東京タワー
-物語-
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翌朝、雅也は栄子の苦しむ声に目を覚まされた。慌てて兆治を起こし、ナースコールをかける雅也。栄子は、苦しみの中、雅也に何かを告げようとするが声にならない。雅也が、もう自分のことは心配しないで良いと言うと、栄子は唇を動かすのを止めた。代わりに、握っていた雅也の手を潰れるくらい強く握り締める。その力も、次第に抜けていき…。栄子は永遠の眠りについた。
雅也のアパートには、栄子ゆかりの人々が集い、生前の栄子が好んでいたような賑やかな告別式が営まれる。火葬場では、雅也が最後の挨拶を兆治に譲る。しかし、兆治は言葉を発することができず、ただひたすら栄子の棺にすがって泣き崩れた。
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