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2017年11月
11月29日(水)
ジョナタ・バストスさん
(ピアニスト/ギタリスト)
挑み続ける限り、不可能なことはない!

ジョナタ・バストスさん
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「人間は、みんな完璧じゃない、みんな何か問題を抱えている。それが目に見えるか、見えないかの差だけ…常に努力を続ければどんなことでもできる」そのことをみんなに伝えたいんだ。
人懐っこい笑顔で、そう言い切る両腕のない23歳のミュージシャンはどこまでもポジティブで、チャレンジ精神溢れるナイスガイだった。
もし生まれながらにして両腕がなかったら… 自分だったら彼のように強く生きられるだろうか? 自分の運命を憎むわけでもなく逆に両腕がなかったことを今では「神様からのプレゼント」とまで思えるようになったと言い切る。顎でピアノを、脚でギターを弾く、ジョナタ・バストスの演奏スタイルを見ていると人間の肉体に不可能な事などないのだと痛感させられる。
不可能にしているのは「きっと出来やしない」などと最初から諦めてしまっている人間の弱い心のせいなんだと。
今回20歳以上も年下の若者の言葉にインタビュー中、何度もハッとさせられた。
そして初めて生で見たジョナタのパフォーマンスに心を奪われた。
自分の運命から逃げずに、挑み続けているその姿はどこまでも眩しかった。
余談だが、ジョナタのメールを打つ速度にも驚ろかされた… 確実に僕よりも速い!
「もっと俺も頑張れねば…」そう素直に思わせてくれたジョナタとの出会いに感謝。

顎でピアノを弾く

お母さんと一緒に
ジョナタ・バストス(じょなた・ばすとす)
1994年7月18日生まれ 23才 ブラジル・パラ・マンサ出身
生まれながらにして両腕が欠損していたジョナタは音楽一家の影響を受けて幼少期から楽器に興味を持つと、音楽に情熱の全てを注ぎ始める。そんなジョナタは18歳の時ブラジルのオーディション番組で一躍脚光を浴びると、その後イギリスのチャンネル4が制作したリオパラの宣伝動画にも出演。その圧巻のパフォーマンスはYouTubeで800万回以上再生され話題を呼びリオパラ閉会式にも出演。顎でピアノを、足でギターを弾く、その演奏スタイルは人間の肉体の可能性を超越している。
11月22日(水)
瀬戸優樹さん
(ヤマハ株式会社)
オールジャパンで音の世界のバリアフリーを目指す

インタビューに答える瀬戸さん
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瀬戸優樹さんの変えたいことは、「音の世界の情報格差を無くしたい」ということ。これまで視覚障害者のための点字ブロックや音の出る信号機などが既に社会に普及されているモノがある。しかし、「聴覚障害者のためのそういうモノがあまりないんです」と瀬戸さんは言う。
そこで開発されたのが、音のユニバーサルデザイン化支援システム「おもてなしガイド」。世界の主要な言語にも対応し、駅や商業施設など様々な公共の場で流れるアナウンスを、スマートフォンのマイクが検知。そのアナウンスが文字として表示されるアプリだ。
瀬戸さんはそのプロジェクトリーダーとして2018年の実用化に向け、実証実験の真っ最中。日本中に「おもてなしガイド」を普及させたいと、省庁や各企業にプレゼンをし、奔走する毎日。「ヤマハ1社のみで、このツールを広めるには限界がある。官公庁を含めた各企業が集まり、オールジャパンで広めていきたい。」
2020年を目指し音のバリアフリー化を図ることが目標だ。

総務省消防庁で打ち合わせする瀬戸さん

東京駅で「おもてなしガイド」をテストする
瀬戸優樹(せとゆうき)
1978年12月30日生まれ 38歳 ヤマハ株式会社
SoundUDグループ統括プロデューサーとして「おもてなしガイド」を企画開発。
以前はボーカロイドの開発などを担当していたが、新規事業開拓を任される。その際に海外の公共の場でアナウンスが分からず困った経験を思い出し、『音』の企業として、アナウンス情報を文字で共有できないかと考え、「おもてなしガイド」が生まれた。
将来的には、世界中での音のバリアフリー化を目標に、日々各所に奔走している。
11月15日(水)
マセソン美季さん
(パラリンピック教材I'm POSSIBLE製作者)
学校教育を通じてパラリンピックを知ってもらう!

笑顔で取材を受けるマセソン美季さん
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東京パラリンピックまで後1000日あまり。
学校教育を通じて、より多くの子どもたちにパラリンピックの魅力を伝えるための教材が国際パラリンピック委員会公認「I'm POSSIBLE」。
その教材開発に携わった日本財団パラリンピックサポートセンター・プロジェクトチームのマセソン美季さんは、現在、カナダ在住で、学生時代の交通事故により車椅子の生活を送っている。
「日本でバリアフリーというと段差をなくしましょう!エレベーターを作りましょう!とハード面の話になりがちだが、周りの人たちが「手伝いましょうか?」など気軽に声をかけられる、そんな社会になって欲しい」とマセソンさんは言う。
「日本はまだまだ障害のある人たちに慣れていない、だからパラリンピックを見てもらって、障害のあるアスリートたちとの出会いから自分たちの社会を見つめてこんなバリアがあるんだという“気づき”が大切なんです」
学校教育で子供たちにパラリンピックや障害のあるアスリートに関心を持ってもらい、それを親や大人たちに伝える。そうやって少しずつでも社会が変わっていけたらと言う思いがこの「I'm POSSIBLE」にはこめられている。
マセソンさんの言葉は優しく、そして力強かった。

