◎インタビュアーの目
宇佐美選手の身体能力とバレーセンスは、関係者なら誰もが認めるところ。だからこそ将来性を買われ、セッターに転向してまだ3年しか経っていないときに全日本に招集されたのだ。だが、その後は伸び悩む。春校バレーの常連校として、全国に名を馳せる秋田県雄物川高校のバレー監督は宇佐美選手の父。その父親に、小さい頃からバレーのエッセンスをぎっしり積め込まれた彼は、バレー界のサラブレッドとしてメインレーンをただひたすら走っていた。しかし、全日本に入って間もなく、大学の後輩である阿部選手に鼻先を奪われ、自己否定するほどに落ち込んだという。言うなら、青春の蹉跌。だが、バレーで悩んでいたというよりはむしろ、人生の方向性を見失っていたのだろう。悩んで、苦しんで、そして手にしたのは、バレーが自分の表現手段という当たり前の確信だった。しかし私には、宇佐美選手が自分のポテンシャルをまだ表現し切っていないと思えてならない。無意識に自己規制している部分が見受けられるのだ。次なる高みに進むには、ワールドカップで「存在証明」することが大切である。そうすれば自ずとオリンピック、そして世界へ、繋がる道が見えてくるはずである。
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