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日本女子フェンシング界の若きエース

12月9日放送の『S-PARK』は、フェンシングの東晟良(あずま・せら)選手に密着。東京オリンピックを見据え、さまざまな改革を進めている日本フェンシング界の若きエースの強さの秘密に迫りました。

注目の女子フルーレ頂上決戦

12月9日に行われたフェンシングの全日本選手権個人戦の決勝。日本フェンシング協会の太田雄貴会長(北京リンピック男子フルーレ個人銀メダル/ロンドンオリンピック男子フルーレ団体銀メダル)が、「非常に見応えのある。過去、近年にない試合になるかなと思う」と、期待を寄せたのが女子フルーレ。今年8月、アジア大会で初めて団体で金メダルを獲得。国際舞台で活躍を見せる選手が数多く出場した中、決勝へと勝ち進んだのは、東京で世界を驚かすかもしれない10代のフェンサーでした。

昨年、史上最年少で全日本を制した若き日本のエース・東晟良選手、19歳。東選手が取り組むフルーレは、3つある種目(フルーレ、エペ、サーブル)の中でも背中を含めた胴体のみに攻撃が許されています。戦略や選手同士のかけ引きが見られるのが特徴で、日本では最も競技人口が多いのですが、女子はこれまで一度もオリンピックでメダルを獲得したことがありません。

それでも東選手は「東京オリンピックに絶対出て、個人と団体でメダルをとること」を目標にしています。東選手が、こう言いきるのには理由がありました。かつて選手だった母の影響で、彼女がフェンシングを始めたのは10歳のとき。小学校の文集に書いた夢は「お母さんがあきらめなければならなかったオリンピックに出場すること」。母が成し遂げられなかった夢を自分の手で――姉の莉央(りお)選手と共に早くから才能が開花し、全国大会の決勝で姉妹対決となることも、しばしば。最強のフェンシング姉妹として注目を浴びました。

「莉央より成績が上に行きたい気持ちはある」(東選手)、「やっぱり妹なので負けたくない」(莉央選手)と、ライバルであり、よき理解者でもあるふたりは、ともにナショナルチームに入るまでに成長。そんな東選手の才能について、日本女子フルーレのフランク・ボアダンヘッドコーチは「彼女は優れた身体と大きく動けるアタックを持っている」と分析。

体の柔軟性を生かしたアタックが、最大の武器

東選手の最大の武器である、体の柔軟性を生かしたアタック。157センチと小柄ながらも、足を大きく開脚することで一気に相手との間合いを詰めることができます。すべてはオリンピックのために。世界の強豪と渡り合うべく、トレーニングに励んできました。

そして今年、東選手は飛躍を遂げます。8月、日本女子フルーレの一員としてアジア大会で団体金メダルを獲得すると、その勢いはとまらず、先月にはワールドカップで自身初の表彰台となる2位に。オリンピック出場の夢は、間違いなく手の届くところまで来ています。

だからこそ、日本で負けるわけにはいかない。ベスト16に終わった莉央選手のサポートも受けながら、東選手は順調に勝ち上がり、決勝の舞台へ。「自分の力を出しきれば、いい試合になると思う。自分が持っているすべてを出せるよう頑張ります」と試合に臨みました。

その東選手と決勝で剣を交えるのは、10月に行われたユース・オリンピックで金メダルを獲得した上野優佳(うえの・ゆうか)選手、17歳。彼女もまた「オリンピックで金メダルをとるには、全然まだまだだと思う」「絶対2020年東京オリンピックに出場して、個人・団体とも金メダルをとりたいと思います」と、強い思いを口にします。東京オリンピックまで593日。夢の舞台を射程圏内に入れる10代の剣士の、女王の座をかけた戦いが始まりました。

先手を取ったのは上野選手。一瞬の隙を逃さず喉元を突きポイントを奪うと、剣を回しながら、またしても喉元へ。4点リードで第1Rを終えます。ここで1分間の休憩。気持ちを切り替えた東選手がここから一気に反撃に。柔軟性を生かしたスピードある攻撃でポイントを奪うと、さらに相手の攻撃を冷静にかわし、怒涛の4連続ポイントでついに同点。完全に流れをつかんだ東選手は、一気に逆転し、14-9で全日本選手権2連覇を達成しました。

試合後、東選手は「こういった緊張感のある舞台で戦うことは、東京オリンピックにもつながってくるかと思うので、ここで戦えて良かったと思います」と笑顔を見せました。実力者が揃い、熾烈な代表争いが繰り広げられる、日本女子フルーレから目が離せそうにありません。

番組情報

『S-PARK』

＜放送＞

毎週土曜　24時35分～25時15分
毎週日曜　23時15分～24時30分

＜キャスター＞

宮司愛海(ﾌｼﾞﾃﾚﾋﾞｱﾅｳﾝｻｰ)
中村光宏(ﾌｼﾞﾃﾚﾋﾞｱﾅｳﾝｻｰ)
鈴木唯(ﾌｼﾞﾃﾚﾋﾞｱﾅｳﾝｻｰ)
黒瀬翔生(ﾌｼﾞﾃﾚﾋﾞｱﾅｳﾝｻｰ)