サマヨイザクラ
-あらすじ-

雪彦は三人の主婦を殺したことは認めるが、自分の家族が町の人に集団でイジメられたことによる「ただの逆恨みではなく、復讐(ふくしゅう)」と言う。弁護士の舞村は「検察官が鹿野川さんの"個人の悪"を立証するのに対して、弁護側としては、地域住人のイジメ、すなわち"集団の悪"によって生み出されたものであることを訴え、求刑されるであろう極刑を回避する考えです」と主張する。

裁判員の中には、モニターに映し出された殺害現場の写真を見て、吐き気をもよおしたものもいる。雪彦の部屋の写真にはアニメ、ゲーム、DVDなどが散乱している。雪彦は十年ほど前から大学生活になじめず、自宅二階の六畳間に引きこもるようになったという。

写真の中の棚に圭一が好きな「フォレスト・ガール」の鏡花のフィギュアを見つけ、圭一は「こんな奴が『フォレスト・ガール』のファンだなんて…」とショックを受ける。そして、「鹿野川雪彦は道を踏みはずした俺自身なんだ」とがくぜんとする。

評議室。陪席裁判官の和泉(劇団ひとり)が裁判員に評議の内容などを第三者に漏らすことは法律で禁じられていると説明する。そして、五日間、裁判員が評議室で話し合い、裁判の結論を出すことになるという。

証人尋問では最初に、被告人を取り調べた根古田警察署の田中清孝(赤堀雅秋)が証言台に立ち、被告人を犯人と断定した経緯について説明する。まずは、第一発見者がまだ息のあった被害者の一人から「鹿野川にやられた」という言い残しを聞いたこと。他にも、直後の聞き込みで、殺害現場の左側に位置する堂島家の長女、未来(小野恵令奈)<14歳>が雪彦の犯行を見たと証言したという。その後、現場の奥にある抜け穴から被告人が出てきたという。抜け穴とは丘の下へ抜ける穴で、数カ月前からホームレスの男(平田満)が住み着いている。抜け穴を通り、証拠を隠した後、自宅に戻ろうとした際、田中刑事は雪彦に任意同行をかけた。雪彦は当初、容疑を否認したという。だが、堂島未来という少女が犯行を目撃しているというと、翌日、供述を変えたという。未来は事件当日から精神的不安定になり、二カ月半経った今でも医師から面会を禁じられている。ホームレスは事件後、姿を消した。

さらには、第一発見者の主婦・岩崎翔子(三浦伸子)、被害者の娘で中学三年の浜千代杏里(剛力彩芽)、未来の祖母・堂島ふさ(大方斐紗子)、被告人の母・鹿野川慶子(左時枝)らが証言台に立つ。町中の人たちが鹿野川家をいじめていたこと、未来が10年前、雪彦からいたずらをされたことなどが証言される。

雪彦によると、小学校二年の頃、近くの雑木林で自殺があり、それから二十年もの間、鹿野川家に住民から嫌がらせがあったという。雪彦は「反省も後悔もしていない。僕を死刑にして下さい」と言う。鹿野川家へのイジメが刑を軽くする理由になるかどうか、休廷日をはさんで、4日目の論告求刑と最終弁論、5日目の集中審理を経て、鹿野川雪彦に判決が下されることに…。

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