サマヨイザクラ
-あらすじ-

相羽圭一(伊藤淳史)<28歳>。日雇いアルバイトを四日連続でキャンセルされ、ポケットには432円しか入っていない。圭一は勤めていたマグマフーズという会社の不正(賞味期限偽装)を内部告発しようとしたのが見つかり、執拗(しつよう)なイジメに会い、会社を辞めたのだ。アパートも追い出され、ネットカフェで暮らしている。

通行人とぶつかり、圭一の小銭が転がる。小銭を拾おうとしてしゃがんだ圭一に酔っ払った男がつまずく。顔を上げるとかつての上司の課長だった。圭一に気づいた課長は「今のお前、会社の連中が見たら驚くだろうな」とののしる。

さらに暴言を吐く課長に対して、思わずカッターナイフを握る圭一だが、「度胸もねえウジムシが!」と捨てぜりふをはき、課長は立ち去っていく。追いかけて刺そうという気持ちに駆られたが、「悪いことをすると地獄へ行くんだよ」という母・夏江の声が脳裏によぎり、がっくりとひざを落とし、うずくまる。

久しぶりに実家に帰り、母・夏江(佐藤直子)の手料理をむさぼる圭一。実家には圭一宛に「裁判員選任手続き期日のお知らせ」が来ていた。

圭一の部屋。たくさんのアニメのフィギュアの中に「フォレスト・ガール」のキャラ、森乃鏡花のフィギュアがある。圭一は「フォレスト・ガール」の熱烈なファンで、そのオタクぶりに愛想をつかされ、恋人にも振られた。

裁判所控え室。42人の裁判員候補者の中に、圭一の姿がある。42人の中からパソコン抽選で、6名の裁判員と2名の補充裁判員が選ばれる。審理するのは「根古田観音丘殺人事件」だ。重大事件であることにより、5日間審理するという。

当日用質問表に書き込んだ圭一は個別質問を受けるため、会議室に入る。裁判長の鷹尾二三生(大杉漣)、陪席裁判官の筒見まり子(江口のりこ)、和泉浩紀(劇団ひとり)、検察官の九折真太郎(利重剛)、弁護士の舞村咲(いとうあいこ)がいる。

フリーターで、ネットカフェを転々としていることを正直に打ち明けた圭一だが、裁判員に選任される。圭一の他に選ばれたのは、学生の由美香(加藤ローサ)、主婦の仁美(宮崎美子)、会社員の平松(田中哲司)、無職の三代子(大森暁美)、自営業の徳井(阿藤快)、東出(篠田光亮)の5人。補充裁判員の久美(濱田マリ)は美容院のオーナーだ。裁判長の鷹尾に「宣誓」を誓わされ、法廷に入っていく圭一ら裁判員たち。

法廷には傍聴人、弁護士、検察官、そして、被告人・鹿野川雪彦(塚本高史)<28歳>がいる。ラフな服装で、髪の一部分が白くメッシュのようになっている。被告人を前にして、圭一は「俺は今、人を裁く立場にいるんだ。この裁判で俺は変わる、絶対に!」と高揚した気分になる。被告人が自分と同い年だとわかった圭一は、街の中でカッターナイフを握り、血だらけになっている自分を想像する。「違う! 俺は人殺しじゃない!」と気持ちを落ち着かせる。

検察官が起訴状を朗読する。「公訴事実、被告人、鹿野川雪彦は、平成21年4月29日、午後7時15分ごろ、東京都根古田区観音丘1番11号所在の鹿野川家所有の空き地において、近隣の主婦、浜千代利架(滝沢涼子)・当時42歳、樋口久留美(竹下明子)・40歳、寺本悦子(山下裕子)・45歳が、空き地内に所在する桜の木の伐採を企てていると逆恨みをし、殺意を持って、サバイバルナイフで、主婦三名を刺殺したものである」。

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