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福田由美子 |
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ポーとの出会い・・・。 思い起こせば、あれは1994年11月8日の事でした。 フジTVの深夜番組用のスポットCFアニメーションを制作するという事でロボットに打合せに行った事から始まりました。 数々の羊キャラクターを前に野村監督は少しはにかんで、「やっぱり、これにしましょう・・・。」と云いました。 紛れも無く、ポーが生まれる瞬間でした。 監督が少しはにかんでいたのは・・・。 そう、数ある中で自分が描いたキャラクターを選んだから。 でも、アニメーション制作のプロデューサーである私の立場から見てもそれは納得のいく「監督」の意見でした。 そして、ポーに生命を与えるべく3本のアニメーション制作がスタートしたのですが主役のポーは決まったものの限られた時間の中で画法から始まり世界感を模索する状況でした。 でもそこはアニメーションへの愛情と知識がある野村監督だからこそスタッフは理解し一緒に楽しみながら、良い仕事ができました。 というわけでポーは世に出る為に・・・、 ポーは、深海で潜水艦のスクリューにもまれ・・・。 ポーは、遊園地のメリーゴーランドに串刺しにされ・・・。 ポーは、隕石のごとく大気圏から炎上しながら落下・・・。 する事に・・・ あぁぁぁ、可愛いいポーはなんて苦労をしているのでしょう。 でもね、一応スタッフも苦労しているんですョ。 潜水艦のスクリューの波にもまれるポー君は水中感を出す為に、通称・波ガラスと呼ばれるコントロール困難な合成樹脂をフィルターにしてアニメーションなのにライブ撮りみたいな事を何度も何度も納得がいくまで徹夜で撮影しました。 メリーゴーランドに串刺しのポー君も実はメリーゴーランドの外観と回転はCGでシミュレーションしてから動画に起こし、壁のディティールはわざとプリントOUTしたモノをその動画に貼り付けたり、木馬は実は撮影で増殖していたりと隠れた技がけっこうあります。 そして、隕石のように落下するポー君も1カットで背景がどんどん展開するので背景の大きさと撮影の精密さに苦労しました。屋根を突き破る時にねずみが逃げたりして細かいトコロにも凝ったりもしました。 そして何より産みの親である野村監督がこだわったポー君も、特殊なタッチ加工で手間暇をかけて表現する事で、あの可愛いポーになりました。 そうして、その後展開するポーの夢物語に私は参加していませんが、野村さんの「監督」としての技術と「作家」としての愛情が沢山の形となってポーが成長した事を、ポーでつながる皆さんが何より良く知ってらっしゃるのだと思います。 そして、そんな野村さんを支えながら頑張ってきたもう1人の育ての親であるプロデューサーの松本絵美さんが実は一番重要な人だって事も皆さんはよくわかっているはずです、(^^)よね。 この2人がいれば、いろいろな形でポーはまだまだ続いていくんだろな。と、この流行廃りの激しい昨今の中でほのぼのしたポーの世界がまた余計に暖かく感じられながら、次の展開をいつも楽しみにしています。 がんばれポー!! というわけで、”元祖ストレイシープ(スポットCM)を制作した”なんて、ご紹介いただいちゃいましたもんで真面目にお答えしちゃいました。 そうそう! この仕事をしている時に、私は野村さんと羊ならぬイタチつながりになりました。野村さんの飼っているFERRETのぴーちゃんの写真はたまらなく可愛くて、すっかり私は野村さんの影響を受けてイタチの母となってしまいました。 シャンプーとリンスと名付けた2匹のFERRETはポーとメリーのようにいつも部屋中を仲良く駆け回っておりました。 残念ながらシャンプーは一昨年他界しましたが、リンスは元気に私の代わりに実家で箱入り娘をしてくれています。お陰で最近は実家に帰ってもイタチ以下の扱いです・・・。 ポーの夢物語にはいろんなキャラクターが登場しますが、野村監督ご本人の博士も勿論ですがそういえばぴーちゃんも登場していますね。 ポーの夢物語は、そんな野村さん自身の事や夢を素直に代弁したり展開したりしているから楽しいのですよね。 そして、知らず知らずにゆっくりと巻き込まれていくんです。 皆さん・・・。ふふふ。 そうです。ポーは野村さんです。ご本人は少し涼しいけど・・・。 なんだか寂しがり屋で、ついつい助けてあげたくなったりする感じ。 でも、以外と頑固でこうと決めたら一生懸命で、譲らない。 皆さん感じませんか? そうやって気がつくと皆、野村ワールドにはまっているのです・・・実は。 何だかついつい云う事聞いてあげたくなっちゃうんだなーコレが! (でもおない年だって事は認めないぞ!!絶対!) どうぞ。また楽しい夢物語をひとつ・・・。 そう・・・。貴方も抜け出せませんよ。 |
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次回は、私の同僚で一緒に元祖ストレイシープ(スポットCM)を制作した、アニメーションスタッフルームのディレクター内藤彰子さんです。 |
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