夕の奇跡だった。

そして、あの七夕の奇跡から5年、ご夫婦は今日で20回目の結婚記念日を迎えた。 最後にお二人にこれから先の人生を、どんな風に過ごしていきたいか聞いてみた。

郁也「よくあるのは恋愛はお互いを見ているという話があるじゃないですか、夫婦の場合は前を見てその先まで考えて見ているというのがあるんですけど、僕らの場合はいつも目を見て、そして更に前を見て一緒に行こうと僕自身はそう思っています。」

やよい「老化してこれから年老いてきてどんどん弱っていくんですけど、そこを見越してお互いで、どうやって上手く向き合いながら仲良く やっていけるかというところ…寄り添いながら頑張っていきたいなと思います。」