「I'm POSSIBLE」の授業風景

パラリンピックの学校教材
「I'm POSSIBLE」
マセソン美季(ませそんみき)
1973年7月17日生まれ 44才 東京出身
高校時代は柔道に打ち込んでいたが、大学1年の時に交通事故で脊髄損傷、半身付随となる。その後、アイススレッジスピードレースを始め長野パラリンピックで金メダル3つと銀メダル1つを獲得。アメリカ留学で知り合ったカナダのアイスホッケー選手と結婚、カナダで生活をし2人の男の子の母親でもある。
メダリストで教員免許を持っていることもありパラリンピック教育教材「I'm POSSIBLE」の開発に関わる。
11月8日(水)
村上清加選手
(陸上)
「義足は誇らしいもの」自慢の右足でパラリンピック初出場へ!

休日はスカートで街へ出かける
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「私はどんなに願っても、もう右足は生えてこない」小学生たちの前で特別授業をおこなった村上選手。ありのままの自分をさらけ出すことによって、何か伝わることがあるかもしれない。
きっかけは義肢装具士、臼井二美男さんとの出会いだった。自分の義足を2時間も3時間もかけて調整してくれている姿を見て「こんなに愛情や魂が詰まった義足を自分が着けていることが何か誇らしく感じてきた。義足は恥ずかしいものじゃない」
それ以来、講演だけでなく、義足のファッションショーやパラアスリートのポスター撮影などにも積極的に参加してきた。
今では義足を見せようとも隠そうとも思わない。「あくまで自然体」で街へ出る。ただ義足を見せた状態で電車に乗ると「威圧感があって席を譲らないと、と思わせてしまう」と笑って話す。
ロンドンでの世界大会に出場した際に何万人もいた観衆に驚き、街を歩いていても義足を見て何気なく笑顔で話しかけてくる人々を見て「2020年東京もこうなって欲しい」との思いがさらに強くなった。
そのためにも、もっともっと練習して初のパラリンピック出場という目標を必ず達成する。

100mで2020年東京を目指す

取材中ずっと笑顔の村上選手
村上清加(ムラカミサヤカ)
1983年7月2日生まれ 34歳 東京都出身 長谷川体育施設株式会社 所属
25歳の時に駅のホームを歩行中、貧血で倒れ線路に落ちたところを電車にひかれ、右足大腿部を切断。
2017年7月イギリス・ロンドンで開催された世界パラ陸上競技選手権大会に出場。
100m走で8位、走り幅跳びで5位。
東京パラリンピック初出場、メダル獲得を目指す。
11月1日(水)
澤邊芳明さん
(ワン・トゥー・テン・ホールディングス 代表取締役社長)
世の中の当り前を変えていきたい

澤邊さん
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1月10日は、「1を10にするアイデア」を楽しむ日。この日を記念日登録しているのは、クリエーター集団を率いるワン・トゥー・テン・ホールディングス代表の澤邊芳明さん。18歳の時にバイク事故にあって車いすユーザーになった澤邊さんだったが、24歳でデザイン会社を設立。誰もがそれを当たり前だと思っていたことに疑問を抱き、「世の中の当り前を変えていきたい」この発想が根源となり、クリエーターとしてその才能を発揮し、世界初の感情認識パーソナルロボット「Pepper」の会話エンジンの開発や車いす型VRレーサー「CYBER WHEEL(サイバーウィール)」、デジタル技術で楽しむ「サイバーボッチャ」など新たなクリエーションで常に注目を集めている。
さらにパラリンピックサポートセンターのオフィスデザインでは、人が気持ちよく動くための心のスイッチ「ポジティブスイッチ」はどこにあるのかをテーマに、その発想が「 i enjoy ! 」(楽しむ人は、強い)というキーメッセージとなり様々な人々のスイッチを入れてきた。「消費されていくテクノロジーではなく、世の中がよくなるために、テクノロジーを使って自分たちができることをしたい」と語る澤邊さん。当たり前を変えることは新たな当たり前を生み出す、その当たり前をまた変えていく。無限ともいえる挑戦で世の中がよくなっていくことを澤邊さんは願っている。

サイバーボッチャ

車いす型VRレーサー CYBER WHEEL(サイバーウィール)
澤邊芳明(さわべよしあき)
1973年10月1日生まれ 44才 東京都出身
18歳の時にバイク事故に遭い車いすユーザーとなる。京都工芸繊維大学卒業後、1997年にワントゥーテンデザインを創業。現在は、広告クリエイティブからプロトタイピング、ロボティクス、空間まで総合的にプロデュースする9社からなる企業グループ「ワントゥーテンホールディングス」を率いる。2016年のリオパラリンピック閉会式フラッグハンドオーバーセレモニーでは、コンセプターとして「POSITIVE SWITCH」を発案。世界初の感情認識パーソナルロボット「Pepper」の人工知能・感情認識と連携した会話エンジンの開発。公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会、アドバイザー日本財団パラリンピックサポートセンター顧問等を務める。