裸の大将
-* ものがたり *-
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山下清は東京の浅草、田中町に生まれた。
山下は養護学校に12歳の時に預けられ、貼り絵を学び、才能を開花させた。独特の豊かな色彩感覚、大胆なタッチは多くの人々の心をとらえた。半ズボンに坊主頭、背中にはリュックを背負って、日本全国を放浪し、貼り絵やスケッチを残した。

1965年、銀座。「日本のゴッホ・山下清展覧会」が開催されている。司会者が山下清の功績を称える説明をしている中、ベレー帽に背広姿の清(塚地武雅)が窮屈そうにたたずんでいる。「ぼ、ぼくは、背広が嫌いなんだな、うん」という清に園長(津川雅彦)やヨメ子(水川あさみ)はあきれ顔だ。取材に来た記者たちは、清のとぼけているが、味のある答えに脱帽する。
取材陣のまぶしいばかりのストロボの嵐に清は思わず顔を隠し、席を立つ。トイレに行くというのだ。男子トイレの中で、清はこっそり服を脱ぎ、いつもの短パンとランニングに着替える。園長やヨメ子の心配をよそに、放浪の旅に出たのだ。

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