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第35回(9月15日)
まえの通信 >>

完成への長い道のり(前編:絵作業篇)

はやいものでもう中旬。
なんと、オンエアまであと20日強。
コンテはやっと、第7話が完成したところです。

さて、今回のはげつうは、どんな流れで番組がつくられているのかを、さらっとお話します。
今回の新シリーズは、今まで(紙芝居方式)と違って全編アニメーションです。よって、自分が(動画までの)すべての絵を描くことは、まず不可能です。(今までも、いろいろ手伝ってもらっていたけど)というわけで、アニメーションの動画や背景、それに撮影などをグループ・タックというアニメーション会社に依頼しました。

しかし、いずれにせよ、最初に必要なのは絵コンテです。(普通なら脚本なのですが、今回のようなものは、短いし、絵的な要素も大きいのでいきなりコンテにしてしまいます)これは、全体を組み立てて行く設計図なのでとても重要です。アニメは特に重要です。自分の仕事は、まず絵コンテとその話に登場するキャラクターをデザインすることです。

それができると、その絵コンテをもとに作画打ち合わせというのをやります。これは、話ごとに作画監督にコンテの流れやねらいを説明してレイアウト(カットごとの構図やカメラの動きを決める書類)をつくってもらいます。それがあがってくると、演出(洋関10回目に登場したウイちゃんが、今回は演出として設計や動きのチェックなどいろいろサポートしてくれている)がチェックし、その後、カントクチェックということで自分がチェックします。
この時点で構図やキャラクターを修正させてもらいます。

でOKだと、再び作画監督にそのレイアウトを戻し、それをもとに原画(カットごとのキャラクター等の動きにあわせた主なポーズや表情)をおこしてもらいます。原画もレイアウト同様、まず演出が、芝居や動きのチェックをしてOKなら自分のところにまわってきます。で、自分がチェック(この時点でもポーズやキャラがおかしければ修正)してOKなら動画マン(原画の指示にしたがって中割り[原画と原画の間の動作や表情を時間にあわせて細かく割って描く]をする人)に、修正があれば、作画監督に戻ります。

動画マンからあがってきた動画は、通常のアニメならセル仕上げにまわるのですがこのシリーズは、ここからが大変です。
ロボット本社に陣取ったミヤザキくん(ズーッとポーの絵を手伝ってくれている元青年(?)ノムラさんの両腕とも言われている)ひきいる特効(アニメ業界でタッチをつけたりすることを特効[特殊効果の略]と言う)チームが、あがった動画を画用紙にトレスし、色鉛筆で1話につき400枚〜600枚のポーや他の登場キャラを、今までのシリーズのあの質感で仕上げていきます←業界初の無謀なチャレンジ!
だから、描いても描いても終りません……。

この流れと並行して、あがったレイアウトをもとに、美術さんと打ち合わせをして、背景を発注します。今回の背景は30秒スポット(サブマリン篇やバス篇など)をやってくれた阿部さんになりました。6年ぶりの仕事です。阿部さんは独特で素敵なタッチの持ち主なのですが、自分の絵を見てできる限りトーンをあわせてくれるそうです。

そんな風にして仕上がった「特効仕上げ」と「背景」はグループタックの撮影にまわります。今は、デジタル仕上げなので実際の撮影ではなく、スキャンです。画用紙に描かれたキャラクターはコンピューター内でキャラだけ切りとられ、背景に一枚ずつコンポジット(合成)されます。ポーの毛のやわらかい感じは一枚一枚手描きで切りとらなければいけないので、これまた、やっても、やっても終りません……。
そんな具合にホフク前進のように作られたカットは、編集されて完成する予定です。

続く(次回は音作業篇)



第1話『ポーの夢』のイメージラフより


最近は、自分の仕事場以外にグループタックに行って、打ち合わせやチェックなどもよくするので、机をあてがってもらいました。写メールで撮った「タックの机」

今回のオープニングは、遊佐未森さんのとある曲を使用させてもらうことになりました。すでに、CDに収められている曲です。さて、何でしょう?
詳しい方は、当ててみてください。


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