…八つ墓村…

■インタビュー■
田治見久弥・要蔵・庄左衛門(三役)
┗吹越満

□そんな吹越さんが、今回は"本当に祟られてしまったのか?"という、田治見家当主を演じられたわけですね? しかも、過去から3つの代、3人です。
■基本的には、原作を読んだ人と、テレビを見る人のイメージから、あまりかけ離れるのもどうかと思うんです。過去にも映像化されている作品ですし。以前、演じた人と"俺は違うことをやろう"というのも、どうかと思います。ですから、脚本で描かれている通り、また監督に現場で指示された通り、僕は素直に演じたつもりです。庄左衛門は、ちょんまげの時代ですし、あまり役を作るということはありませんでした。久弥は、病人ということで、その感じと毒殺されるという芝居だけですからね。だから、祟られているとか、呪われているという感じよりも、病人のイメージをどう出すか? でした。脚本にはないんですけど、星護監督が現場でいきなり原作を出して"久弥の件を読み上げます"と、始めたんですよ。久弥が咳き込む雰囲気で、それを辰弥(藤原竜也)がどう思ったか? なんですけど、それを原作に忠実にやってみましょうと監督がおっしゃるんです。辰弥は、久弥の息遣いにインパクトを感じているんです。ですから、そこは原作のイメージで演じたつもりで。

□そのシーンにお邪魔していましたけど、すごかったですよ。
■そうですか? ですから、久弥は人間関係や祟られているかも? という内面よりは、病人としてどう見えるかを、全面に捉えて演じました

□では、要蔵は?
■要蔵は、一番演じるのが嫌な役ですね。原作の中で要蔵が起こしたような事件は、実際にあったものがもとになっていると伺っていますので。やっぱり、嫌だな、この人…。登場人物としては架空なんでしょうけど、実際に大量殺人を犯した人がいて、その人が本当に懐中電灯と詰襟を着ていたということもあるし…。ですので、要蔵の行動が一番怖くなければいけないと、監督も意識していらしたし。一番嫌だったのは、セット撮影でのこと。要蔵が殺した人数は、32人になっているんですけど、僕が芝居で殺した描写があったのは11人ぐらい。その中に、子供がいたんですよ。そこは、やっぱりドラマとは言え、きつかったですね。庄左衛門と久弥は、お金に目がくらんだ人間なんですけど、要蔵は"色"で走った殺人ですし。でも、みんな、もっとちゃんと生きられたと思うんですけどね。要蔵も、好きな人が出来たら拉致なんかしないで、一度キッチリ離婚した上で打ち明けてみたら良かったのに(笑)。庄左衛門だって、落ち武者ともっと仲良くなれば、少しぐらい金をくれたかもしれないのに、全部奪おうとするから…。

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