10月21日 オンエア
恐怖の同窓会! 仕組まれた殺人計画
 
photo photo

今からおよそ30年前、地方のとある場所である中学校の同窓会が開かれようとしていた。
同窓会を企画したのは、卒業生の一人、中村彰。 彼はこの同窓会を成功させるため、念入りに準備を進めていた。 その目的は…同窓会を舞台にした『殺人計画』の実行だった。

photo photo

彼がそんな恐ろしい計画を立てるに至ったきっかけは約12年前、中学時代に遡る。
当時、他の同級生に比べ体が小さかった彼は、毎日のように暴力を受け…さらに服を脱がされたりするなど、同級生たちからいじめを受けていたのだが…周囲は誰も止めようとしなかった。 そこにいた全員が、憎しみの対象になったという。

photo

彼は卒業後もその恨みを決して忘れなかった。 殺人計画書には心の内をこう書き綴っている。
「いつか、私が死んで、そして、私を苦しめた愚鈍な奴等も道連れにしてやろうと考えていた。人生の最大の夢であった。そのためだけに私は生きてきた。」
こうして復讐こそが、人生の最大にして唯一の目的になった。

photo

彼は着々と準備を進め、ついに計画を実行に移したのである。
同窓会に集まったのは当時の教師生徒、総勢50名近く。 みなが驚くほど出席率がよかった。 だが、それも中村の用意周到さによるものだった。

photo photo

彼はまず、同級生たちにいつ同窓会を開いたら出席できるかを問うアンケートを送り、同級生のほとんどが集まれる日と場所を選び会場を確保、案内状を送った。 返事が遅れている同級生には、わざわざ電話で催促するほどの念の入れようだった。 目的はもちろん、1人でも多く復讐のターゲットを集め、殺すためだった。

photo

こうして同窓会という名の復讐の舞台は、ついに幕を開けたのである。 何が起こるのか、知る由もない出席者たちは、楽しい夜を過ごしていた。
同窓会が始まっても、中村は姿を現さなかった。 一体、彼はどのように復讐を遂げるつもりなのか?

photo photo

中村は中学を卒業後、農業高校に進学。 その後、工業系の大学に進み、就職先も化学薬品関連の企業を選んでいた。 そこで知識を身につけ、さらに危険な化学薬品を入手できる甲種危険物取扱者の資格をも取得。 その理由は…爆発物を作るためだった。

photo

中村は復讐に使用する、爆発物を作るために人生の全てを捧げて準備を進めていたのだ。
そして…長い年月をかけて得た化学の知識を駆使し、一度に大量の人間を殺害できる爆発物を完成させた。

photo

結局、中村は会場に姿を現すことはなかった。
中村が準備した爆発物は確かに爆発した。 だが、それは別の場所でのことだった。
一体、何があったのか?

photo photo

実は、中村は同窓会での殺人計画を実行するため、関東の自宅から製造した爆発物などを同窓会が行われる地方の実家に運び込んでいた。 そして同窓会の2日前、荷物の異常な多さと、いつもとは違う様子を心配した母親が、息子の部屋で殺人計画書を発見。

photo

さらに…家の中で異臭がしたこともあり、家族が警察に通報。
捜査員が急行し、大量のガソリンを使った爆発物を発見した。

photo photo

計画では、時限式発火装置で爆発させるつもりだったという。
さらに捜索を続けると、中村が関東から乗ってきたワゴン車でも不審物を発見。 捜査員がその木箱を調べようとしたとき…木箱が爆発。 捜査員3名が重軽傷を負う事態となっていたのだ。

photo photo

同窓会が予定通り開かれたのは、家族の通報を受けた警察が、事前に安全をチェックしていたため。 楽しい同窓会に水を差さないよう、同級生たちには知らせなかったのだという。 こうして積年の恨みがこもった復讐計画は、間一髪のところで防がれた。
その後、中村は殺人予備罪などで逮捕され、裁判で懲役6年の刑に処せられた。

photo photo

翌日、事件のことを知らされた同級生たちは、自分たちのいじめが原因だと聞いて、ショックを隠せなかったという。
中村の恨みの深さとは対照的に、復讐のターゲットとなった同級生たちは…
『からかったことはあった』『廊下などで服を脱がされていたようだ』と、いじめの存在を知っていた者もいた反面。 『いじめは知らない』『いじめはなかった』『いじめは記憶にない』など、その存在自体に気づいていないものも少なくなかった。

photo

いじめる側の認識の低さ。いじめられる側の傷の深さ。
集団生活を経験した誰もが無関係とは言い切れない事件だった。