2018.02.03更新
いよいよ開幕が迫った平昌オリンピック。日本勢のメダル獲得が期待されるフィギュアスケートについて、フジテレビ『平昌オリンピック』中継のキャスターを務める、バンクーバーオリンピック銅メダリストの髙橋大輔さんが、ライバルとなる世界各国のメダル候補を徹底分析! さらに、メダル獲得へのポイントなどを、オリンピアン&メダリストならではの視点で解説していただきました。
<髙橋大輔さんに聞く>
Q.日本勢のライバルとなる、フィギュアスケートのメダル候補を教えてください。
男子は、ハビエル・フェルナンデス選手(スペイン)は実力者ですし、パトリック・チャン選手(カナダ)はベテランで、スケートの部分で非常にテクニックを持っている選手なので、ジャンプが決まってくれば上位に食い込んでくる可能性があります。ネイサン・チェン選手(アメリカ)も、5種類の4回転ジャンプをすべて飛ぶことができ、スケーティングもうまく、ニューカマーとして、今最も注目されている存在です。今シーズンのプログラムも非常に見応えがあるので、金メダル争いに関わってくるのかなと思います。ボーヤン・ジン選手(中国)も、ジャンパーとして知られていますが、昨年から、表現の部分で成長してきているので、怖い存在です。
女子は、エフゲニア・メドヴェージェワ選手(※ロシア)が絶対的な金メダル候補になっているので、彼女をどう負かしていくかという構図になると思います。今は、ほかの選手たちが、彼女に勝つために努力しているという状態です。ただ、アリーナ・ザギトワ選手(※ロシア)なども、難しいプログラムで後半にジャンプを全部飛んできて、点数を稼いできますし、ロシアの選手は強豪揃いです。ケイトリン・オズモンド選手(カナダ)も、ベテランの域に入ってきて、ジャンプが決まってくれば、プログラムの構成点的に非常に高い点が期待できるので、日本勢のライバルになってくるのかなと思います。カロリーナ・コストナー選手(イタリア)も、スケールの大きさ、風格などやはり別格。正直なところ、女子はメダル候補が多すぎて、ほぼ全員が注目選手っていうくらいです(笑)。みんなレベルが拮抗していて、メンタルやその日の体調、ちょっとした差が勝負の分かれ目になってくると見ています。
※メドヴェージェワ、ザギトワ両選手は、個人資格での五輪参加となります。
Q.そんな中で日本勢は、どういう戦い方をすればいいのでしょうか?
回転不足などのミスは絶対せずに、小さな加点をすべてプラスしていくことでしょうか。スピンのレベルも確実にとり、プラス、加点をもらうようにしていく。ステップも、着実にエッジワークを使って上体も動かしてプラスをもらっていく。そういった細かいところは、自分自身では気づかず、練習していてもわからない部分でもあるので、そこはコーチと相談しながら緻密に作っていくという作業が必要だと思います。メドヴェージェワ選手は、そういう“つなぎ”の部分がすごくうまい。ジャンプを降りたら、すぐ次に行くのではなくて、ちょっと足を上げたりとか。そういったところで加点をかなり稼いでいますし、スピンでも質を落とさない。本当に、ちょっとした加点の差が勝負になると思います。
Q.フィギュアスケートはショート、フリーと日程が分かれているのが特徴です。メンタルの作り方も難しいのでは?
そこは、選手、アスリートの一生の課題です。やっぱり、ショートで思いがけない順位になってしまったときに、そこで動揺してしまわないように、どれだけ落ち着けるのかということと、落ち着きすぎても、やはり高揚感というものがないといけません。いい緊張感がないと、雰囲気的にもダラッとしてしまったりするものなんです。だから、疲れないように、いい緊張感を保つというのは、毎回の課題。どの試合も、環境も違いますし、流れも違ったり、時差もあったり、試合の時間帯も違います。だから、すべて同じにするよりは、その環境に合わせられる余裕を常に持っておくってことが大事なのかなと思います。気持ちの作り方は、選手それぞれで違うものですが、ただ、今の自分の状況をちゃんと把握しておくことは必要で、それが対応力につながるのかな、と思います。周囲が言っていることが、自分で体感しているものと違うということが、実は、結構あるんです。だから、そこをすり合わせて、コーチとのコミュニケーションを深め信頼関係を築いていく。シングルスケーターの場合、リンクに出ていく最後の瞬間はもう、コーチとふたりきり。そういった中で、いい関係を作っていくことが大事になってくるのかなと思います。最後の支えは、やはりコーチですから。
Q.冬季オリンピックでの必需品はありますか?
僕もそうでしたが、海外だと、選手が(普段と違う)ベッドで調子を崩すことが多いので、寝具をどれだけ快適にするかが大事かなと思います。ただ、食事の面も含めて、JOCのサポートがあると思うので、そこは安心です。あとは、選手村の部屋が殺風景なので(笑)、どれだけ快適に暮らすかという部分はあるかもしれません。みなさん、いろいろ持っていくのではないですかね。
Q.最後に、『平昌オリンピック』キャスターとしての意気込み、選手のみなさんへエールをお願いします。
2年前のリオで、初めてキャスターに挑戦させていただいたときは、プレッシャーや、わからないことだらけで大変でしたが、一度体験させていただいたということと、今回は冬季オリンピックで、少しは知っているところもありますし、特にフィギュアは自分がやっていた競技ですので、視聴者のみなさまに、今までの競技生活の経験を生かして自分らしく伝えられればと思っています。選手のみなさんには「頑張って」としか言えないです。ただ、納得のいく、満足のいく演技を、全選手してくれることを心から願っています。
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