◎インタビュアーの独り言
一見、儚げである。186cmの身長からすればもう少し筋肉があった方がいいし、何よりチャーミングな風貌が「道を間違えたんじゃないの」と口をつかせてしまう。しかし間違えたのは、私の方。栗原選手はマシュマロのような雰囲気をさせつつ、その芯は鋼鉄のように揺るぎない。19歳にしてこれだけの精神の強さを持っているアスリートにはなかなかお目にかかれるものでもないが、子供の頃の話を聞いて氷解した。中学2年生の時から、孤独のなかで自己対峙していたというのだ。トップアスリートは、例外なく孤独と向き合っている。それが辛く感じられるようになると、進化が止まってしまう場合が多い。しかし、多感な中学の時に孤独と向き合い、消化していたというのもすごい話である。トップアスリートになれるのは、どの競技を見渡しても早くて20歳を過ぎてからで、ある程度、心の引き出しは増えてきている段階だ。だが、中学生には精神の余裕などないはず。栗原選手がそんな環境から逃げなかったのは「バレーがもっと巧くなりたかったから」。多感な頃に埋め込まれた「バレーが巧くなりたい」という精神は、栗原選手が引退するまで変わらないだろうし、競技者としての最大の武器にもなる。こういう選手は間違いなく強い。ワールドカップで日本が剣が峰に立たされた時こそ、栗原選手の真骨頂が発揮されるはずである。
[戻る]
[戻る|0.TOP]
(C)2004 Fuji Television.