素直になれなくて
- Interview -
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市原 薫(リンダ)役 玉山鉄二さん
今回の現場はどんな雰囲気ですか?
結構、最初のころから和気あいあいとした感じで…。何より、キャストだけじゃなく、スタッフさんともコミュニケーションがとれているのがいいですね。だから、撮影も凄くスムーズで……楽(笑)。ドラマの内容は決して軽くはないですけど、現場はテンポも良くって、笑いの絶えない現場なのでとてもいいですね。

今回、玉山さんが演じるリンダという役柄ですが……つらいですね。
そうですね(笑)。難しい役どころではあると思うんですけど、自分のなかでは、その毒の部分と、爽やかな部分の二面性を持ちながら演じようと思っていて…。セクハラだったり、プライベート的な悩みだったりとかを、エモーションでみんなと会っているときに持ちこんじゃうと、ただただ重いドラマになってしまうと思うんです。むしろ、エモーションでみんなと飲んでいるところが、唯一の心の拠りどころというか…だから敢えて二面性のあるキャラクターにしているんですけど。今回、演じていて面白いな、と思うのは、会社内での何か嫌なこととか、凄く悲しいこととかが絵として映っていて、でもナレーション…Twitterのセリフでは前向きなことを言っているというその温度差。それが逆にせつなさを出しているのかな、って思います。

ピーち(関めぐみ)、ドクター(ジェジュン)、そしてナカジ(瑛太)までもがリンダに頼ったり、相談したりしています。じゃあリンダは…となる と、心の奥底に苦しみを押しこめている姿が悲しいですね。
はい(笑)。

演じる上で、特に気を使っていることや、監督からのリクエストは?
今回の作品に関しては、半年以上前から、プロデューサーや監督とお話をさせていただいたりしながら作り上げてきたんです。で、クランクインして、監督から言われたのは…多分、監督から言われなかったら、もっともっと重い芝居をしていたと思うんですよね。でも、どこかに救いが見える、何らかの光が見えるような芝居にしなければいけないので、その辺は、例えばテンポを上げたり、みんなとのシーンではいつもより2段くらいテンションを上げたり…。そういうアドバイスはいただきました。あとは…今回の作品って特に音楽も大事で、多分、敢えてだと思うんですけど、フレーズとか入りが90年代っぽい感じだったりもするんです。そこに負けないような芝居というか、視聴者のみなさんの印象に残るようなフックがある芝居をしなきゃいけないな、と思っていて。だから、音楽がかかってない絵だけを見ると若干あざといかもしれないけど、オンエアを見たときにはそれくらいがちょうどいいのかな、と思っていたりもしますね。

光野道夫監督とはもう何作も作品をやられていますが、玉山さんから見た光野監督とは?
多分、自分は性格柄、セオリー通りの芝居をあまりしないようにしているんですね。いつも裏、裏を取ろうとしていて…。でも、光野さんはそこを視聴者のみなさんに分かりやすくつないでくれるんです。ホントに光野さんがいなかったら、僕の芝居は危なかったかもしれない、っていうくらいだと思います。だから凄く感謝しているし、もっともっといろんなジャンルの作品でご一緒したいなと思っています。この話が決まって、監督が光野さんだと聞いたときは嬉しかったし、この作品に対して光野さんのモチベーションが上がっているのは僕自身も感じていたので、いつも以上に良いものを作りたいな、と思いました。いまでもオンエアを見たら必ず監督にメールをして、技術的な部分もオンエアを踏まえていろいろディスカッションしています。実際、完パケで見るのとCMがちゃんと入ったオンエアを見るのとは違うんですよね。だから、オンエアを見て、その瞬間に思ったことを電話やメールでお伝えして、「次はこんな感じにしようか…」ということを話したりしています。

演じる上で、プレッシャーみたいなものは感じていますか?
北川悦吏子さんは、ト書きとかも細かく書いてくれるので、極力それに沿って、自分の芝居を乗っけられるように意識していて…。あとは、自分のクセというか、毒というか、そういうスパイスを足していっているようなイメージなので、それほどプレッシャーはないですね。僕はいつも、台本をいただいたときにザッと読んで、気になったところ、こうしたいな、と思ったことをまず赤ペンで書いて、何日か経ったときに読んで、また気になったことを今度は色を変えて書いていくんですけど、それを比べて良いとこどりをしているつもりなんです。僕ね、結構いろいろ考えちゃうクセがあるんですよ。考えすぎちゃうというか、深読みしちゃうというか(笑)。それがちゃんとハマればいいんですけど…。

役者さんにもいろいろなタイプがいて、感覚的な方も思考的な方もいらっしゃいますよね。
僕も、役者には2種類あると思っているんです。本当に憑依して演じるタイプと、本を読んでいろいろプラン立てたりして現場に行くタイプと。僕は後者だと思っているんですけど、本をもらったときに、僕はいろいろ頭の中にビジョンが浮かぶんですよね。だから、何パターンかプランを立てていって現場に行って、いろんなものを出して、現場のロケーションだったり小道具だったり、もちろん相手のお芝居だったりを感じて、やっとテスト前に、ギリギリ完成するタイプなんで。その作業が、昔に比べて早くなったというか、楽になったのかもしれないですけど、悩むときは凄く悩みます(笑)。

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