Y:それだけ上質の筋肉は遺伝だけでは無理。相当な練習量の跡が見えます。
I:確かに、筋肉をぶっ壊して新たなものを作るという筋肉の破壊・再生はこれまで随分やって来ました。特別に筋肉を壊す無酸素系のトレーニングをしなくとも、柔道の練習というのはそういう要素を含んでいます。例えば乱取りを続けざまに何本も重ねて行くと、意識が朦朧となってくるんですよ。でも、朦朧となってからが本当の勝負。そこからまた技を仕掛けていけるかどうかなんです。頭や筋肉に酸素がいかなくなった状態でも身体を動かしているわけですから、無酸素系トレーニングと一緒ですよね。こういう練習をしょっちゅうやっていると筋肉も破壊・再生されて、フレッシュなものが出来上がる。
Y:普通は、意識が朦朧としてきたら、動けなくなるんじゃないですか(笑)?
I:僕の場合は、小さい時からの練習が身についているんだと思います。僕が柔道を始めたのは5歳の時。父親が先生でした。その父は、僕がバテてフラフラになっていると「行けーッ」と喝を入れる。意識が無くなってから技をかけられるようになるのが、本当の柔道だと教えられたんです。だから今でも、朦朧としている時に「行けーッ」と声をかけられると、身体が自然に反応してしまう。パブロフの犬みたいですよね(笑)。もちろん、大人になってからは「行けーッ」というサインが無くとも、自分の意思で追い込めるようになりましたけど、そんな練習の積み重ねで、今の身体が出来上がったのだと思います。だから体重の変動もほとんど無いですね。100kgから103kgの間。休みが続くと103kgぐらいになりますけど、減量の苦しみを味わうことはありません。世界柔道には100kgで出場します。
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