F:「こういうバッターに対してはこう攻めて、こんなふうに抑えるのを基本にしたい。こうされたらバッターはこんな感じでマークしてくるので、ここを攻めたい。だから、今君には、こういう球とこういう球がぜひ必要だし、今のこういう球は実はあまり使い物にならないので、こういう球種にトライして欲しい。今ある球種のこの球に重点をおいて投げた方が、仕留める確立は高くなる」というようなことは選手それぞれに言いますね。
Y:でも、伝え方って難しいと思います。言葉は選手の個性や性格に合わせて変えているんですか。
F:言い方は変えないですね。もちろん穏やかに言いますけど。でも、選手たちから返ってくる感じが全然違うので、それが面白い。「バカの壁」ではないですけど、「話してもわからないよ」という選手もいなくはないけど、基本的には、皆いい大人なので通じているとは思っています。ただ、ピッチャーというのはもともと強気な選手が多いし、実際そういう積極的な性格でないと相手には勝てないですから、そういう性格を尊重した上で、その選手に有効な方法論を考える。100%正しいという方法論があれば僕らも苦労はしないんですけど、その答がないので、限りなく100%に近い方法を求めて頭を使っているわけです。例えば、僕が数学の先生だったら、「お前、なんでこの数式を使わないねん、これを使えば簡単やろ」と言えるけど、そんな方程式は野球にはないんですよ。だから出る答も自ずと違ってくる。それは経験論からくるものもあれば、個々のレベルの違いからくるものもある。それらをすべて包括した上で「比較的こっちの方がいいんではないか」「こっちの方が抑えられる可能性はあるけど、お前としてはこういうピッチングはどうだ」と示唆しますね。基本的に本人が嫌なことはさせたくないですし。「技術的に、こういう方法は可能か?」「その方が抑える確立は高くなるけど、どうだ?」という聞き方をしますので、結局、最後に決めるのは本人になります。
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