素直になれなくて
- Special -
Part 2『ナカジの家』
まるで倉庫のような外観がまず目を引くナカジの家。室内も、アーティストであるナカジにぴったりな、なんとも彼らしい雰囲気なのですが…。
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まず目を引くのは外観ですね。すごい!
鈴木:
あれは倉庫なんです。実際には立川のあたりにあるレンタルアトリエ。アーティストが区画借りして共同アトリエにしているような場所なんですが、ナカジのオシャレな感じとみんなとすこし、半ズラししたようなセンス感+ワイルドさというか男っぽさ、実は芯はあるぞというような感じ…そのあたりをかっこよく出せる空間。ナカジはカメラマンなので、フォトジェニックさを好むということを表現したいと考えたときに、「普通の家はやめてください」と監督にまず伝えました。そうしたら監督が「倉庫なんてどう?」って。「倉庫って屋根のあたりが特徴的で面白いので、そういう場所があったら是非見つけてください」とお願いしたら、制作部が見事にヒットしてくれました。実際に見てみたら外観はまさに倉庫。1階は木工の工場みたいなのが入っていて、上の階はペインターのアトリエ、写真家のアトリエが入っていました。雰囲気的にはバッチリだったんですが、ただちょっと色味がなくリアルすぎたので、エモーションじゃないですけど少し華やかにするというか、よりそれらしくするという作業をかけて、植栽を増やしたりして…。倉庫って、みなさん印象にあるように、シャッターが面白くないので木のトビラをはめ込んで、それをあけると内廊下になってて、ナカジの部屋がある、という設定を作りました。
ナカジは、コンクリートのブロックの上に寝てるんですね。
鈴木:
コンクリートの上がりの上にマットレスを敷いて寝ています(笑)。マットレスがあるから…といっても、リアルでいったら冬は凍死しますね(笑)。屋根、上が抜けてるんで。一応、室内は土足なんです。彼としては自分のラボ、自分の現像アトリエを作るつもりで住んでる自宅兼事務所なんです。「写真家としてやっていくんだ」っていう思いが強くあってここに住んでいる。だから、部屋の中の一角を工夫してしまえばそここそ寝室にできたであろう場所を潰してまで暗室を作ってるんです。板張りでコンクリートブロックがあって、上の方もコンクリやら鉄骨やらがあらわしになっている。ナカジが住み始める前は、油絵画家が住んでいたという設定を作って、床とか壁にも塗りこぼしやペンキが垂れた跡があるんです。もともと倉庫なので、生活のすべてのアパート要素がなかったんです。後から、生活要素を足していったということでキッチンなんかも一点ものの、中華厨房で使われるようなものを揃えています。もともと人が寝泊りするという場所ではないので、ナカジなりに、「コンクリの上にマットレスをおけばちょうどベットの高さになるかな…」という気持ちで作ったような感じです。だから、奥のシャワールームも、湯船もなくシャワーしかないという状態です。
脚本を手がける北川悦吏子さんもとても興味を持って見回っていたそうですね。
鈴木:
それはデザイナー冥利につきることです。脚本の方がセットを見て芝居の構想が膨らむというのは嬉しいですね。僕らは僕らで、脚本が1話とか2話しか見えない状態でも、「きっとこういうことがしたいだろうな」「できたらかっこいいな…」「こういうのが画になるな」と思うことを仕掛けておくんです。ト書きでは「ナカジがシャワーを浴びている」ということに対して、カメラマンと一緒に「足元だけみえてて、泊まりにきている彼女の足もみえてて、逆光でシルエットで脚だけが見えてるとかって、直接過ぎず、エロさが出ていていいね。そういうのがキマるシャワールームにしようと」とか話しているんです。そういうことは脚本にはありませんが、北川さんが見て感じてくれたりすれば、後で出てくるかな、とか(笑)。
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※PCサイトでは『ナカジの家』のセットを作る上で使用した、デザイン画、青図をご覧になれます。
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