10月21日 オンエア
部屋に侵入した男! 身近に潜む意外な落とし穴
 
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数年前、一人暮らしをしていた女子大生が、住んでいた部屋に帰宅したときのことだった。 ドアのカギが開いていた。
おかしいと思いながらも部屋の中に入ってみると…クローゼットの扉が開いており、下着をしまっているケースが乱されていた。 さらに…クローゼットの中に男が隠れていたのだ!

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次の瞬間、男はその場から逃走。 女子大生は危害を加えられることはなかった。
部屋に侵入した男は、逃げきれないと思ったのか、まもなく警察に自首、逮捕された。

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男は下着を盗む目的で侵入していたが、その手口は驚くべきものだった。 犯人は女子大生の部屋の合鍵を持っていたという。
実は、犯人は事件前、アパートの管理会社の人間を装って、女子大生の部屋を訪れていたのだ。 そして、防犯のために鍵を確認したいと言って、鍵の番号を控えていた。

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実は、ここに落とし穴が潜んでいたのだ。 多くの人は気にとめていないが、メーカー純正のほとんどの鍵には、番号とアルファベッドの組み合わせなどが刻まれている。
日本ロックセキュリティ協同組合 理事 矢郷力氏はこう話してくれた。
「鍵に刻まれている番号とアルファベットは、その鍵の形状を示す大事なID、情報源となっています。そのメーカー名と番号、アルファベットを正確に伝えることで、全国、どなたでも正確に製造された鍵を入手することができます。もしも悪意を持った人に鍵番号等を知られてしまうと、正確な鍵をいとも簡単に入手されることになってしまいます。」

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男は女子大生の部屋の鍵に刻まれている番号を使って、インターネットで合鍵を注文、入手していた。 現物がなくても、番号とアルファベットを伝えることで、同じ鍵ができる。 こうした合鍵づくりは、その手軽さもあり、現在もネットなどで行われている。
女子大生の部屋に侵入した男は、他の3件の余罪も含め、住居侵入などの罪で懲役2年6カ月、保護観察付き執行猶予4年を言い渡された。

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現在、鍵をつくるのに本人であることの確認は行えないのが実情だという。 なぜなら…個人情報と鍵の情報とを関連付けて管理するには、高度なセキュリティシステムが必要となるのだが、そのデータ管理をメーカーなどが行うのは、非常に困難だからだ。
では、私たちはどのように身を守ればいいのか? 番号やアルファベットを使って、不正に合鍵を作られないようにするためには、そもそもカギの番号を見られないようにすることが重要である。 そのために便利なものとして、ナンバーを隠すカバーがある。 元々、ファッションの一部として使われることが多いのだが、取り付けることで盗み見られる可能性は格段に減る。

また、カギのメーカーも独自の対策を行っている。 各錠前製造メーカーは、ID認証システムというものを導入しているという。 これは鍵番号とは別にIDカードなどを配布して両方の番号がないと合鍵をつくれない。 さらに最近では、スマートフォンを使ったり、ICカードを使ったりといった、従来の鍵の代わりになるスマートキーと呼ばれるモノがあり、紛失や盗難にあっても簡単に鍵を無効化できるため、安全性も高いと言われている。

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いずれにせよ、カギにまつわる情報は慎重に扱い、他人に決して知られないようにする。 それが身を守る上で、最も重要であることに間違いはない。 ふとした油断から、いつ悪意を持った人物に利用されるか、わからないのだから…。