Y:全日本選手権では、試合の途中でお父さんにビンタを食らったんですよね(笑)。
I:そうです。1試合目、2試合目ともなかなか技が決まらず、相手の『注意』による優勢勝ちだったので、父の怒りが爆発したんだと思います。新聞などには、あのビンタで目が醒めたと書かれていましたけど、自分ではその前に気持ちの整理はついていました。父は二階の観客席で見ていました。しかし、息子の不甲斐ない闘い方に我慢ならなかったのでしょう(笑)。わざわざ下まで降りてきて、控え室にやってきた。父の顔を見た途端、超える「あ、やられるな」とは思いましたよ(笑)。控え室には他の人たちもいたのに、さーッと逃げちゃった。監督には「申し訳ありません。息子に一言だけ言わせてください」と断りを入れ、それからボコボコにやられた(笑)。鉄拳を浴びながら「何をやっているんだッ、お前が目指している攻撃的な柔道が全く取れていない。1本で決めろ。それで負けたならしょうがない。とにかく、思いっきり攻めるんだッ」という怒りの声を聞いていました。殴られたのは3年ぶりぐらいですけど、改めて凄い人だと思いましたね。父は2000年に脳梗塞で倒れて今も左半身が少し不自由なんです。でも、そんなこと関係なしに2階から飛んで来ましたから。多分、柔道に対する愛情と、息子に対する情熱が尋常ではないんだと思います。一時、オリンピックや世界選手権で優勝して、柔道家としては父を超えたかな、という思いが芽生えたこともありましたけど、あの一発でまだまだこの人にはかなわないと思いました。正直に言うなら、殴られて嬉しかった。
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