やっぱり中国は強い。サイズや素材はともかく、バレーをよく知っているというか、勝負どころをわきまえている。アテネ五輪を制した自信ゆえか、大舞台の経験、厳しいトレーニングゆえか。ここぞという場面での差は相当、ある。
柳本監督は会見で「最後は実力の差だと思います」と潔かった。ただ手ごたえもある。「"ちびっ子ギャング"だから」と通路では笑顔をつくった。「チームは大分、できてきた。それぞれが役割分担をしっかりして、その目標に向けてやってくれている。戦う姿勢にもなっている。課題が見えているから。もう少しだね」
たしかに大山加奈、栗原恵、木村沙織らはいない。だがレフトが小粒な分、守備面は良くなった。自分の役割に徹する。拾う選手は拾って拾いまくる。速攻にかける選手はスピードで勝負する。
課題は個々のブラッシュアップとコンビの完成度を高めていくことである。精度はまだまだか。主将の竹下は言う。「しっくりこない部分がある。微妙なところかもしれないけど、堅いバレーをするためには細かいところを詰めていかなければいけません」と。チーム作りの過程の大会とはいえ、やはり結果も求められる。だって、全日本だから。中国戦後、ポーランド、ドミニカ共和国に快勝した。いいぞ、柳本ジャパンなのである。
最後に。ポーランド戦後、こんなシーンがあった。先発しながら、第1セット終盤で交代した大沼綾子が帰り際、泣いていた。緊張で力が出せず、余程、悔しかったのだろう。チャンスを生かすも殺すも本人である。顔を上げて前に向かっていくしかないのだ。大沼には涙は似合わない。

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