東京タワー
-物語-
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1989年3月。真新しいファッションビルが立ち並び、人々の喧騒に溢れかえる東京の繁華街。大きな荷物を傍らに置いて、公衆電話から電話をかける青年、中川雅也(速水もこみち)がいる。電話の相手は、母親の栄子(倍賞美津子)で…。
1989年1月。雅也は、栄子とともに廃坑の町、福岡県筑豊の廃病院で暮らしていた。高校生の雅也は、いまだに栄子への依存度が高い。また、栄子も雅也を幼い子供のように可愛がっている。しかし、色気づいてきた雅也は、人前では徐々に栄子の世話焼きが恥ずかしくなりつつもあった。
雅也が高校の最終進路相談を受ける日。遅刻して登校し、進路希望の申告もせず、相談日に母親も同席しないという雅也を叱責した担当教諭は、指導室へと呼びつける。雅也は、担当教諭の文句を言いつつ、幼なじみの山田耕平(柄本佑)、前野和夫(山崎裕太)と校舎の屋上でエロ本を読んだり、東京への憧れを話したりして時間をつぶし、指導室へ。実は、雅也のカバンには東京の美大の入試願書が忍ばせてあるが…。
指導室に入った雅也は驚く。なんと栄子が来ていたのだ。突然の栄子登場に、雅也は進路相談もそっちのけで腹が痛いと出て行ってしまう。
1979年。雅也と栄子は福岡県小倉に住んでいた。雅也の父、兆治(泉谷しげる)と、その母、富美子(佐々木すみ江)とともに。だが、ある日、栄子は雅也を連れて家を出た。そして、筑豊の栄子の母親、ハル(赤木春恵)の家に移り住んだのだ。
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