最高の離婚
インタビュー
【vol.7】瀬田智世役 市川実和子さん×瀬田継男役 松尾諭さん<前編>
Q瀬田夫妻、素敵です。智世さんと継男さんのなれそめも凄く気になっています。
松尾:あまり考えたことなかったんですけど、7話のセリフに「再婚するのは記憶力が足りないから」っていうのがあったんですね。だから、「どっちかがバツイチなのかな?」って思いました。
市川:継男でしょう!
松尾:いや、絶対智世さんの方でしょう!
市川:でも、台本に年齢の設定も書いてないですもんね?(と、同席した浅野澄美Pに問いかける)
浅野P:一応、みんな年相応の設定になっていて…。最初はもうちょっと上の設定だったんですよ。でも、「松尾さんと市川さんの組み合わせが面白いんじゃないか?」ということになり、敢えて年齢を外したんですけど…。
市川:そうなんだ?でも、松尾さんって、年齢関係ない感じですよね、役の。きっと、凄く若い役もできるし、逆におっさん役もできる感じ(笑)。
松尾:いまの発言、このインタビューの間、引っ張りますよ!
市川:何かヘンなこと言った?
松尾:芝居に対するダメ出しかな、って。
市川:いや、違う違う!年齢が読めない感じがするっていうこと。
松尾:ああ、それはよく言われます。
市川:だから、意外と年上の…。
松尾:市川さんもそうじゃないですか。結構上の年齢の役もやってるでしょ?
市川:いや、そんなこともないですよ。まあ年相応の感じで。
松尾:…歳の話、止めましょうか。
市川:うん(笑)。
松尾:で、何でしたっけ?
Qいや、瀬田夫妻の背景にも興味があって…。
市川:どっちかが(離婚を)しているか、どっちもしているか…何かがあってのこの感じなのかな、っていう気はします。
松尾:情報量が少ないから、妄想になっちゃうかもしれないですけど、虐げられているとまではいかなくても尻には敷かれているかな?
市川:敷いております。
松尾:怖い…。あと、光生(瑛太)くんのお姉ちゃんだから几帳面なのかな、とか…。
市川:いや、逆にがさつなんじゃないかな?
松尾:ああ、なるほど。
Qこのドラマはコメディーですが、その一言では片付けられない深みがあります。坂元裕二さんの脚本をお読みになって、また実際に演じられてみての印象は?
松尾:いま、コメディーっておっしゃったじゃないですか。コメディーだと思うんですよ、凄く。滑稽ですよね。でも、嫁と一緒には見られないな、と(笑)。この間、たまたま結婚している人たちと一緒に見る機会があったんですけど、旦那さんたちは「セリフが刺さってくる」って言ってて(笑)。ウチは、ちょうど嫁が実家に帰っていたので、一緒に見ていないんですよ。4話の「あなたが好きなのは自分だけ」っていうセリフは、思い当たる節が多々あるから…。男の人って、自覚していなくてもみんなそうだと思うんですよ。そういうセリフを嫁と一緒に聞くのってちょっとツラいな、と。
市川:そうなんだ?
松尾:ツラいけど、だからこそ一緒に見た方がいいのかな、とも感じますけど。
市川:リアルですもんね。どこか飾ることもなく…ドラマだったらキレイにしちゃうようなセリフを、ちゃんとコメディーとして描き出してて、なおかつひとつひとつが嘘っぽくなくて。本を読んでいても、「…はぁ…」みたいな感じで胸に刺さりながら、男の気持ちを勉強しています。
松尾:そこが笑えるんですよね。久しぶりに、声を出して笑える台本に出合ったというか。まあ、7話はホロっときましたけど…。毎回、台本をいただいて読むたびに、嫁がどう思うか、っていうのをまず考えますね(笑)。4話は実家で見て、号泣したらしいですけど…。
Q4話のラストの結夏(尾野真千子)さんのセリフは、特に反響が大きかったです。
市川:そうだよね(笑)。
松尾:相手が喜んでくれたら自分も嬉しい、っていうのはダメなことなのかな?真面目な話になっちゃった…。
市川:ドラマを見て、ってこと?
松尾:特にあのセリフに関して言えば。台本を読んだときからちょっと思ってたんですよ。その時点でもうかなりインパクトがあったから。で、オンエアを見て、改めて思ったんですけど。ドロドロしていないから、その分、セリフがひゅんひゅん飛んできて(笑)。見やすい分、余計に刺さりやすいというか。まあでも、女性的にはどうなんですか?
市川:胸がすくような感じかな?(笑)。ただ、私は結婚していないからわからない部分もあるけど…。結婚していなかったらそこで終われちゃうようなことも、終わりにはできないでしょう。たった紙一枚だけど、そこからいろいろ生まれてくるものもあるし。
松尾:ああ、やっぱそうですよね。だから、最初は「女性には凄くお勧めできる作品だけど、男性にはどうなのかな?」って思っていたんです。でも、敢えて男の人こそ見た方がいんじゃないかな、というのがここ最近の気持ちですね。ウチは子どもがいて…。僕らは6年同棲して、結婚して3年目に子どもが生まれたんですけど、ずっと一緒に住んでいたし、同棲と結婚の間はそれこそ紙一枚だったから、あんまり何かが変わったわけじゃないんですよ。でも、子どもが生まれると変わるんですよ。だから、子どもが生まれないでそのままずーっときてたらどうなっていたかわからない。お子さんはいないけど奥さんと仲が良い人もいるじゃないですか。先輩の俳優さんでも、仕事終わって「いまから嫁さんとデートなんだ」っていう人もいるし。それはそれで、「ああ、いいな」って思うんですよ。でも、智世と継男には子どもがいないじゃないですか。
市川:いないですね。
松尾:僕らは、一応結婚できてる唯一の存在じゃないですか。ひと組は離婚したし、ひと組は結婚できていないし…というところでは、どうなんでしょうね?
市川:そういう意味では、健全な関係なんだろうな、って思って。多分、言いたいことを言い合ってるんだろうし。
松尾:そうですよね。最終的には「一緒にいられて良かったな」って思えればいいのかな、って思いますけど…。僕、「自分が先に死ぬか、嫁さんが先に死ぬか、どっちがいいか?」って考えることがあるんですよ。置いていく方がいいのか、残される方がいいのか、って。でも、どっちもツラ過ぎるんですよね…すいません、急にこんな…。
市川:悲しくなってきた。何で急にそんな話するんですかー?
松尾:人にもこの苦しみを分けてみようかな、と思って(笑)。
市川:どっちも嫌…って、私はまだ妄想でしかないけど(笑)。
Q答えが出ない問題ですね。
松尾:答えはでないですよね。いやでも、夫婦って面白いですよね。
市川:勉強になります!
松尾:このドラマを見て、余計にそう思いますけどね。僕は結婚してるから光生に感情移入しやすいんですけど…。
<後編へつづく>
□戻る
■最高の離婚
(C)フジテレビジョン