素直になれなくて
- Special -
Part 1『The Emotion』
Twitterを通して知り合ったナカジ(瑛太)やハル(上野樹里)たちが初めて出会った場所であり、いまも『スナナレ会』の行きつけの店になっているのが渋谷にあるという設定のバー『The Emotion』。このお店のデザインにも、驚くべき秘密の数々が…。
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ナカジたち5人の行きつけのお店、『The Emotion』のデザインのポイントからおねがいします。
鈴木:
設定としては渋谷にあるカフェです。ちょうど大人と少年・少女の間というか、まだ大人にはなっているんだけどなりきれていない、みんなと仲良く集まりたい ―そんな等身大の渋谷で見るような若者が、実際に行きたいところってどんなところだろうって思ったときに、渋谷という街には、宇田川カフェとかアンティークっぽいところもあれば、バーっぽいところもあるので、その中間というあたりが狙いだったんです。楽しいオシャレ加減というか、気取らないオシャレの仕方。ニューヨークかどこかのアーティストっぽい友達の家を訪ねたらこんな感だったとか、そのくらいのニュアンスを狙って監督と打ち合わせしながら作りました。
店内に置かれているものも、よく見ると面白いものが多いですね。
鈴木:
店の中にある物は、1個1個にディテールがあって、歴史というか時間の経過が感じられるものが多くあります。塗ってあるものだったりとか、こすってあるものだとか、屋根の天井のところに染みが付いてたりとか、鉄骨の柱や窓枠にはサビが浮いてたりだとか…そういう前からあったような落ち着いた雰囲気、たまりたくなるような雰囲気というのを意識して作っているんです。この作品はすごくオシャレなBGMを使っていたりとか、結構ファッションっぽい雰囲気を出していたりもするので、色味を画面の中に常に感じていたいと。とはいえ、ストーリーがあるものですから、全部のシーンがド派手にいくわけにもいかない。そういう中で、毎回話の中で出てくる『エモーション』というところは、各個人が持った色が寄せ集まってきて同居するような空間にしたくて…。だからここにはたくさんの色が入り込んでいます。雑貨と本に関しては、置いてある物は何なら売ってもいい、というスタンスのお店なんです。一応、オーナーの目利きで集めてきて物に、お客さんが「コレがあったほうがいいよ」って勝手に置いていったものとかまでがたまってきて、あんな飾りになっている、という感じですね。
イスがそろっていなかったり…。
鈴木:
なるべく揃わないものを集めています(笑)。それは、いろんなお客さんが「私のお気に入りの場所」を、個人個人で気に入る場所を作ってほしいなと。「エモに着たらここに座るんだ!」っていう。店に来てみたら、「あ、私のイス、座られてる…すいません、どいてくれませんか?」みたいな、男の取り合いみたいな、そんなイメージですね(笑)。
それから、壁紙も特徴があってとてもステキですよね。
鈴木:
普通は色数をだいたい絞ってコーディネートするんですけど、この空間はみんなで集まるときと、みんなではない、2人とか3人に限定したメンバーで集まるタイミングがあります。そのときに背負う背景が違っていたいという気持ちがありました。みんなが集まるときは真ん中のユーティリティの空間で過ごすんですが、リンダとピーちが会ってるときなんかはちょっと大人っぽい雰囲気がいいなと。そうするとカフェ内のボックス席に。あのあたりは色味も少し落ち着いていて、みんなから仕切られていて、ちょっと秘密話ができる雰囲気です。ポジション、ポジションで背負う色味が違うように考えています。で、ルーズで撮ると色味が入ってくるようになっているんです。このお店は、地下なんです。たまり場になる感じということで、オープンな感じもほしいけど、こもる感じもほしいので、半地下の設定にしました。半地下にすることで、窓の外に道路とかを感じることもできるんです。だから、こもり感もありつつ、上の方からは光が差し込むんですよ。
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