ザ・ノンフィクション
生きる歌2 ~帰ってきた三角公園の歌姫~ 後編
きょうもまた、傷ついた人々を抱き寄せるように魂の歌が公園に響く…
一度は背を向けた大阪・西成の通称「三角公園」に、ジャズシンガー・坂田佳子(53)が帰ってきた。酒に溺れ、仕事も人間関係も失いかけた時、この場所だけは彼女を見放さなかった。久しぶりの景色に涙ぐみながら歌い出すと、かつてのファンや懐かしい仲間たちが次々と集まってくる。どんな姿でもありのまま受け入れてくれる…「三角公園」は彼女にとって“原点”と言える大切な場所だ。
そんな佳子さんの歌声を、生きる支えにしてきた女性がいる。末期がんと闘う仁美さん(57)だ。「余命宣告」を受けてから「やりたいことノート」を作り、佳子さんの故郷・福井のひまわり畑を訪れたり、海外旅行にも出掛けた。しかし、病状は悪化し、横になることすらつらい状態が続き、外出することさえ難しくなっていた。それでも佳子さんの歌を聴くと、表情は輝き、その歌声が生きる力となっていた。
そんな仁美さんが、体力を振り絞り、初めて三角公園に姿を見せた。車椅子で現れた彼女を見つけると、佳子さんは2人が初めて出会った時に歌った曲を心を込めて届ける。「一緒にひまわりを見に行こう」その約束に、仁美さんは「希望が持てます」と静かに微笑んでうなずいた。
だが、それから1カ月後「仁美さんの容体が急変した」と連絡が入る。佳子さんは泣きながら彼女の自宅へ急ぐのだが…
一度は背を向けた大阪・西成の通称「三角公園」に、ジャズシンガー・坂田佳子(53)が帰ってきた。酒に溺れ、仕事も人間関係も失いかけた時、この場所だけは彼女を見放さなかった。久しぶりの景色に涙ぐみながら歌い出すと、かつてのファンや懐かしい仲間たちが次々と集まってくる。どんな姿でもありのまま受け入れてくれる…「三角公園」は彼女にとって“原点”と言える大切な場所だ。
そんな佳子さんの歌声を、生きる支えにしてきた女性がいる。末期がんと闘う仁美さん(57)だ。「余命宣告」を受けてから「やりたいことノート」を作り、佳子さんの故郷・福井のひまわり畑を訪れたり、海外旅行にも出掛けた。しかし、病状は悪化し、横になることすらつらい状態が続き、外出することさえ難しくなっていた。それでも佳子さんの歌を聴くと、表情は輝き、その歌声が生きる力となっていた。
そんな仁美さんが、体力を振り絞り、初めて三角公園に姿を見せた。車椅子で現れた彼女を見つけると、佳子さんは2人が初めて出会った時に歌った曲を心を込めて届ける。「一緒にひまわりを見に行こう」その約束に、仁美さんは「希望が持てます」と静かに微笑んでうなずいた。
だが、それから1カ月後「仁美さんの容体が急変した」と連絡が入る。佳子さんは泣きながら彼女の自宅へ急ぐのだが…