雹が降るのは、夏の夕立と同じように大気の状態が不安定な時です。大気の状態が不安定というのは、大気の上層と下層のバランスが崩れて激しい対流(かき混ぜ)が起こりやすい状態で、「暖かいお湯は上昇し、冷たい水は沈む」という理論が大気で起きているのです。大気は、山の上が寒くて、平地が暑いということで、もうそれだけでバランスが良くありませんが、気温差が大きくなると一気にバランスが崩れ、平地の暑い空気が急上昇、上空の冷たい空気が下降します。ですから夏は、上空に冷たい空気がやって来ると大気は不安定になります。
不安定な大気は、バランスを取ろうとして上下にかき混ざり、地上の暑い空気が上昇して冷やされて雨雲になります。対流が激しいため、雨粒どうしがぶつかって大きくなるため、夕立は大粒です。真夏の8月と5月では、5月の方が上空の気温が低く、水が氷となる0度以下の高さが8月は5000メートル以上であるのに比べ、5月は2500メートル付近です。この差が雨でなく、大粒の氷「雹」で落ちてくる原因なのです。
気温差が大きくなって、地上付近の蒸し暑い空気が急上昇、空気は上空で冷やされて雨雲になります。0度以下の高度では雨粒が氷となり、氷の粒に水蒸気が付着して粒が大きくなる。重さに耐えられなくなった氷の粒は上昇から下降に転じるが、落ちながらさらに大きな粒に成長する。気温が0度以上になる高度から下では、氷の粒が溶け始めるが、5月は0度の高度が2500メートル程度と地上に比較的近いため、氷の粒が溶けきれずに落ちて来るのが雹なのです。
雹について5月の天気予報を見る時のキーワードは、「上空の寒気」「大気の状態が不安定」で、このどちらかを耳にしたら雹にも注意です。
(三井良浩)
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