◎インタビュアーの目
「神は細部に宿る」という言葉がある。抽象的な表現だが、優れた芸術家などは、誰にでも普遍的であるはずの森羅万象を、一般人には理解不能なところまでキャッチでき、しかもそれを絵なり、音楽なり、言葉なりで誰にでもわかるように表現できる人に、神秘性と驚嘆を込めて使われる呼称である。古田選手と話していると、まさしく「神が細部に宿った人」だなと思った。この領域に達した選手は、スポーツ界全体でも何人もいない。この世界に足を踏み入れた人は、自分の感覚や身体の囁きに忠実であろうとするため、他人にはあまり興味を持たないものだ。しかし古田選手は「自分で言うのも何なんですが、僕は結構親切だと思いますよ」と言うくらい、相手の立場を生かそうとする。その真骨頂がプロ野球選手760人を統括する選手会会長という役職だろう。選手の権利を主張し、プロ野球界の歪みを是正してきた。機構側の権力は巨大だ。そこに1歩も怯まず挑んできたのである。拍手喝采を送りたいところだが、古田選手はさらりと言った。「でもね、チーム優勝の喜びは何にも優るんですよ。優勝がしたい」他人に親切な心は、強固なチームワークを生む。今シーズンの野球を面白くするのはヤクルトと確信した。
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