Y:新谷選手は156cm。多分、世界の女子スケーターの中では一番小さいと思います。そのハンディをカバーするために、さまざまな工夫があるんですよね。
S:何、と問われても困るんですけど、一言で言っちゃうといつも「考えている」ことかな。練習もただ身体を動かすために滑っているんではなくて、一歩一歩、あるいは一周一周、全身を研ぎ澄ませて氷の状態や靴の反応、カーブの重力、身体の感覚などの情報をキャッチしながら氷に乗っています。滑りながら、その反応や感覚を身体に染み込ませているといったらいいんでしょうか。滑っている時の重心は低いと言っていただけますが、私としてはもっと低くしたい。低くすればするほど、空気抵抗が少なくなりますから、スピードも増すんです。そのためにももっと筋力を強化し、尚且つ柔軟性を高めなければなりません。
Y:練習での動きを効率よく知覚神経に認知させることが出来るのは、神経ネットワークがそのように組み込まれてなければいけない。神経ネットワークは子供の頃に出来上がってしまうので、子供の時に運動をしていたかどうかが重要になってきます。他競技のトップアスリートと同じように、小さい頃からその競技に親しんでいたのですか。
S:スケートを本格的に始めたのは、小学校2年生の時からです。指導者は父でした。父は小学校の教員で、たまたま赴任してきた長野県の宮田村がスケートの盛んな地域だったこともあり、スポーツ少年団のような感じでその地区の子供たちにスケートを教え始めたんです。父はスケートをやったことはなかったと思いますよ。経験はなかったですけど、研究熱心というか、スケートが本当に好きで、小学生から高校生まで常時10 人ぐらいの子供たちを教えていました。私たち兄弟も全員。兄はもう止めましたけど、高校生の妹は今、父に指導を受けています。
[戻る|次へ]

[戻る|0.TOP]

(C)2004 Fuji Television.