実録・小野田少尉
遅すぎた帰還
- インタビュー -

[Q]鈴木紀夫という人物については、どう思われますか?

でも、70年代当時の"時代のたぎり"とか、学生運動とかがあったからなのかもしれないですね。僕はもう32歳だから、もしかしたら、25歳のヒリヒリした感性を忘れているのかもしれないけど…。自分が25歳だった時には、少なくとも大人がわかってくれないことに対して云々ということはありませんでしたね。自分はもう大人だと思ってましたから、収入はなかったですけど(笑)。
どちらかというと、僕は小野田さんのほうにシンパシーを感じるほうで、鈴木さんとは全然タイプが違いますね。無鉄砲で、出たとこ勝負で、冒険の準備など粗忽極まりないのですが、だけど、すごい魅力があったというのが鈴木さんなのでは。ワカヤマポイントに着いて鈴木さんが最初にしたことは、時計を壊して捨てることでした。台本には「覚悟を固めるため」とあるのですが、そのためにわざわざそんなことしなくてもいいじゃないかと思います。自分だったら、普通の冒険家みたいにちゃんと計画しますよ。資金を集めて、計画書を出してとか。
当時厚生省が捜索していたのに、鈴木さんは厚生省にも連絡していないのですから。まず、いきなりマニラに行って、ルバング島への行き方もそこで調べる。ワカヤマポイントも、当時共産ゲリラがいて一人では入れない危ないところだったのに、なぜか一人で行って小野田さんに会った。『小野田カンローさんですか』って聞くし、会いに行くならそれぐらい調べろよって思いますよね(笑)。面白い人です。」

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