12月16日 オンエア
クリスマスに起こった奇跡
 
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昨年のクリスマス、コロナ禍のアメリカで、まるでおとぎ話のような出来事は起こった。
「サンタクロースから私に、素晴らしいクリスマスプレゼントが届いたのです。おかげで私は…人生を取り戻す事が出来ました」
「思いもよらないクリスマスプレゼントによって、私の人生が変わりました」
このおとぎ話のようなストーリーの裏には、ある男の決断があった。

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アメリカ・サウスカロライナ州で暮らすエリオットは、2人の娘を持つ父親。 子供たちの母親と別れたため、娘たちと一緒に暮らしてはいなかったが、休日に会い、共に過ごす時間が何よりも楽しみだった。
昨年2月、それまで飲食関係の仕事に携わっていたエリオットは、念願だった自分のレストランをオープンすることになった。 自らの夢を叶え、幸せの実現に向けかじを切った、そんな矢先のことだった。 最愛の父が他界したのだ。 車の整備士だった父は、朝から晩まで仕事をする働きもので、とても優しい性格の持ち主だった。

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エリオットたちの家は特別裕福ではなかった。 だが、お客が困っていれば、支払いを延ばすのは当たり前。 いつも他人を気にかけ、人助けばかり…自分の時間など全く取れず、生活はいつまで経っても余裕がないまま。 そんな父のお人好しの性格もあり、母は家を出て行ってしまった。 それでも父は、人に親切にする事をやめようとしなかった。
「ねえパパ、なんでそこまでみんなに親切にするの?」というエリオットに、父は「お前も、大人になったら分かるさ」と言った。

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エリオットは高校卒業後、しばらくの間、父と一緒に整備工として働いていた。 この頃になっても、父の他人に対する態度は変わらず。 なぜ、そこまで人に優しく接するのか、理由はわからなかった。 だが彼は、そんな父を誇らしく思っていた。

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昨年2月…エリオットは、父の死によって大きな喪失感に襲われた。
しかも、ちょうどその頃…コロナウイルスのパンデミックが発生。 オープンしたばかりの店も、店内での営業ができなくなってしまった!

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父の死とコロナウイルスのパンデミック…度重なる不幸に、エリオットは途方にくれた。 だが、嘆き悲しんでいる暇などなかった。 自分自身の生活費だけでなく、二人の娘の養育費を稼がなくてはならなかったからだ。
そこで、デリバリーなど、コロナ禍でも行える営業スタイルに変更。 仕事に費やした時間は1日17時間以上。
必死に働き続けた結果、なんとか生活を安定させることができた。 だが父を亡くし、心にぽっかり空いた穴は一向に埋まらなかった。

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そんなある日、SNSをチェックしていた時のこと…知り合いの投稿にある一人の女性についての記述があった。
その女性は幼い子供を持つシングルマザー。 だが、子供が障がいを抱えており、家から何キロも離れた病院まで、歩いて通っていた。

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それを読んだ時、エリオットの脳裏にある光景が蘇った。
およそ9ヶ月前。 貧しい人に食事を配布する、ボランティア活動に参加していた時の事。 用意した料理を全て配り終えた頃…そこには、食事を受け取ることができなかった、より貧しい人々が列を作っていた。 彼らは家から何キロもの距離を歩く必要があったため、配布に間に合わなかったのだ。
アメリカの田舎町は広大な面積の割に、交通機関が発達していない。 不便な土地に住み、移動手段も持てない人たちは、どうやっても貧しさから抜け出せない状況だった。

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エリオットが目にしたのは、先進国アメリカの過酷な一面だった。
幸運なことに自分達は、なんとか普通の生活を送る事が出来ている。 かたや、目の前には満足に食事すら取れない人々がいる。 彼らの貧しい生活を改善するには、どうすればいいのか?
こんな時、あなたならどうしますか?

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自分に何かできることはないのかと考えたエリオットは、SNSにある投稿をした。
『人気メニューのリブステーキ皿を提供します。その代わりに乗らなくなった古い車を寄付してください』

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すると数週間後、車を寄付してくれるという人が現れた。 だが、それは壊れて1年以上放置されていた車。
エリオットは自らの手で修理を始めた。 直せない部品は自腹で購入。 仕事の合間や貴重な休日を使って、彼は作業を続けた。

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そして、幼い我が子のため何キロも離れた病院へ歩いて通っていた女性にその車をプレゼントしたのだ!
だがエリオットは、これだけで満足はしなかった。 レストランで懸命に働き、稼いだお金で必要な部品を購入。 不要になった車の中から、維持費がさほどかからない車種のみを引き取り、空いた時間を見つけては、自ら修理。 市役所や教会で車がなく困っている人を教えてもらい、直した車を届け続けた。

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周りの人は、何故エリオットが人のためにそこまで自分を犠牲にするのか、わからなかったという。
妹に「何の得にもならないのに、なんでそこまでするの?」と言われたエリオットはこう答えた。
「オレ自身のためだよ。車をプレゼントした時、みんなすごく喜んでくれるんだ。その顔を見た時、やって良かったなって…心の底から幸せだなって、感じるんだ。きっと、父さんも同じだったんじゃないかな。」

そして昨年のクリスマス…日常の足がなく困っていた人たちに車を届けた。
車を受け取ったメラニーさんは、こう話してくれた。
「私はその頃、持っていた車が故障し、買い物や教会に行けなくなったばかりか離れて暮らす孫にも会えなくなっていました。でもエリオットさんからのプレゼントで私は人生を取り戻す事が出来たのです。今後、困っている人を見かけたら、今度は私が助けようと思っています。」
困窮する人々に車のプレゼントを続けているエリオット、その数は現在までに40台以上にも及んでいる。

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昨年のクリスマス、コロナの後遺症に悩まされていたジェシカさん。 車が故障したこともあり、思うように仕事ができず、生活に困っていた。
そんな彼女の元にも…エリオットサンタは現れた。
「こんなことが起きるなんて、夢にも思っていませんでした。エリオットさんのおかげで、人生が変わる、素晴らしいクリスマスになりました。」

クリスマスの後も、レストランでの仕事のかたわら、車のプレゼントを続けていたエリオットさん。 だが、その一方で困った事態に直面したという。
活動が認知されるにつれ、寄付される中古車が増加。 車を修理するための部品を調達する事が難しくなってきたのだ。
そこでエリオットさんは、今年3月、クラウドファンディングで資金提供を呼びかけた。 すると、あっという間に1500万円以上の寄付金が集まった。
現在、エリオットさんは、妹や友人と共に非営利団体を立ち上げ…賛同するボランティアに協力してもらい、中古車をプレゼントする活動を続けている。 そして、それらの活動が評価され…彼には社会貢献をした人物に与えられる賞、ジェファーソンアワードが送られた。 彼が父からその思いを受け継いだように、エリオットさんの活動は確実に多くの人たちの心に届き、賛同者を増やしている。

エリオットさんはこう話してくれた。
「今はサウスカロライナ州の小さな地域で活動していますが、今後半年で州全体へと範囲を拡げ、最終的には国全体、世界中へとこの活動を拡げられたらいいなと考えています。世の中には、信頼できる相談相手がいなくて苦しんでいる人が沢山います。助けたいという思いさえあれば、彼らの話を真剣に聞いてあげるという事は誰にでもできることです。人は皆、誰かの役に立てるスキルを持っているのです。人々が誰かを笑顔にする喜びに気づく事ができたら、もっと住みやすく、優しい世界になるのではないかと私は思っています。」