戦場のメロディ
- あらすじ -

祖国のために戦い、その末に祖国に見捨てられた男たち──。
たった10センチほどの新聞記事でしか取り上げられなかった声無き14人の死──。

せめて、弔いの言葉だけでもかけて差し上げたい……はま子は、モンテンルパへの刑務所宛に筆をとった。
はま子の手紙に応えたのは、モンテンルパの刑務所で、教誨師を務める加賀尾秀忍(小日向文世)。加賀尾もまた、3年前の昭和24年、モンテンルパの囚人たちの悲惨な状況を知り、命がけで反日意識強いフィリピンに渡ったのだった。

加賀尾を迎えたのは、生気ない、すさんだ眼差しの囚人達……
彼らは、万歳三唱で日本から送り出されたにも関わらず、激戦の中、ライフラインをたたれ、敗走し、さらには、戦後、祖国日本から見放された人々だったのだ。

しかも、加賀尾が来る前に行なわれた処刑で亡くなった3人の遺骨は、淋しい死刑台の前に造作なく埋められていた。
死んでも尚、帰れない──囚人達が生きる望みも失い、孤独の中、諦めていたのは当然のことだった。

彼らは、戦争犯罪人という名のもとに、日本人に対するフィリピン人の恨みを全て負わされている。彼らだけが、あの戦争の責任を取らされるのはおかしい。同じ時代に生きた自分が見てみぬふりは出来ない。
そう思った加賀尾は、囚人たちと同じように独房で生活すると決意する。
それは、見捨てられたと感じ、絶望していた囚人たちに、一筋の希望の光をもたらしてくれた。

囚人たちと共に暮らすうちに加賀尾は、囚人たちのもう一つの姿を知る。
日本の家族に思いを馳せる父親としての姿……
前川治助(萩原聖人)は、独房の窓から見上げる空に3人の子供と妻・邦子(中嶋朋子)を思った。
妻・初代(田畑智子)と子供たちに、すぐ帰ってくると言い残してきた衛藤利武(伊嵜充則)は、一枚の家族写真だけを心の支えに生きていた。

しかし、その日は突然にやってきた。

昭和26年1月19日 夜6時──
14人の死刑囚たちの予告なき一斉処刑が始まったのだ。

死刑台に響く、家族の名を呼ぶ衛藤の最期の声。
加賀尾はどうする事も出来ず、ただ祈り続けることしか出来なかった。

14人の壮絶な最期の真実を知ったはま子は、亡くなった彼らのために何かできないかと模索し始めるが………。

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