10月21日 オンエア
恋人の知られざる素顔
 
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今から10年ほど前、関東地方のある街で、その女性は土屋孝秋という男性と同棲していた。
この日、彼女は彼の古い免許証を見つけた。 そこに書かれていた名前は「伊野圭一」。 彼の名前は土屋孝秋、全く違う名前だった。
彼は仲間と小さな会社を経営していたのだが、最近、家を留守にすることが多くなり、彼女は不審に思っていた。

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なぜ、名前が違う免許証があるのか? 何か個人的な理由があって名前を変えた可能性もあると感じた彼女は、彼に直接聞くことができなかった。
彼は、会社の経営がうまくいっていないらしく、借金の支払いに追われている様子だった。

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彼が入浴している間に、彼の財布を確認してみると…彼女に名乗っている名前、「土屋孝秋」の免許証が入っていた。 名前の異なる2つの免許証。 彼の借金、不審な言動…それらは名前の違う古い免許証と何か関係があるのか?

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彼女は自分が何か事件に巻き込まれるのではないかと感じた。 そして、意を決して警察に相談。
相談を受けた警察は、独自に捜査を開始。 すると、とんでもない事実が発覚。 警察は男を逮捕したのだ。

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警察によると、彼の本当の名前は『土屋孝秋』ではなく、古い免許証に書かれていた『伊野圭一』だという。
そして…『伊野圭一』は、8年前に死亡しているという。 一体どういうことなのか?

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それはまだ2人が同棲を始める前のこと。
伊野は、会社の資金繰りがうまくいかず、借金をかさね、追い詰められていた。 そんな時、突然、驚くべき計画が脳裏に浮かんだ。

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伊野は自分の会社を受取人とする生命保険に加入。 そして数ヶ月後…実在する医者の名前を使って、自分が心筋梗塞で死んだという死亡診断書を巧妙に偽造、役所に死亡届を出した。
そう、伊野の計画は仲間と共謀し、自分が死んだことにして保険金を手に入れるというものだった。 その目論見はまんまと成功。 およそ9000万円もの保険金を会社の口座に振り込ませた。

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ところが…その後も会社の経営はうまくいかず、あっという間に経済的に困窮。 そして次なる犯罪に手を染める。
伊野は戸籍上 死んだことになっていたため、借金ができなかった。 そこで考えた打開策が、他人になりすますことだった。

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新聞に社員募集の広告を出し、なりすます人物をおびきだした。 こうして採用したのが、土屋孝秋さんだった。
伊野は土屋さんを会社名義のアパートに住まわす一方、採用するに当たって入手した個人情報などを利用して、土屋さんになりすましたのだ。

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言葉巧みに住民票や健康保険証などを預かり、土屋さんの名前で運転免許証を不正に取得。 そしてこれらを利用し、土屋さん名義で再び借金を繰り返したのだ。
だが、その間も経営はうまく行かず、借金は膨らむ一方。 間もなく土屋さん名義でも、お金を借りるのが難しくなってきた。

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そんなある日、伊野は土屋さんを役員に昇格させた。
そして、役員は会社にとって家族のようなものだと話し、会社が受取人の生命保険に加入させた。

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伊野は、これ以上 借金ができなくなったとわかるや、土屋さんが住むアパートの一室で、ロープで首を絞めて土屋さんを殺害。 その後、遺書を偽造するなど巧妙に偽装工作を行った。
結果、警察は自殺として処理。 伊野はまたしてもまんまと保険金を手に入れたのだ。

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伊野は土屋さんを殺したあと、また新たに成りすます人物を見つけるつもりだったとみられる。 すべては計画通りだったが、伊野は自分の本当の名前に未練があったのか、昔の免許証を残しておいた。
彼女が伊野の古い免許証を見つけなければ、全ての悪事は発覚することはなかった。 彼女が思い立って取った行動が、結果的に次なる犯行を未然に防ぐこととなった。

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裁判で伊野と仲間はともに殺人と詐欺の罪に問われ、主犯の伊野には無期懲役。 共犯の仲間には懲役20年の刑が下された。
あなたの「大切な人」は、なりすましではないと、言い切れますか?