数々の有力選手を指導する長光歌子さんが
フィギュアスケート界を楽しく語ります!
歌子の部屋
vol.30
特別対談企画 ゲスト:村元哉中選手&クリス・リード選手
全日本選手権3連覇、平昌オリンピックに出場。17-18シーズンの四大陸選手権ではアジアで初となるアイスダンスの表彰台に登った。世界選手権を終えたばかりのお2人に歌子先生が直撃インタビューしました。
2018.4.30
- 村元哉中(むらもと かな)&クリス・リード
- 結成4シーズン目のアイスダンスのカップル。兵庫県出身の村元選手とアメリカ出身のリード選手。2018年四大陸選手権でアジアのカップルとしては初となる3位表彰台、世界選手権でもアジア勢としては最高順位となる11位となった。
世界選手権を振り返って
歌昨シーズンに続いての出場となりました世界選手権、振り返っていかがでしたか?
クリス・リード(以下:リ)今回の世界選手権はショートダンスもフリーも非常に演技が上手くできて、得点もこれまでのベストを出せたので嬉しかったです。でもトップ10に入れなかったのは残念でした。
歌私も演技を観ていましたが、本当に素晴らしかったです。11位ですから、後一歩でしたね。
村元哉中(以下:村)そうですね。今シーズンはとても良いシーズンだったのですが、これまでショートダンスで納得のいく演技ができていませんでした。でも今回の世界選手権では、自分たちの納得のいく、強い演技ができたのでそれが凄く良かったかなと思います。
歌終わった後のリード選手の出し切ったような表情を見て、私はグッときました。本当に嬉しくなりましたよ。
リはい!本当に出し切ることができました。
歌話は脱線しますが、今回イタリアということもあって昼食にラザニアを食べたのですが、その時に思い出したことがあるんです。昔(髙橋)大輔がシムスベリーで練習していた時に、リード選手のお母様がよくリード家にご招待してくださって、ラザニアを作ってくれましたよね。色々と他のメニューもごちそうになりましたけれど、私も大輔もお母様のラザニアが大好きで、「何が食べたい?」と聞かれるといつも「ラザニア!」と答えていました。
リ(笑)。それは覚えていますよ!
歌あの頃はお世話になりました。
リとんでもない!こちらこそ!色々お世話になりました。
今シーズンを振り返って
歌今シーズンは、オリンピックもありましたし、色々なことがあったと思いますが、今振り返ってみていかがでしたか?
リ今シーズンはまず、ショートダンスとフリーともに素晴らしいプログラムを作ることができました。そしてシーズンを通してより良いプログラムにするために、試合を重ねるごとにより素晴らしい演技ができるように努力をしてきました。実際に試合を一つ終えるごとにどんどんステップアップできたと実感していましたし、僕たちは本当によくやったと思います。
村私たちは今シーズンでカップルを結成して3年目になりますが、これまでは自分たちの実力をまだ信じ切れていない感じがありました。けれど今シーズンは四大陸選手権で表彰台に乗ることができましたし、オリンピックでも自分たちが納得できるような素晴らしい試合ができたと思います。そして世界選手権を通して、本当の意味で自分たちの実力に自信を持つことができました。シーズンを通してようやく私たちは自信を獲得することができたと思います。
歌それは素晴らしい事だと思います。自分たちの実力に自信を持つことができて、自分たちの中での評価と外からの評価が一致するという事は、とても大事な事だと思います。
村『自信がある演技』というものはこういう感じなんだって、初めて体感しています。
歌本当に良かったです。四大陸選手権ではアジアのカップルで初の表彰台でしたからね。(髙橋)大輔も凄く喜んでいましたよ。
村四大陸選手権の時、大ちゃんが(台北の)現地にいるのを私は知らなくて、会った時は「わ~~」ってなりました(笑)。会うことができて凄く嬉しかったです。
平昌オリンピックについて
歌リード選手は前々回のバンクーバーオリンピック、前回のソチオリンピックでは、お姉様のキャシーさんとの出場でした。今回は初めて村元選手と出場したわけですが、いかがでしたか?
リ今回は3度目のオリンピックでしたが、これまでと全く違う、新鮮な気持ちで挑みました。そしてこれまでのどのオリンピックよりも、自信をもって挑むことができました。本当に嬉しかったです。
歌村元選手にとっては初めてのオリンピックでしたが、いかがでしたか?
村いつも私はオリンピックをテレビで観ていたので、まさか自分がオリンピックの舞台で滑ることができるとは思っていませんでした。ですので現地に行くまではあまり実感がありませんでした。ですが現地に入ってメインアリーナのリンクに埋め込まれた五輪マークを見た途端に「あ!今私はオリンピックにいるんだ!」と凄く感動しました。そしてオリンピックというのは4年に一度の舞台で、本当に特別な試合なんだと感じました。
歌緊張はしませんでしたか?
村団体戦の時は正直、全然緊張しませんでした。逆にワクワクしていた感じです。けれど個人戦のショートダンスの時は、今までに味わったことがないくらい緊張してしまいました。緊張し過ぎて不安にもなりましたけれど、クリスが凄く落ち着いていたので本当に助かりました。フリーでは緊張せずにできたと思います。
リ(笑)
歌リード選手はいかがでしたか?
リはい。オリンピックでは団体戦のフリーの時に転倒してしまいましたが、個人戦のショートダンス、フリーは良くできたと思いますし、本当に良かったです。
四大陸選手権
歌先ほども話に上がりましたが、四大陸選手権ではアジアのカップルで初の表彰台を飾りましたね!
リとてもハッピーな気持ちでした。アジアで初というのは大変栄誉なことだと思います。けれど大きな舞台だからという理由だけではなく、ベストを尽くすことを目標に挑んだ試合でそれができて、さらに結果を残せたことがうれしかったです。これからアジア地域でもアイスダンスの競技が盛り上がってくれたらと思います。
歌その通りですね。私はこれから2人が先頭を切ってアイスダンスを盛り上げていってほしいと願っています。村元選手はいかがでしたか。
村オリンピックの前ということもありトップ選手達が出場していなかったこともありますが、ISUチャンピオンシップスという大きな大会で表彰台に乗れたことは本当に嬉しかったです。チャンピオンシップスの表彰台に立ってみて、今までと全然眺めが違うんですよね(笑)。スモールメダルの授与や記念品などの授与式もありましたし、さらにホテルへ帰る時もボディーガードではないのですが、スタッフの人たちが付いてきてくれて、こんなにも扱いが違うんだなと思いました(笑)。
- 長光歌子(ながみつ うたこ)