◎インタビュアーの目
『気』の充実ゆえか、懐かしい顔が凄みを増していた。一見、柔和な目も、実はすべてを見つめている。
「さ。今日は何の話や」いつもそうだ。質問者のテーマをさっと掴み、それに合った答えを面白く言葉にしてくれる。メディアを通し、バレーボールファンを1人でも増やしたいとの熱意がみなぎる。悪童の目。飄々としながら、迫力があるのである。
「新生柳本ジャパン」。この言葉に「ちょっと」と口を濁した。キャッチフレーズとしてはわかる。でも全日本の実態を伝えていない。柳本監督が描く全日本復活ストーリは中途なのに、また1ページからとの野暮は言うな、といった風だった。監督就任が2003年のワールドカップ開催の年の春とすると、次の2007年ワールドカップまでを4年スパンで考えるのだ。だから、「第2章に入った」と。
効率的なチーム作りは、ふだんのちょっとした仕草からもわかる。喫茶店でのインタビュー。座ってコーヒーが出てくると、「おっ。今、お願いしようと思っていたところだ」と笑う。続けて余計に頼んだオレンジジュースも出てくる。「なに、これ。いっぱいくるの」顔がいささか歪む。無駄がキライなのだろう。
新たな柳本ジャパンのメンバーを見れば、パッと見、派手さはないが、何か秘めたものがあるような気がしてくる。“YANAGIMOTOロボ"は何を考えているのか。ワールドグランプリで深遠なるシナリオの一端をのぞきたくなるのだった。
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