前サッカー日本代表監督 フィリップ・トルシエ(前編)
インタビュー・文/李春成
[Q]たとえばセンターバックにしても、世界と比べると、日本人はどうしても見劣りします。そして、両サイドのスペシャリストも見当たらない。こういう特徴をもった日本代表に、ヨーロッパの最新モードである4-3-3システムは合うと思いますか。
[A]ジーコ監督もずいぶん迷っているようですが、個人的な見解では、現在の日本に4バックシステムは合わないような気がします。たとえばアレックス三都主は極めて攻撃的な選手なので、4バックの左は向いてませんよね。彼を4-3-3のフォワードの左で起用するという考え方もありますが、残念ながら、その場合に彼の後方を守る左サイドの選手が日本には不在です。したがってヨーロッパ式の4-3-3を日本に当てはめるのは、極めて難しいと言えるのではないでしょうか。
[Q]あなたが次の代表チーム、あるいはクラブチームを率いるとしたら、やはりフラット3がベースとなるんでしょうか。マルセイユでは結果的に4バックを採用しましたが。
[A]私がこだわったフラット3は、私の哲学のすべてというわけではありません。選手個々の力を分析したうえでの適用でした。逆にマルセイユでは、3バックにふさわしい人間がいなかったために4バックを選択したんです。だからシステム優先ではなく、まず選手ありきなんですね。私の分析によれば、どうも日本にはディフェンスの文化がないように思えました。そして、1対1にも強くない。そこで組織や戦術を通じて、日本の弱点をカバーしようとしたんです。つまり高い位置からプレッシングをかけて、最終ラインも高い位置をキープする。日本の長所を生かし、その一方で日本のハンディキャップをカバーしようとしたときに、3バックのほうが日本人には合っているように思えたのです。
(インタビュー後編へ続く)
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