ジャンクSPORTS
ジャンクOB通信

今回の名古屋女子マラソンは高橋尚子選手の出場で圧倒的な盛り上がりを見せていました。各局の番組がこぞって特集を組み高橋選手の劇的な復活とともに北京オリンピック出場を決める瞬間を心待ちにしていたと言えましょう。
正真正銘の国民的人気選手であり、マラソンという人気ジャンルを代表するスーパーアスリートならではの事です。
それにしても10kmにも届かないところでの失速劇は誰もが驚きました。一番びっくりしたのは高橋選手ご本人のようです。
「自分でも不思議、夢かなと思います。」
という発言に、彼女の思いを察する事が出来ます。
しかし立派だったのはそこからです。既に目標を失った彼女は何をモチベーションに残りの30km以上を駆け抜けたのでしょうか?
会見では沿道で応援してくれるファンの声援が励みになったとの発言もありました。
しかし、一言で言うと"トップアスリートの矜持"、これこそが彼女の原動力であったのではないかと私は睨んでいます。
「あきらめなければ夢は叶う」というメッセージを優勝してみんなに伝えたい、と公言して望んだ今回の大会、北京オリンピック出場の夢が叶わなくなっても、自分が走り続ける姿、戦い続ける姿から何かを感じ取ってもらえれば、それもまたトップアスリートとしての責任の果たし方なのではないだろうかと、彼女は本能的に考えていたと思います。
記者会見での爽やかな笑顔と見事な受け答えは、惨敗直後のアスリートにとってどれほど困難な事か…。彼女は真のトップアスリートの責任とは何かを感覚的に理解している、類まれな傑物である事を改めて証明しました。

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