ヴォイス
第6話
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同じ頃、休日を終えて大阪へ向かうバスの中で、祐樹は佳奈子がバッグに忍ばせた弁当を見つける。弁当の中身は、昔、佳奈子が調理に失敗したタコのウインナーやオムライスだ。以前とは違うのは、それが彩りも盛り付けも美しく仕上がっていることだった。祐樹は、姉のやさしさに笑顔を見せる。
後日、朋子は病院にやってきた大己にすべてを明かす。親代わりとなり自分の世話をしてくれた泰人が、半年前、朋子が腹痛を訴えて搬送された病院の待合室で泣いているのを見てしまった。それまで、暗い顔さえ見たことがなかったのに、看護師に労いの言葉をかけられた途端、堰を切ったように泣き出した兄を見て、朋子は重責を負った兄の苦悩を知ったという。それ以降、誰かに労われたいと思う泰人は、朋子の食事にペニシリンを盛られるという形で定期的に犯行を行い、一方の朋子もそれを受け入れることにするのだ。自分を犠牲にしながらも、泰人に感謝しているから、このままでよかったのだと訴える朋子。そんな朋子に大己は、自分を傷つけてまで泰人を支えることはやさしさではない、と諭すように話す。そんなところへ、東京を離れることになった泰人がやってくる。妹を見つめると、自分のしたことを謝罪する泰人。朋子は気丈な態度で、兄に心配かけないようにもっと強くなると宣言する。泰人はそれに頷くと、その場を去っていく。それを見送った朋子は、大己に「ありがとう」とつぶやく――。
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