Y:そもそも、土俵に上がる前に顔を張ったり、胸を叩いたり、肩をグルグル回すのはどんな意味があるんですか。
T:自分が弱いからです。気合を入れている。本場所になると毎日、土俵に上がるまでが恐い。僕は小心者なんですよ。だから、気合入れの儀式というか、自然に生まれた動作なんですけど、顔を張ったり、胸を叩いたりしながら「さあ、行くぞ」とモチベーションを高めなければならない。そもそも、気合入れの儀式をやり始めたのは、2002年の春場所からなんです。その二年前の秋場所で、右膝前十字靭帯炸裂の大怪我をしてしまい、その後二場所休んだんですけど、一気に幕下まで下がってしまいました。九場所ぶりに再入幕を果たしたんですけど、久しぶりに幕内の土俵に立ったら、恐くって恐くって足の震えが止まらなかった。そんな恐怖心を少しでもなくそうと、自分自身をぶん殴って気合いを入れたら、足の震えはすーっと止まった。それからです、気合入れの儀式を始めたのは。パフォーマンスじゃないか、と指摘されることもありますけど、僕にはそんな計算はできません。本能的なものです。
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