海峡を渡る
バイオリン
相川の出征、そして父、陳在基(鄭 東煥 [チョン ドンファン])の逝去、と身辺の変化が続いた末に生活は困窮をきたし始め、昌鉉少年は中学進学を断念しなければならなくなった。相川のような教師になることを夢見る昌鉉少年は、お金がかからずに中学へ進める日本に渡ることを心に決め、14歳にして母の元を離れることを決意する。息子のためを思い、母も涙をのんで息子を送り出した。
日本に来て2年後、戦争は終わり昌鉉の祖国は分断され、母への手紙は何度出しても戻ってくるようになってしまう。
苦労の末、大学の夜間部に入った昌鉉だったが、卒業間近、国籍が違うために、大学で教職をとっても教師になれないことが分かる。絶望の淵に立った時、昌鉉は三度目となるバイオリンとの運命的な出会いを果たすのだった。大学構内で陳昌鉉は「ストラディバリウス」という世界最高峰のバイオリンの存在を知り心奪われる。
突き動かされるように昌鉉は、新聞で見た記事だけを頼りに、信州中野でストラディバリウスを作る職人、浅生(杉浦直樹)を訪ねる。弟子入りを希望するも、ここでもまた韓国人であることが障害となり、断られてしまう。しかし昌鉉はますます確信を強めるのだった。
自分がやるべきこと。それはストラディバリウスに負けないバイオリンを作ることなのだ、と。
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