6月9日 オンエア
半世紀越しの奇跡 人生変えた「差出人不明の手紙」
 
photo

今から6年前、アメリカ・ミネソタ州。 その日、ジーン・ヴォクスの家に奇妙な手紙が届いた。 それは、見覚えのない住所から届いた差出人不明の手紙。 不思議に思ったジーンは、封を開けてみることにした。 手紙には、会ったこともないデニーという老人の半生がつづられていたのだが…それはこれまでの彼女の人生を揺るがす、ある重大な事実を告げるものであり…やがて交わるはずのなかった運命が交錯することとなる。

photo

始まりは、それより2年前にさかのぼる。 とあるパーティーに一人の男性が出席していた、デニー・ヴィナー。 実業家として成功した彼は、70歳を過ぎ、晩年を謳歌していた。
パーティーで「もしも自分が余命60日ってわかったら、誰と一緒に過ごしたい?」という会話になった。 各々が、有名人の名前をあげる中、デニーは「カレン・リーマン」と答えた。

photo

デニーが人生の最後に会いたいと願った人物、それは…カレン・リーマン。 高校時代の初恋の相手だった。
一緒にいるだけで、心から幸せだった。 愛し合う気持ちは募り、お互い運命の相手だと信じた。 そして、デニーが高校卒業間近となったある日、デニーは彼女にプロポーズをした。

photo photo

だが、まだ高校生だった2人の結婚は互いの両親の反対により、叶うことはなかった。
高校卒業後、デニーは兵役に就くため故郷を離れた。 だが遠く離れていても、カレンへの愛は変わらず、毎日のように手紙を書いた。 時間が経てば、彼女の親も認めてくれる…そう思っていた。 しかし、なぜか彼女から手紙の返信が届くことはなかった。

photo

だが、実はこの時…まだ高校生だったカレンにデニーとの恋愛を許すことができなかったカレンの父によって、彼の手紙はすべてなかったことにされていたのだ。 運命に思えた2人の初恋は、若さゆえに静かに幕を閉じた。
その後2人は、互いに別のパートナーを見つけ、結婚。 違う町で、それぞれやり甲斐のある仕事につき、お互い子供にも恵まれ、別々の充実した人生を歩んでいった。 あの恋は、自分が嫌われて終わったという誤解だけを残して。

photo

やがて半世紀が経ち、70歳を過ぎたデニー。 長年連れ添った妻とは11年前に離婚し、独り身だった。 余命僅かだったらと考えた時、会いたいのは記憶の彼方にいたカレンだった。

photo photo

翌日デニーは、友人が誘ってくれたSNSに登録し、カレンを検索してみた。 すると、なんとすぐにカレンのアカウントが見つかったのだ。
そこには連絡先も書かれており、懐かしさのあまり、気づくと電話をかけていた。 カレンもデニーのことを覚えていてくれていた。

photo

その後2人は、毎日のように連絡を取り合った。 カレンの夫は4年前に他界。偶然にもお互い独り身だった。 電話を重ねるうちに、あの頃のかけがえのない時間が戻ってくるように感じた。
最初の電話から3カ月後、離れ離れになった2人は半世紀ぶりに再会。 そして、互いに運命を感じた相手との初恋はついに実り、2人は結婚したのだ。

photo

結婚してからおよそ1年後。 デニーは、カレンにある提案をした。
「カレン、やっぱり『彼女』を探してみないか?」
迷いながらも2人が探そうとしたのは…そう当時カレンのお腹に宿っていた二人の子供だった。 実はあの時、高校生だったデニーが、プロポーズに踏み切ったのは、カレンが妊娠したことが理由だったのだ。

photo

だが、二人の両親は猛反対。 当時、ミネソタ州では中絶が違法だったため、出産をすることにはなった。 しかし、今よりも世間体が重要視された時代だったこともあり、カレンの両親が勝手に養子縁組の話を決めてしまったのだ。 そして、出産後過ごしたわずか1時間が、親子3人の思い出のすべてとなった。

photo photo

娘が新しい家族のもとで幸せに暮らしていると信じてはいたものの…同じ年代の子供の姿を見ると、手放した娘のことを思い出し、胸が痛んだ。
そして2人は、カレンの両親が子どもを託した養子縁組協会を探し当て、娘の行方を追った。 幸い娘は自分の遺伝疾患などの情報があれば、知りたいと現在の連絡先を伝えていたため、協会を通じ娘に手紙を書くことができた。

photo

その手紙を受け取ったのが…ジーンだった。 差出人ののない奇妙な手紙には、顔も知らなかった両親の真実が書かれていたのだ。
手紙を読んだジーンは…
「最近結婚したこと、2人の恋愛、私に会いたがってくれていること…いろんな感情で頭がパニックになりました。(本当の両親が)どんな人たちか考えたことはありましたが、会おうと思ったことはありませんでした。でもなんどもその手紙を読み返して『あなたに会えたら、私達の人生は救われる』という言葉を読んだとき、本当に涙が出ました。ずっと苦しんできたんだなと思いました。」

photo

そして、ついに親子三人は再会を果たした。 そして、再会した年の感謝祭では、デニーとカレンそれぞれの子供たちに加え、ジーンの娘や孫まで総勢21人が一堂に会し、3人の再会を祝福。 家族の輪はさらに大きくなった。

photo

初恋の相手と、およそ半世紀ぶりに再会を果たし、生き別れた娘とも再会することができた、デニーさんとカレンさん。 奇跡の再会から今年で6年…ジーンさんの娘も結婚・出産していたため、デニーさんとカレンさんには突如ひ孫ができたことになる。 デニーさんたちが、ジーンさんの家の近くに引っ越してきたこともあり、しばしば家族で集まり、パーティーを開いているという。

photo

そして、そんな2人には、最近になって始めたことがある。 それは、お土産店の経営。 2年前に空き店舗となった雑貨店を買い取り、オープンさせたのだ。
誰かを愛おしく思う気持ち、それが人と人をつなぎ、新しい幸せの形をつむいでいく。