6月20日 オンエア
突如舞い降りる奇跡 信じられない結末とは?
 
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アメリカ・ジョージア州ダグラスビル。 消防士のデイビッドと妻のアシュリーは、今から15年前に結婚。 アシュリーの夢は、沢山の子供に囲まれた、大家族の母親になることだった。
そして、結婚から3年後の4月、ついに待望の第一子を妊娠。 しかし、この時すでに、彼女に悪夢が忍び寄っていた。

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ある日、アシュリーは首に痛みを感じた。 触ってみると、しこりのようなものがあった。
翌日、病院に行くと、医師は、ウイルスによる 唾液腺の腫れと診断。 投薬治療を行うことになった。 だが、投薬を続けると、一時的にしこりによる腫れはなくなるが、止めると、また現れる…その繰り返しだった。

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そして、出産を2ヶ月後に控えた11月には、母胎への影響を考慮し、投薬は控えることになった。 その結果…腫れは ゴルフボール大にもなり、痛みも増していた。
そこでアシュリーは、別の病院で生体検査を受ける事にした。 すると…しこりは、悪性腫瘍…つまり がんであることが判明したのだ!

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お腹の子への影響も考えた医師は、陣痛促進剤を使って出産を早め、その後、早急に腫瘍の切除手術を行うべきだと提案。
そして、がんと診断されてから4日後、出産予定日より2ヶ月早く、男の子を出産した。 健康状態も良好、2人は『ハーレイ』と名付けた。

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しかし、喜びに浸る間もなく、出産の4日後には 腫瘍の切除手術に臨んだ。 そして、右鎖骨上にできた腫瘍の切除に成功。 その後、他の臓器への転移がないかを調べるため、より専門的な治療が受けられる、がんセンターに転院することになった。

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彼女の担当になったのは、デボラ・ミラー医師。 がん治療の研究を進めており、数々の賞を受賞した経歴もある、トップクラスのがん専門医である。
デボラ医師はまず、アシュリーの精密検査を実施。 すると、ある驚くべき事実が判明する。 アシュリーのがんは、『原発不明がん』と呼ばれるものだった。 原発不明がんとは、発生場所もがんの種類も不明のがんのことをいう。

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そして、アシュリーが手術で切除したのは、転移巣で原発巣はまだ体内に残っていると言うのだ。 最初に臓器などに発生したがんのことを原発巣と言い、その原発巣から離れた場所で発育、すなわち転移したがんを転移巣と呼ぶ。

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実は、発生した箇所によって、がん細胞の性質は異なる。 そして、そこから転移したがん細胞は、その性質を受け継ぐのだ。 例えば、胃がんが肝臓に転移した場合は、その転移巣も胃がんの性質を示す。 原発巣なのか転移巣なのかは、細胞を採取し、性質を調べれば判断できるという。

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しかし稀に、転移巣が先に見つかるが、その がん細胞が 体のどこから来たのか判明せず、尚かつ原発巣が小さ過ぎて発見できないことがある。 これを『原発不明がん』と呼び、がん患者全体の1〜5%程度をしめると言われている。 転移巣を取り除いても、原発巣を発見しなければ、転移を繰り返す恐れもある。

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がん細胞は、発生した場所によって大きく性質が異なるため、その治療法も異なってくる。 通常は、がんが発生した場所を特定し、そのがん細胞に最も適した治療を行うのだが…発生した場所がわからなければ、効果的な治療法を選択することができないのだ。 原発巣がわからないため、医師は全身に放射線治療を施しながら、様々な研究所にも細胞を送り、『原発部位』の追究に努めた。 しかし、その間にも がんは彼女の体を蝕んでいく。

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そんなある日、アシュリーの右目に激痛が走った。 すぐにMRI検査を行ったところ、がんは 脳にまで転移していることが判明した。 腫瘍は急激に大きくなり、視神経を圧迫。 その結果、まぶたの筋肉を動かすことができなくなり、右目が開かなくなってしまったのだ。 『原発不明がん』の『転移巣』は、急激に大きくなることがあるという。 そのため アシュリーの場合も、検査時には小さくて発見できなかった腫瘍が、急成長したものと考えられた。

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さらに、全身の検査を行うと…肺と腎臓にも転移が見つかり、ステージ4と診断された。 転移の状況を考えると、アシュリーの余命は6ヶ月から9ヶ月だと思われた。 デボラ医師とデイビッドは、アシュリーには、ステージ4である事は伏せていたのだが…別のある宣告がなされた。 抗がん剤の副作用で、月経が止まってしまう可能性があることをアシュリーに告げたのだ。 たとえ 余命わずかだと思われる患者でも、1〜2ヶ月で抗がん剤の副作用により月経が止まるなど、身体に異変が起きる事があるため、後にトラブルにならないためにも、告知する事が一般的であったのだ。

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彼女は、辛い現実を受け止めながらも、様々な化学治療に耐えていった。 しかし、その効果は見られず、日に日に体調は悪化していくばかりであった。 すると…自分の余命がわずかだと悟ったアシュリーは、デイビッドに写真を撮影してほしいと頼んだ。

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今回、デイビッドさんが病室で撮影した写真を見せてくれた。 そこには…笑顔で写るアシュリーの姿があった。 写真を撮ってほしいと頼んだのは、決して自分のためではなかった。 それは、我が子の将来のため。 ハーレイが物心ついた時、この写真を見て、どれほど母親に愛されていたのかを知る事ができるように…そんな強い想いを込めた、覚悟の笑顔だった。

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すると…信じられない出来事が起こる。 なんと、アシュリーの身体に数え切れないほど存在した転移したがんが、突如として 1つ残らず消え去っていたのだ! そのため、閉じたままだった右目も開くようになった!
その後 半年間、検査を続けたが…転移は見られなかった。 最後まで場所の特定はできなかったが、原発巣も消え去ったと推測されたのだ。 こうして、アシュリーは無事退院できたのだが、奇跡はこれだけにとどまらなかった!

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今年6月、我々はアシュリーさんの自宅を訪ねてみた。 そこには元気になったアシュリーさんと、子供が…3人!? 抗がん剤の副作用により、2度と妊娠出来ないかもしれないと言われていたにも関わらず、がんが消えてから4年後に長女、さらに9年後に次男と、あれから2人の子供を授かったのである。 彼女は『沢山の子供に囲まれた母親になる』という夢を見事に叶えたのだ。

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『原発不明がん』というがんを患い、ステージ4という最悪の宣告をされたアシュリーさん。 しかし、生まれたばかりの我が子の将来を思い、カメラの前で笑顔を絶やさなかった事が奇跡を呼び、身体中のがんが消え去った。 あれから11年、担当医だったデボラ医師は、今も沢山の患者を抱えながら、がん治療の研究に日々邁進している。 ちなみに、デボラ医師とアシュリーさんは、退院後、医者と患者としてではなく、親しい友人として何でも話し合える間柄になったそう。

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実は、がんが消え去ったあと、再発の可能性も75〜90%という、高い確率であると言われていたアシュリーさん。 しかし、この11年間、がんが再発することはなく、健康に暮らしている。 たくさんの子供に囲まれた母親になるという夢を叶えることができたアシュリーさんは、何よりも子供たちとの時間を大切にしているという。