2021.09.24 FRI. UPDATE インタビュー #01

五十嵐唯織役 窪田 正孝さん

シーズンの制作が決まった時のお気持ちからお願いします。
このチームは、なかなか他の現場にはないくらいキャストメンバーの仲が良いんです。若い世代から大先輩まで幅広い世代がいるんですが、分け隔てなく会話ができるというか……。その空気感は「ラジエーションハウス」ならではの良いところだと思います。よく「多分他の現場だったらみんな静かなんだろうな」ってみんなで言っていたんですけど、それくらい「ラジハ」になると砕けるというか、殻が取れてしまうというか(笑)。なので、そういう環境にまた帰ってくることが出来たのは素直に嬉しかったですし、をやれるというのは、やっぱりシーズンがあってのなので、見えない壁のようなものも感じてはいたんですけど、肩の荷が降りたような感じはありました。
前作は、多くの視聴者から支持されました。その理由は何だと思いますか。
個人的には、医者ではなく放射線技師という、縁の下の力持ち的な存在に焦点を当てることで、普段人が見ないところ見られるというか、そこにドラマが導いていくところが魅力なんじゃないかと思っています。
キャストのみなさんの関係性にも繋がるのではないかと思いますが、ラジハメンバーを中心に、演者さん同士の掛け合いが心地良い作品でした。そういうシーンで特に気をつけていることは?
専門用語がすごく多いので、「よりは少なめにしてください」とお願いしたんですけど(笑)。唯織に関しては、から2年経って、留学はしていたけど変化は出さないようにと意識していて、急に流ちょうになったりとかしないようにしたいなと。あくまでも一番大事なのは目の前にいる甘春杏先生(本田翼)なので。ただ、お芝居のリズムっていうのは、みんなで作っていっている感じなので、あんまり速くしようとか遅くしようとか考える、というよりは、監督たちがイメージしているものに乗っかっていくっていう感じですね。
今回も現場に入ってすぐ、みんなの空気感は出来上がったのですか?
このシーズンの撮影前に、朝ドラをやらせてもらっていたんですけど、朝ドラをやっていた1年半くらい間が空いたっていう感覚があまりないくらい自然でした。まったく同じセットを作っているんですけど、中に入った時に、帰ってきた感じがしたのですぐに思い出しました。
逆に、今作で変わったところ、パワーアップしたところを教えてください。
新しい仲間が増えた、という部分が一番大きいんですけど、2年経ってみんながそれぞれの場所で活躍されたりとか、培ってきたりされたことっていうのが、役の濃さにつながっている気がします。でいろいろな苦難があって、大変なことをみんなで乗り越えて、2年間それぞれの現場に散って、また集結したときに、またヒーローたちが集まったような感じというか。現場に入ってすぐそういう力強さみたいなものは感じました。
そういう中で、変わらない唯織を、どのようなバランスで演じようと思われましたか?
バランスというよりは、唯織は変わってはいけないんだと思うんです。原作では主人公ですけど、どっちかというと端っこにいるようなタイプなんです。でも、ドラマになると真ん中に立たなければいけないのは、物語を見てくださる視聴者の方たちに伝えなくてはいけないからなんですよね。監督とも「“変わらない勇気”っていうものは、持っていなきゃいけないよね」という話になり、敢えて変化はさせないことにしたんです。衣装合わせに行ったら、オレンジのコートと、中に白いシャツと黒いズボンと、コンバースの靴だけ置いてあって(笑)。あとは青い制服ですから。今まで一番短い衣装合わせでした。ある意味、衝撃でしたね、ここまで変えないんだって。2年間、同じものを着続けていたんだって(笑)。
変化がないことに、窪田さんご自身も納得だったと?
遊びたいですよ、もちろん。僕の中ではいろいろ変化をつけて遊びたいですけど、でも、それが唯織の立ち位置というか、ドラマの軸をやらせてもらうっていう責任だと思っているので、僕は僕で、小さな楽しみを見つけながらやっています(笑)。
撮影に入って、改めて懐かしいなと思ったり、楽しいと思ったりしたことは?
遠藤憲一さんの凄さですね(笑)。僕たちが一番絡むのはエンケンさんが演じる小野寺技師長であり、リーダーであるエンケンさんで、エンケンさんの明るさがこの現場の一番のカギになっていると思っているんです。これ、凄く面白いんですけど、メンバーのうち誰か一人がいないと、なぜか流れている空気が違うんです。この作品は、いつもみんなで一緒にいるのが当たり前になっていますし、ひとりの患者さんに全員で行きますからね(笑)。そういう中で、エンケンさんの人柄というか、誰に対しても変わらない姿勢には、僕も救われることがたくさんありました。
窪田さんにとって、この唯織というキャラクターは演じやすいですか?  それとも演じにくいですか?
重複してしまうんですけど、みんな本当に仲が良いので、ヒロインの本田翼さんとも仲良くしゃべるので、ここの距離感がたまに分からなくなるんですよ。それは、恋い焦がれる、憧れの放射線科医の甘春杏ちゃんと、現場の中で常に視界にいる本田さん、という距離感の違いのせいで、セリフがすんなり入ってこなかったりすることはありますね(笑)。
前作から2年が過ぎ、他の作品を経験して戻ってきた今の窪田さんから見て、今作で気づいたことはありますか?
変わらない……いや、なんだろう。ちょっと難しいですね。僕自身、あまり成長しているとは思っていないんですけど(笑)。ただ唯織は、もうちょっと器用に生きられないのかなとは思います。唯織は病気を見つけたりすると、もうそれしか見えなくなってしまうので、彼の中にある思考回路をもうちょっと増やしたりとかして欲しいなと。興味があることが杏ちゃんと検査しかないので(笑)、これをもう少し違うところに視野を広げたりすれば、病院内でももうちょっと立ち位置が変わるのかなって思ったりします。

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