新ニューヨーク恋物語
田村正和さんインタビュー
Q.田村さんが、田島というキャラクターにこれほどまで心をひかれた理由はどこにあるんでしょうか?
A.16年前の「ニューヨーク恋物語」では、個人的にも初めての経験だったんですが、1ヵ月半ニューヨークにいて、帰国して1ヵ月スタジオに入って、さらにまた1ヵ月半ニューヨークに行って…こういう経験がまず初めてで、スタッフとも仲良くなったりしたんです。そのスタッフとは、いまに至るまで16年間、「過ぎし日のセレナーデ」「じんべえ」「さよなら、小津先生」「古畑任三郎」などと、いまだにずっと仕事をしているわけです。そういう意味でも、またこのスタッフで「ニューヨーク恋物語」を撮りたい、という気持ちもありました。そして、ご覧になった方は覚えていらっしゃると思うんですが、アルコール依存症から立ち直って、それを支えてくれた岸本加世子さん演じる女性とケネディ空港で別れて、イエローキャブに乗ってマンハッタンに向かうところで終わるんですけど、その後、田島がどういう人生を送っているのか、どういう恋物語を繰り広げているのか、ということがどうしても知りたかった。だから、是非もう一度やりたい、という気持ちをずっと持っていたんです。
Q.16年間、田村さんご自身が「もう一度やりたい」とスタッフに言い続けてきた、という話をうかがいましたが…。
A.大体、僕は「もうやりたくない」というのが多いんですね(笑)。パート2まではやったことがあるんですけど、パート3までやったのは「古畑」だけなんです。それ以外は、大体飽きてしまう方ですから…。これは、本当に念願叶った、ということですよ。
Q.実際に今回の脚本を読んでみて、また16年後の田島を演じてみてのご感想は?
A.とっても意外でした。僕が想像していたのは、実業界で成功しているか、それとも相変わらず裏の世界で生きているのか、あるいは、またホームレスのような状態に戻ってしまっているのか…その3つだったんですけど、そのどれでもなかったので。彼はすでに自分の人生を終わらせるスタンバイをしていたという…経済的には何不自由ない生活をしているんでしょうけど、精神的にはバラバラになってしまって、死の世界に行こうとしている。それがすごく意外でしたね。
Q.外見的にはかなりワイルドというか、ラフな印象ですね。その辺りも田村さんご自身のアイデアだそうですが…。
A.そうですね。あの男が、16年間、多分こういう生活をしていたんなら、それを表現するには、どういうコスチュームで、どういうルックスでいったら効果的かな、といろいろ考えまして、監督とも相談して…。
Q.16年後の田島を演じるにあたって、特にこだわった部分というと?
A.すべてにこだわったといえばこだわったんですけど…やはりタイトルに「恋物語」とついてますから、若い女性に対して、この男がどういう恋心の表し方をするのか、というところですかね。とても儚くて、短い、あっという間の恋ですけど、それをこの60の男がどうやって演じるか、という部分ですね。
Q.竹内結子さんとの共演に関しては?
A.すごく若いのに、しっかりしてらっしゃって…。「プライド」というドラマも時々見ていましたが、ホントに将来が楽しみな女優さんだな、と思いました。
Q.久しぶりにニューヨークで撮影されてみていかがでしたか?
A.また同じメンバーでニューヨークに行けてよかったな、という感じですね。ニューヨーク自体は、いろいろと仕事で行っていたんですけど、相変わらず刺激的でいい街ですね。

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