Muscat~フジテレビの番組情報

2018.11.26更新

白井健三に密着1500日。日本体育大学で培った「体操力」と「人間力」

11月25日『S-PARK』

日本体育大学で過ごした4年間の軌跡

11月25日放送の『S-PARK』は、体操の白井健三選手に密着。日体大で過ごした4年間の軌跡、そして今や世界が認めるオールラウンダーへと成長したその強さの秘密に迫りました。

名門・日体大体操競技部の強さの秘密

11月13日、宮司愛海アナが訪れたのは、白井選手が大学最後の大会となる全日本団体選手権に向け練習に励む日本体育大学体操競技部。6種目すべての演技を通しで行う練習のあと、宮司アナは、団体戦登録メンバーと座談会。「技術が、自分のものだけではなく、他の人のものを共有して取り入れたり、そういった自分にない感覚を人と分け合える。この部のすごくいいところだと思います」と本人が語る通り、この4年間の白井選手の成長には、日体大での学生生活が大きく影響していました。

密着が始まったのは、2014年12月。まだあどけなさの残る白井選手が、目を輝かせ日体大にやってきました。「神奈川県出身、岸根高校より参りました、白井健三です。よろしくお願いします」と挨拶。日体大体操競技部は、内村航平選手など五輪金メダリストを14人も輩出している名門。その強さの秘密は、先輩後輩関係なく互いに助け合う精神にありました。

得意のはずの跳馬でスランプに陥っていたときには、当時の副主将・長谷川智将(4年)さんが声をかけ「跳馬を近く感じて、腰を引いてしまう」と、その原因を白井選手自ら引き出させ、また白井選手が苦手としているあん馬に取り組んでいたときには、当時の主将・岡準平さん(4年)から「動かす前に大きく抜いて、“ポンポン”まで早くしないとコンバインド(技名)は(ダメ)」とアドバイスを受け、すぐにヒントをつかみます。そんな「体操力」を高めるヒントがつまった日体大体操部の環境が、白井選手のオールラウンダーとしての道を拓いたのかもしれません。

また、もうひとつの秘密が寮生活に。日体大体操部には個室はありません。先輩後輩の風通しを良くするため、1~4年生まで各ひとりずつが4人部屋で寝食を共にします。寮での生活は、助け合いの連続。白井選手も「1年生のときに先輩方がすごく気遣ってくれたので、僕が部屋長になったときは伝えていきたい」と語ります。

大学2年生、リオオリンピックの年。白井選手に最大の危機が訪れます。選考会を間近に控えた試技会で、体と気持ちがかみ合わず、満足のいく演技ができずに苛立ちをあらわにしたときのこと。「(代表に)決まってないのに、五輪、五輪って。行った体(てい)で『五輪ではどうしたいですか?』って。まず五輪に行くことに集中したい。もう、その質問ほんとキツイ、毎回」と怒りの表情を見せていましたが、その日の夕方には、風邪で寝込んでいる後輩のために、笑顔で玉子粥を作っている姿が。こうした、ふとした日常が白井選手の心を落ち着かせていたのです。

そして、日本中に歓喜をもたらしたリオオリンピックから1ヵ月後。白井選手は4年後を見据え、ある決意を絵馬にしたためていました。「便名AA(オールアラウンド/個人総合)、日付2020です。搭乗期間は4年。うまいこと書きましたね(笑)」。迎えた2018年、大学生活最後の年は主将に立候補。かつて先輩たちが居残り練習に付き合ってくれたように、今度はキャプテンとして後輩に日体大の伝統を伝えます。

「これまでは、『自分のことだけやればいい』というエースの勝手な感覚だった。やっぱり日体で4年間学ぶことができたから。伝えていかないといけないものだと思うし、自分だけで終わらせたくもない」と、白井選手は後輩のために気づいたことをテキストにまとめて渡すなど、労をいとわず動きました。

その行動が実を結んだのが、インカレ団体戦。日本代表を数多く擁する順天堂大学は、入部以来まだ一度も勝ったことのない相手。しかし、後輩たちは、白井選手が「偉大な後輩に見えました。『面倒見ていかないといけない』と思っていたのが『支えてくれてありがとう。もう大丈夫だ』と思いました」と語るほどの演技を見せ、順天堂大学に食らいつきます。そして、勝負の最終種目は跳馬。最後の演技者は白井選手。完璧な演技を決め、見事4年ぶりの優勝を飾ったのです。

優勝決定後、涙を見せた白井選手。その意味を聞かれると「あんまり話したくないです。自分の中でも表せない感覚でした。なんか『4年間』っていう表情と感覚です。本当に、単純で一番近い表現だと思います。『僕の大学でやってきたこと』って感じです」。

「最後は、『日体大で良かったな』と思えるような試合をしたい」と臨んだ、全日本団体選手権(11月25日)。ゆかでは、H難度の大技シライ3、F難度のシライ・グエン、跳馬ではシライ/キムヒフンを決め高得点をマーク。大学最後となる演技は、この4年間で最も成長した鉄棒。大学時代に習得した屈伸コバチ、かかえ込みコバチを鮮やかに決めると、最終演技者にふさわしい完璧な演技。順天堂大学には及ばなかったものの、チーム全員がはじめてノーミスでつないだ大会に。待っていたのは涙ではなく、仲間たちとの笑顔でした。

「やりきった」と語った白井選手は「やっぱり『人間力』。体操がうまくても、少し意地悪なことをしたりだとか、そういうことをしていると結局、試合で良いことが起こらないと大学生活で感じた。『安定した生活は、安定した演技を生む』と、僕は大学4年間で学ぶとことができました」と笑顔を見せていました。

番組情報

『S-PARK』
<放送>
毎週土曜 24時35分~25時15分
毎週日曜 23時15分~24時30分
<キャスター>
宮司愛海(フジテレビアナウンサー)
中村光宏(フジテレビアナウンサー)
鈴木唯(フジテレビアナウンサー)
黒瀬翔生(フジテレビアナウンサー)

掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。